異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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北アルテス街道、怪奇色欲大混乱編

18.不可抗力で羞恥プレイ※

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※最後にちょっとだけ別視点
 


 
 
「あの……それで、祭りってなんの祭りなんですか?」

 館を出て、薄暗くなった道を歩きながら俺は村長さんに問う。
 この辺は山間部だからか、日が落ちて来ると妙に肌寒い。腕をさすりながら周囲を見るが、夕方と言う事も有ってか村の道には全く人通りがなかった。

 まるで、俺達しか存在していないかのようだ。

 ぞっとしない考えに隣で歩いているブラックとの距離をちょっとだけ縮めると、村長が俺の緊張を読み取ったように明るい声で返してきた。

「ああ、祭りと言っても本当に小規模な物でしてね。収穫物が売れた事のお祝いだとか、その収穫物を齎してくださったオタケ様に感謝する為に踊りなんかのもよおし物をするんですよ。本当はもう少し日が経ってから行うものなのですが、折角旅の方が滞在して下さってるんだからと、昨日みなで前倒ししようと決めたのです」
「そんな……収穫祭は重要な祭りだろうに、僕達のために曲げていいんですか?」

 慣習とか伝統には詳しそうな博識中年が、少し困惑気味に言う。
 そりゃそうだろう。伝統行事を旅人の為だけに日程変更するなんて、普通は有り得ない事だしな。婆ちゃん所の村祭りだって、動かすにしろ一週間程度が限度だ。
 この村に何度も来ているトルクが祭りの事を何も言わなかったんだから、収穫祭は恐らく一週間以上先の事に違いない。

 それを俺達の為だけに動かしたってんだから、そりゃ困るわ。
 ブラックの言葉をもっともだと思ったのか、村長は深く頷きながら俺達を振り返る。

「いやぁ、今回は特例ですよ。なにせ、トルクさんを助けて下さったのですから。彼は前代の商人さんと同じく、村にとってはとても大切な存在なのです。その方を助けて下さったと言うのなら、貴方がたは我々の命の恩人も同じこと……ですから、もう一度精一杯の歓迎をしようと思い村の者達で決めたのです。……ご迷惑だったら申し訳ない」

 どんだけ重要視されてるんだ、トルク……。
 でも、それならこうも俺達が歓迎されるのも納得だけどな。村にはトルク以外の商人は来れないみたいだし、唯一の収入源が立ち消えたら困るんだろうし。
 ……にしても、なんで行商人頼りなんだろう。

 普通、近くの街に自分でおろしに行ったりしないもんかね。なんか色々引っかかるよなあ、この村……良い村には違いないんだろうけど。
 そんな事を想いつつ首を傾げる俺に、ブラックがそっと耳打ちしてきた。

「ねえ、ツカサ君」
「なに?」
「もしかして……あの……あの道具、まだ挿れてる……?」
「っ……!」

 いきなり何を言う、と声を上げそうになったが必死に抑える。
 ブラックも別にからかいたいから問うてきた訳でもないようで、なんだか気まずそうに眉を引き下げていた。

「あの、あのね……だったら、早く抜いた方が良いと思って」
「早く抜くって……どういう事だ?」

 村長に聞かれないように、顔を近付けてひそひそ声で話す。
 オッサンの息が掛かって深いだったが、聴かれたくない話なので仕方がない。
 そんな俺の思いを知ってか知らずか、ブラックはとんでもない事を言いだした。

「いや、言い忘れてたんだけど……アレは普通の豆じゃないんだよ。何て言うか……濡らして置いといたら、豆から発芽して」

 は?
 はつが?

「ちょ、ちょっと待って物凄い怖い、なにそれお腹食い千切られる奴?!」
「いやいやそんな物売ってたら逮捕されちゃうって。違うんだよ、あのね、あれは発芽したら膨張して、体の中を無数の……」

 と、ブラックが続けようとするが。

「お二方、つきましたぞ。この講堂で話し合いが行われておるのです!」
「ひぇっ!? え、も、もう着いたんですか!?」

 思わず声を上げてしまったが、村長は気にもせずにニコニコと笑って前方に手を向けている。その手の先には、こじんまりとした小屋が立っていた。
 講堂と言うよりも……なんだろう、隠れ家……いや、作業小屋……。

「と、とにかく入ろうか、ツカサ君」
「え……」
「何か変な事になったら、僕がかばうから大丈夫。ツカサ君はいつも通りにしてて」
「う……うん……」

 無数のって何だよ。怖い物じゃないよな。体内でホラー展開とかやめてくれよ。
 色々と考えてしまったが、ここまで来た以上もうどうする事も出来ない。
 俺は無意識にブラックの背に隠れるようにしながら、小屋へと入った。

 小屋の中は狭く、長い机と無数の椅子が並べられているだけで、他には何もない。その椅子には、若者や老人など年齢もバラバラの数人が座っていて、俺達が入ってくると一斉いっせいに立ち上がって歓迎してくれた。

 今となっては物凄く気まずいが、俺とブラックはぎこちない笑みで会釈えしゃくをして、ドアの真正面にある一番奥の席へと二人して座った。いわゆるお誕生日席だ。
 村長はブラックの隣の角らへんに座り、やっと話し合いが始まった。

