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港町ランティナ、恋も料理も命がけ編
11.調教されてる側は案外気付かないもの※
しおりを挟むちょっといい雰囲気になったその後、俺達は珍しく喧嘩もせずに、ただただ美食競争のための料理を研究していた。
とは言え、何もブラックも一緒に作っていた訳じゃない。
ブラックには、俺の作った料理を試食して貰っていたのだ。実はこの役割分担が意外と上手く行ったんだよな。
俺が作るのは、この世界では見かけないような料理だ。それ故、この世界の人にウケるかどうかが俺には解らなかった。だけど、ブラックが試食してくれる事で、料理の問題点や改善点を聞く事が出来たのだ。
これは俺だけじゃ絶対に出来ない事だし、本当助かったよ。
お蔭で俺の料理は更に完璧な物になり、無事完成させる事が出来た。
それを考えると、ブラックが一緒に台所に居てくれたのは本当にありがたい。
どうして部屋に帰らずここに来たんだろうかと思ったが、もしかしたら……俺を手伝うつもりで来てくれてたんだろうか。
そうだとしたら、何かちょっと恥ずかしい。
ブラックもボートの練習とかで大変なのに、俺の事を考えて手伝いに来てくれたなんて、気ィ使わせて申し訳ないし……なんか悪いって言うか……。
これで俺の仕事は終わったし、後は本番でミスせずに料理を作るだけだ。
だから……まあその……俺はヒマだし、ブラック達はまだ頑張ってるんだから、弁当でも作って持って行ってやろう……かな……?
…………い、いや、その、恋人だからとかじゃなくて、その、ホラ、手伝って貰ったんだし、第一俺は弁当以外じゃ何も貢献できないじゃん? だから、栄養のある弁当を作るのが俺の義務なんではって言うか……。
「ツカサ君? お皿洗う手が止まってるけど……何か考え事?」
「ひぇっ、な、なんでもないっ」
あ、あ、危ない危ない。
そうだ、今は後片付けの途中だった。
考え事がバレるとめっちゃ恥ずかしいから、平然を装おう。
俺は必死に何でもないような顔をしながら器具を洗い終えて、台所の備品である皿などを食器棚に戻した。借りてる物は綺麗にして直しておかないとな。
後は、流し台とかダイニングテーブルを綺麗に拭いたら終わりだ。
布巾を水に浸してしぼっていると、隣で手持無沙汰になっていたブラックが俺を覗き込んで来た。
「僕がやろうか?」
「いいよ、もう机を拭いたら終わりだし。それにアンタ疲れてるんだからさ、先に部屋に戻ってなって。あんまり動き過ぎるのも体に悪いぞ」
手伝ってくれるのはありがたいが、いくら体力お化けのブラックでも連日ボートを漕ぎまくってたら疲れるだろう。
体を壊したら元も子もないんだし、細かい仕事は俺に任せて休んでて欲しいわ。
まあでも、優しくして貰えるってのは悪い気分じゃないな。
後でお礼として肩でも揉んで労ってやろうかなあ。
先程からの甘い雰囲気に乗せられて、そんな事を考えながら俺は机を拭いていたのだが……この男に背中を向けるのは危険だって事を、俺はすっかり忘れていた。
「つーかーさーくんっ」
背後から不意に呼ばれて、手が止まる。
どうしたのだろうかと振り返ろうとして、背中から覆い被さってくる重さに阻止される。あんまりにも体重を掛けられるものだから耐え切れず、俺はそのまま机に突っ伏してしまった。
ぐええ、上半身だけ机に押し付けられると腹が辛い。
「な、なにすんだよブラック……!」
スキンシップにしては体重かけすぎだぞ、と怒ろうとしたが、腰のあたりに這い寄ってくる手の感触を感じて俺は思わずびくりと体を跳ねさせた。
ちょ、ちょっと待って。この手つきってまさか。
「おおおおいっ、まさかお前、こ、こんな所で……!」
「だって、せっかく良い雰囲気なのにツカサ君が焦らすから……」
「誰が焦らしたってんだ! 俺はただ後片付けしてただけじゃいっ!」
「またまたー。ほんっとツカサ君は自覚がないんだから困っちゃうよね~……」
少しはこっちの気持ちも解って欲しいもんだ、なんて言いながら、ブラックは俺の骨盤をゆっくりと指でなぞってどんどん前の方へと両手を動かしてくる。
その手が目的地にたどり着くのを阻止したくて手を伸ばすが、肩を押さえられていては腕など大した動きは出来ない。
それでも動こうとした俺に更に体重をかけて、ブラックは後ろから耳を食んだ。
「ひぁっ! もっ、いやだ、って……もぉっ、なんでアンタいきなり……!」
「だって、ツカサ君可愛いんだもん。それに、ここ数日の禁欲的な運動のせいで、ずっとセックスしてないじゃないか。……そうなるとね、ツカサ君が少しでも可愛い仕草を見せるだけで興奮しちゃってさぁ……」
笑いを含んだいやらしい声が、熱い呼吸で耳朶を濡らす。
ダイレクトに耳に届く低い声とその生々しい感触に、自然と俺の足はぴったりと閉じて合わさった。だけど、その変化は俺がブラックの淫らな行為に敏感に反応してしまっているという証拠にしかならなくて。
「ねえ、ほら……ツカサ君だってさ、僕に押さえつけられて耳をなぶられただけで、もうこんなに反応してるじゃないか。意地を張らないでセックスしよう?」
「んっ……も、バカ……こんな場所で……っていうかアンタ、ここで腰を動かして万が一痛めでもしたら……っ、ファラン、さんにっ、迷惑掛かるだろ……!!」
骨盤の辺りでさわさわと動いていた十本の指が、ゆっくり移動して俺のズボンの合わせに触れて来る。あえて俺の中心には触れず、合わせを留めている金具がある下腹部あたりを指で撫でる相手に、俺は何だか悔しくなって足をばたつかせた。でも、抑えられてる時点で俺の体は地面からちょっと浮いている。
ブラックとの身長差のせいだけど、それにしたって男のプライドをまた傷つけられたかのようでどうにも我慢できない。
だけどそんな俺の感情にも構わずに、ブラックは俺に揺さぶりをかけて来た。
「じゃあさ、素股でも良いから……ねえ、ここでセックスしよ?」
「す、素股ってアンタ……」
「今日は我慢するよ。だから、一発だけ……ね?」
そう言いながら、ブラックはまた耳を軽く甘噛みして、下腹部を撫でる指をじりじりと下へ動かしわざと熱を煽って来た。
そんな事をされたら駄目だって、今の俺には抗えないって解ってて、こいつは。
「う、うぅう……へ、変態、バカ、あほぉ……」
「ふふっ、素直じゃないツカサ君も可愛くて大好きだよ」
何が可愛いだ、アンタが全部仕組んだことのくせに。
でも、ブラックに性的な意図を持って触られてしまうと、俺の体はもう抵抗する事すら出来なくなってしまったようで。
俺の悪口を許可だと受け取ったブラックがズボンの中に手を差し込んで来ても、体は嫌がるどころか肌を粟立てて歓迎し、快楽を待ち侘びるかのようにブラックの指の動きに一々細かく震えるようになってしまっていた。
こんなの、俺の体の反応だなんて認めたくない。
だけど、元から快楽には素直だった俺の体は、ちっぽけなプライドなんぞ少しも大事にしてくれないわけで。どれほど俺が表情で不機嫌を訴えようが、ブラックがズボンの合わせを外して下着ごとズボンをずり下げてしまうと、体に叩き込まれるであろう快楽を想像して腰を僅かに動かしてしまう。
それが恥ずかしくて仕方なくて、俺は耐え切れずに机の上で腕を組み合わせ顔を覆った。ああもう、なんで俺って奴はこう体だけ素直なんだか……。
チクショウ、ケツ丸出しで机に押し付けられてるなんて、どんなAVだよ。
それに、何でこんな事で反応しはじめちゃってるんだか俺のオレはぁああ。
「はぁ……はぁ……や、やっぱりツカサ君のお尻はいつ見ても可愛いな……」
露わになった俺の尻を凝視して、ブラックは嬉しそうな声で荒い息を吐いた。
変質者みたいな事を言いながらも、しっかりと手は動き、俺の尻を何度も何度も撫でまわして揉んだりしている。時にはちょっと離れたりして、何故か見慣れてるはずの俺のケツを思う存分に観賞してきやがった。
おい、違う。そうじゃ無いだろ。お前素股しようとか言ってたのに、なんで今更尻なんか愛でてんの。っつーか男の尻をじろじろ見るな馬鹿!!