 まあ、話し合いと言っても、俺達にはあまり関係がない。
 最初は形式をどうするかとか御供え物は誰が用意するだとか、詳細なことはアレとかソレでぼかされてて、俺達には内容があまり見えてこない話だった。

 俺達には解らないが、旧知の仲の彼らには解る事だから意味不明でも仕方ない。こちらの話が降られるまで黙っていようと思い、少し座る体勢を変えてみる。
 すると、なんだか、尻がもぞりと変な感覚を覚えたような気がした。

「……?」

 確かに今は微妙な拡張プレイを嫌々ながらやっているワケだが、正直な話ケツが締まらんほど浅く埋め込んだのでも無し、変な感じはするが今まで平気だったはずだ。いや、長い時間入れてたから逆に変に思えて来たのか?
 ま、まさかな。歩いてても多少の違和感があっただけだったし。

 気のせいだと思って、再び姿勢を戻そうとする。だが。
 次の瞬間、明確に中をぞわりと撫でる感覚が有って、俺は悲鳴を上げそうになる口を、咄嗟とっさの事でぐっとつぐんだ。

「っッ……!! っ、ぅ……!?」

 なんだこれ。何が起こってんだ。
 状況が把握しきれなくて思わず誰もいない方向へと顔を背ける。だが変化は止まらず、ナカを撫でる「小さな何か」は確実に増え、数えきれないほどの細かな感触が一斉に張り付いてうごめき始めてしまった。

「っ~~~~~!!」

 指とはちがう。何かの触手のような感覚。その無数のなにかがまだ潤んでいた俺の内部を満遍なくグリグリと押し、舐め、水分を求めるように奥と外へと向かおうと伸びてくる。それらの動きはあまりにも刺激的で、俺は耐え切れずに目を細め、体をぶるりと震わせた。

 内部の動きは、声を我慢出来たのが奇跡的なほど激しい。
 必死に耐えていたものの、しかし、流石にその姿はブラックには何が起こったか理解出来ていたようで。ブラックは周囲が俺に気付いていないかを慌てて確認し、体を曲げて机の下に隠れようとする俺にひそひそと囁いた。

「つ、ツカサ君……まさか……」
「っぅ……そのっ……まさかぁ……っ」

 内部の小さな触手が内壁を擦り押し上げる度に、喉がきゅっとなって声が勝手に高くなる。ブラックに必死で伝えた小声は、もう既に泣きそうなほど震えていた。
 そんな俺の我慢を嘲笑あざわらうかのように、触手は内側から後孔の出口を叩き、すぼまりの中心をぐいぐいと押して外へ出ようとして来る。

 通常ではまずありえないその異様な感覚に、俺は我慢できず椅子から落ちて地面に突っ伏してしまった。

「っ、ぅ……ぅぁ……っく……っ……~~~っ!!」

 開いた口から声にならない声が出る。先程の満たされなかった熱が触手のせいで一気に戻ってきて、体がまたのっぴきならない事になって来た。

 抑えようとして力を入れるけど、そんな事をすれば余計に触手を感じてしまう。
 体内でもぞもぞと動き回る異物に耐え切れず息を吸う俺に、相手は無慈悲に内側から後孔を無理矢理にこじ開けた。

「んぐっ、ぅ、ぅう……っ……!」
「あわわわ、つ、つかさくっ」

 ブラックが俺を介抱しようと手を伸ばす。
 しかし、それは叶わなかった。

「さて、では最後にお二方には一緒にオタケ様の所へ参拝……おや? ツカサさんどうなさいました。はっ、もしやお気分が悪いのでは?!」

 机の上からガタガタと音が聞こえる。全員が俺の為に立ち上がったのが解って、思わず泣きたくなってしまった。
 こ、こんな時まで優しさ発揮しないでぇえ……。

 いっそ気絶してしまいたいけど、こんな所で迷惑をかける訳にも行かない。
 俺は困り顔で汗をかいているブラックに「大丈夫」と虚勢を張り、赤い顔のままでなんとか自分を律して椅子へと戻った。

「あ、あの……大丈夫、です……っ」
「すみません、ツカサ君まだ熱が引いてないみたいで……でも、大丈夫ですから」

 立ち上がった村人たちは皆一様に俺の状態を心配そうに見ていたが、村長が咳を一つして場の空気を変えた。

「分かりました。……ですが、気分が悪かったらすぐにおっしゃって下さいね」
「は、はぃ……」

 にっこりと笑うが、顔の筋肉の震えが酷くて笑えているかどうか判らない。
 だけどブラックを挟んでいたお蔭か、村長には俺の表情が見え難かったらしく、相手は俺の言葉に安心して話を再開した。

「では、お二人にはお祭りに出て頂き、主賓と言う事でしばし席に居て頂き、それから祭りの終わりにオタケ様に参拝する為に、一緒に行って頂きたいのですが……その時には、是非礼装をして頂きたく……」
「礼装ですか」
「ええ、晴れの席ですので礼装をするのです。ですので、もしご参加頂けるなら、お手数ですが我々の村の礼装に着替えて頂きたく……」