「ばかっ、見るなって……!」
「ええー? だって、今日はココを使えないんだろう? だったらさ、せめて見て楽しむくらいはさせてよ」
「そんな所見て何が楽しいんじゃー!」
「騒ぎすぎると流石に両隣に聞こえちゃうよ、ツカサ君」
「ぐっ……」
そ、そうだった。壁が厚いとは言っても、音が漏れない訳じゃないんだった。
思わず口を塞いだ俺に、背後から忍び笑いが飛んでくる。くそ、完全にブラックのペースに乗せられてんじゃねーか……。
もうこの際早く終わらせて貰った方が良いだろうと思い、俺は覚悟を決めた。
「た、楽しむとかせんで良いから、やるならさっさとやれよ……!」
「あっ、お尻に力入れないで。せっかく丸かったのに少し引き締まっちゃったじゃないか。固いと触り甲斐ないなあ……」
「男の尻が柔らかくてたまるか!!」
「えー、ツカサ君のは凄く柔らかくて気持ちいいよ。僕の好みとしては、こうして力を入れてても揉めるくらいになって欲しくはあるけど」
「アホか! なんでお前の為に肉体改造しなきゃいけねーんだよ!」
いいから早くやれよとヒステリックに騒いだが、しかしブラックは俺のそう言う反応を楽しんでいるのか、愉悦を含んだ笑みで笑いながら尻を撫で続けた。
「他の奴の尻なんてどうでも良いよ。でもさ、ツカサ君の体は、もう僕のモノなんだよ……? なら、もっと僕好みにしても良いじゃないか。ツカサ君の体は男の子なのにとっても柔らかくて気持ちいいんだから、ココだってさ……ね?」
「お、俺の体は俺のもんだ……」
「そう? こういう事されても、まだそう思えるかな」
尻を触っていた手が、両方の尻たぶを掴んで揉みしだき始める。その動きは胸を愛撫するかのようで、指を肉に埋めてもぎ取るように動かしながら、俺の尻を上に押し上げてぐりぐりと捏ね回した。
「っん、ぅ……! ぃや……っ、ちょっ、と、そんなことっ……」
「ああ、解れて来たね……。力が抜けて柔らかくなって……ほら見て、ツカサ君の可愛い穴も、お尻を広げたりくっつけたりすると同じようにひくひく動いてるよ」
強引に尻肉を割り開かれて、普段露出しない後孔が空気に曝される。
それどころか生暖かい息が掛かって来て、俺は反射的に下半身を馬のように跳ねさせてしまった。
「ぅあぁっ! 待って、まっ……そこ、見ないでっ……やだ、息かけないで……!」
「あはは、見られてるって解ったら、きゅって締まったよ。……ん? 変だなあ、僕は何にもしてないのに、ツカサ君の股の間から何か垂れてるんだけど……」
「ふぇっ……?!」
垂れてる物、何が垂れてるって?
初めて垂れているモノの大元を意識して、俺は自分の下半身がとんでもない事になっているのにようやく気付いてしまった。
俺の分身が、熱くなっている。
見られている恥ずかしさに浮かされ、ブラックの手の動きを追うのに精一杯で、俺は今まで気付いていなかったが……俺の欲望の塊は尻の肉を撫で回されただけで勃起して、もう先走りを垂らしていたのだ。
あ、あぁああ……こ、これ、流石に「快楽に弱い」ってだけじゃあフォロー出来ないような……やだ待って、そんな、尻触られたり見られた程度でこんな……。
「僕に沢山恥ずかしい事言われて、もう興奮しちゃったのかな……ふ、ははは……ツカサ君もすっかりスケベでいやらしい子になっちゃったね」
「そ、んな……」
「違わないだろう? ツカサ君は『いつもの自分ならこんな事で興奮しない』って思ってるだろうけど、ツカサ君はいつもおちんちんを固くして、可愛い穴も僕が欲しくてヒクヒクさせてるじゃないか。それって変だよね。いつもこうだなんて……ツカサ君の主張と違ってて、おかしいよねえ?」
「ぅ……うぅ……」
いやだ、言うな。聞きたくない。
足が震える、つま先立ちで立っている事も、ブラックの目の前で恥ずかしい所を突き出してるのすらも辛くなる。だけど、聞きたくないと思って耳を塞ごうとしても、至近距離にいる相手の声はどうしても聞こえて来て。
その視線が、熱い吐息の動きが、俺の見て欲しくない場所をじっと舐めるように見つめているのを、どうしても感じてしまって。
鋭敏になった五感が、俺を追い詰める。
逃げ出してしまいたいのに、そう出来ない。
不可解な焦燥感にのたうつ俺に……ブラックは、実に愉しそうな声音で囁いた。
「こんなことで興奮しないはずなのに、こんなに興奮してるのって……無意識に、その恥ずかしさでもっと興奮したい、もっと僕に愛して虐めて欲しいって思ってるって事じゃないのかな?」
「~~~~……っ!」
――嫌なら、床を濡らすくらいによだれを垂らしたりしないよね。
いつの間にか登って来ていた声に耳穴をなぶられ、俺は背筋を逸らした。
もう、何をされても体が反応してしまう。ねっとりと耳たぶからうなじまで舌で舐められると、それだけで俺はひくひくと体を反応させてしまって。
自分が興奮していると言う事実が恥ずかしい。そう思うことが余計に俺の劣情を刺激して、俺は宙ぶらりんになっている下半身を震わせ両足を寄せた。
こんなかっこ、女みたいでいやだ。
犯されるのを待ってるみたいな恰好でブラックに圧し掛かられて、何もできずに興奮してはぁはぁ言ってるなんて。そんなの、俺まで変態みたいで。
でも、ブラックに言われた言葉にすらもう怒れなくて、下唇を噛むしかない。
なんでこう、男の体ってのは快楽に弱くて無駄に正直なんだ。
ままならない自分の体が悔しくて、俺は目に涙を浮かべて首を振った。
「ねえツカサ君……素股、こっちでしてもいい……?」
「んっ……えっ……?」
こっちって、どっち。
唐突な言葉に戸惑っていると、尻の谷間に何かがぬるりと割り込んできた。
ぅえっ、こ、これって……。
「やっ、やだ、やだって! 入れないって言ったのに……!」
「挿れないよ? でもツカサ君の柔らかい所って、太腿だけじゃないだろう?」
「まさか……し、尻コキ……」
「へー、コレってそう言うんだ」
「あぁああまた余計な事をぉおおお」
ばっきゃろお前、尻コキだなんてどう考えてもヤる前提の奴だろうが。
それで治まる奴も居るだろうが、お前は絶対治まらないだろ。絶対に!!
「普段はすぐ挿れちゃうけど……たまにはこう言うのもいいね……っ」
俺の心の中の叫びなんて考える事もせず、ブラックはゆっくりと尻の谷間に熱いデカブツを滑らせ始める。
ぬるついたそれはすぐに谷間を滑らかにし、思う存分液体を擦り付けて来た。
「んっ、ぅ……っく、う、うぅ……」
「はっ……はぁ……ツカサ、くん……もっとお尻締めて……」
締めてったって、アンタがデカブツすぎて完全に挟めないんだよ。
お前と俺の体格差がどんくらいあると思ってんだ。身長がギリギリ百七十に届かねえ俺に喧嘩売ってんのかお前は。そもそもケツのサイズ自体が違げぇよ。
そう罵りたいけど、ブラックの、その……先端が、なんか、谷間に入り込んでくる度にぐりって押し付けられるって言うか、その……。
と、とにかく、絶対わざとだよこれ!
濡れてる上に何か変な事になってるのに、そんな事されたらす、すぐ入りそうで怖い。挿れないって言ったくせに、なのにコイツは。
「っひ、ぁ……ぃやっ、あ、そこっ、つつかな……で……!」
「つつく? どこを。……ああ、ココかな?」
わざとらしくそう言って、ブラックは尻肉を割り開くと濡れそぼった後孔に先端をぐっと押し当てた。さっきの掠めるような動きとは違う、「突き入れる」行為を連想させるような――強い力を込めた動きで。
そんな事をされたら、慣らされた俺の体はもう。
「ふぁああ! も、そこっ、やだって、すんな……!」
「でも、どうしたって触れちゃうんだもん。我慢して? ……ああでも、こうして我慢できずに僕に訴えて来たって事は……ツカサ君は、僕のペニスが欲しくなってきちゃったのかな……?」
「そ、んな……」
「欲しいって言ってご覧。そしたら、ちゃんと挿れてあげるよ……。ほら、前にもおねだりした事が有るんだし、簡単だよね?」
スケベオヤジ丸出しの嬉しそうな声で言いながら、ブラックは先程よりも強く穴をえぐりながら、濡れた熱塊を尻に擦り付けて来る。
……結局こうなるのかよ。するなって言ったのに好き勝手しやがって。
恋人だからって、約束を破って良い訳じゃないんだぞ。
そうは思うけど……でも、情けない事に俺も体内の疼きが我慢できず、ゆっくりと腰が揺れ始めていて。
悔しいけど、ブラックの妄言は当たっていた。
「ツカサ君」
「ぅ……うぅう……」
「ツカサ君が好きな言葉で、おねだりして」
熱のこもった声が、背後から俺を急かしてくる。
だけど、そんな急に言われたって心の準備が出来てない。熱に浮かされてるとは言え、俺はまだ物を考えられる程度には理性が残っていて、恥ずかしい台詞を屈辱に感じる自尊心が歯止めをかけている。
俺がどういえばいいのか躊躇っていたら、今度はブラックが我慢できなくなったのか今まで放って置いた俺の中心をぎゅっと握り込んできた。
「ふあぁあ!?」
「ね、ツカサ君……僕もこんな風に涎を垂らしてるんだよ……だからさ……」
「ぁうっ、だ、めっ、擦っちゃやだっ、あっ、やあぁ……!」
大きくて熱い手が俺のモノを扱くたび、声が上擦って高くなってしまう。
そんな俺のうなじに執拗にキスを施しながら、ブラックは先端でつんつんと俺の後孔を刺激して、俺を更に追い詰めて行った。
今まで放置されていた自身を執拗に撫でまわされ、握り込まれて強く扱かれると、急激な快楽の波に俺の理性は容易く溶けて行ってしまう。
それを待ち望んでいたとは思いたくないが、そうなると俺もブラックが与える快楽を受け入れるようになって――――頭のねじも外れてしまい。
「ツカサ君……ほら、言ってご覧」
小さな声で良いからと覆い被さって来て、俺の顔の横に鼻先を突き出してくる。
……ホントなら、シラフの俺なら、絶対に従わないのに。
だけど、ブラックの大きくて武骨な手に自身を包まれ、欲望を隠しもせずに後ろに付きつけられていると、もうちっぽけな虚勢なんて消えてしまって。
我慢出来ず、俺は。
「…………いれ、て……」
「ちゃんと言って?」
優しく言われて、喉が動く。
「っ……ブラックの、お、おちんちん……俺のお尻に……挿れて……っ」
前にも何度か言ったんだ。今更、恥ずかしくなんてない。
羞恥も捨てて頭もぼやけた状態で言ったけど、でも、やっぱり慣れない。
自分が淫語だと認識している言葉を口に出すなんて、やっぱりどれほど頭がバカになっていようが耐えられる物ではなかった。
だけど、俺の「耐えられない」という想いが強ければ強いほど体は熱を上げて、ブラックに触れられている部分は敏感になってしまう。
羞恥のせいだと解っていても、自分が淫乱になってしまったかのようで怖くて、俺はただ涙をこぼす事しか出来なかった。
「良く出来ました……おや? はは、ツカサ君……いやらしくて恥ずかしい言葉を呟いただけで、もうイッちゃったんだ……ふふっ……はははっ、本当可愛いなあ! そんなに感じやすいんじゃ、これから恥ずかしい言葉を言う度にイッちゃうんじゃないのかな? ああ、でもソレ、いいねぇ……僕に恥ずかしい言葉を言わされて、その度に射精して泣きじゃくるツカサ君なんて……最高に興奮するよ……」
「う……うぅう……も、もぉっ、いいだろ……!」
「もちろんだよ……さあ、一緒に気持ちよくなろうね……っ!」
慣らされていない後孔に、ぐっと熱くて硬い物が押し入って来ようとする。
だけど不思議な事に俺の後孔は抵抗する事も無く、俺が内部を広げられる苦しさに喘ぐ様とは裏腹に、ブラックをゆっくりと受け入れ始めた。
濡れた肌が擦れ合うような音を立てて、少しずつブラックが体内を進んでいく。
あんなに大きなものなのに、最早痛みなどない。ブラックを受け入れ慣れた体はブラックの形いっぱいっぱいに広がって、俺を満たした。
「んっ……ぶらっ、く……っ」
「ふふっ……ツカサ君の、ナカ……僕の形に慣れて来たのかな……っ? 何だか、悦んでるみたいに締め付けて来るよ……」
荒い息が聞こえる。
顔を見なくても興奮しきっているのが解ってしまって、そんな相手を知るとまた体が熱くなってきてしまう。堪え性の無い俺の欲望は、ブラックが体内で身じろぐだけで反応して、もうわずかに勃ち上がってしまっていた。
相手の一挙手一投足に、どうしようもなく欲が煽られる。
……こんなはずじゃなかったのに。
もう、全部思うつぼだ。
「ツカサ、君……っはぁ……動くよ……っ」
耳元で嬉しそうな声が吐き出される。
その感情をむき出しにした声に一番体が反応したなんて……絶対に言えない。
ああ、それにしてもコイツ、本当に人の心配なんて気にしちゃいないんだなあ。
せっかく、恋人として……忠告してやったのに。
くそっ、もう、明日俺と一緒に腰痛になっても知らないからな。
なけなしの理性で毒づいて、俺は次に来る快楽の波に身を任せたのだった。
→
※次のえっちは挿入メインなのでとりあえずこっちは前技だけで。
少しずつ慣らされて調教される少年って美味しいよね!(´^ω^`)ニコッ
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