 村長の問いかけに、俺の分までブラックが答えてくれる。
 今ほど口が達者な相手にありがたみを感じた事はないと思ったが、しかし、俺の感謝など歯牙にもかけず体内から這い出た触手の一部は尻の谷間を蠢き、狭い股間の隙間に入り込んできて。

「っ……っく……ぅう……」

 下唇を噛んで耐えるが、どうしても息に交じって声が漏れる。

「礼装と言うのはどんなもので?」
「まあお貴族様の礼装とは違いますな、起源ははっきりしておりませんが、我々の村に伝わる礼装はドラグ山の……」

 目が霞む。涙が溢れそうになる。
 触手は俺の都合など考えもせずじりじりと服と肌の隙間を通り、その細い身体をもう軽く膨れている場所へと伸ばそうとして来た。
 蟻の門渡りの部分を無数の小さな触手で撫でられる感触は、後孔で続けられている凌辱と相まって俺の理性をどんどん溶かしていく。

 触手の動きが、分かる。
 今俺の中を何本もの触手で確かめるように這い回って、後孔の襞を広げてくねりながら股間を這い、陰嚢へと伸びて、触れたくてたまらない場所へ、触手が……

「ああ、じゃあその格好で大丈夫です」
「さようでございますか。では、ツカサさんもそのように?
「はえっ!?」

 いきなり話を振られて、俺はやっと現実に意識を戻した。
 あまりに唐突だったためか、触手の動きだけしか追えてなかった俺は思わず立ち上がってしまったが、村長はニコニコと笑って再度俺に同じ事を問いかけてくる。
 え、なに。何が大丈夫? 格好? かっこって、なんの。

「ツカサ君、格好。服装だよ」

 心配そうなブラックの言葉に助けられて、俺は頷く。
 自分が今どんな顔をしているかすらもう考えられず、とにかく笑う。

「あ、あ……か、かっこですか……」

 大丈夫、問題ないです。
 そう、言おうとしたと同時――――触手が、ついに俺のモノに絡みついた。

「ッつ……!!」

 や、やだ。まって、今は駄目だって、今みんな俺に注目してるんだって!
 涙で視界が歪むが、触手は標的を見つけたと言わんばかりに一気に外に出る触手を増やし、俺のモノに絡みつくと先端をぐりぐりと弄りつつ緩く擦りあげた。

「だっぁ……っ~~~~~!! だっぃ、じょ、ぶ、です、っ、ぅ、っ……!」
「あ、どうしましたツカサさん、やはりご気分が……」
「つ、ツカサ君」

 ブラックは中腰になって、俺を隠そうとする。だが、俺はもう触手がもたらすす前と後ろの快楽に足に力が入らず、勢いよくへたりこんでしまった。
 ダメだ、もう、だめ……っ。
 後ろと前をこんなに弄られて、沢山の人の前で、こんな……っ!

「あっ、あ、あのツカサ君本当に体調悪いみたいなので、僕達はこれで……!」
「そうですか、ではあの、詳しい事は後で話しますので……」
「ありがとうございます!」

 そう言うなり、ブラックは俺をお姫様抱っこして村人達が俺を凝視する間もなくさっさと小屋から脱出した。
 息が詰まりそうなほどの狭い空間から、少し冷える空気に満たされた外に連れ出されて、俺はやっと安心して息を吐いた。だけど、その息はあまりにも熱い。

「ツカサ君大丈夫……!? ああ、ごめんね……こんな事になるならやっぱりもうちょっと我慢しておくべきだった……」

 走るブラックの振動が、触手にもてあそばれている俺の体を余計にさいなむ。
 それが辛くて、俺は精一杯の懇願を込めた目でブラックを見上げた。

「ぶら、っく……だい、じょ、ぶ……だからっ……っ……」

 頼むから、もうちょっとスピードを落として。
 そう言おうと思ったが、俺を見ているブラックの顔が明らかに先程の顔ではなくなっていて。

「ツカサ、君……大丈夫なの……?」
「ぶら、っく……?」

 あの、なんか顔に陰かかってるんですけど。顔赤くなってるんですけど。
 もしかして興奮してません? ねえ、オッサン興奮してるの?

「いや、そうだね。大丈夫じゃないよね、そうだよね! こ、これじゃ辛いだけだもんね? まずは……まずは、これを、取らなきゃ……!」

 そう言いながら、声に若干のいやらしさが混じり始めたオッサンは、館へと戻る道ではなく、すぐそばの森の中へと方向転換をして走り始めた。

「ふぇ……っ!? ひぁっ、や、ちょ、っと……!!」

 森の中に入って何する気なんだよ! 夕方になってて暗いのに、なんでわざわざ怖い森の中に入ろうとするんだこの男は!
 離せと手を突っ張ってみるが、下半身を絶えず刺激されていては力も出ない。
 結局ハァハァ言ってるおじさんに捕まったまま、俺は村から少しだけ離れた場所に降ろされて、木を背にして立たされてしまった。

「ぶ、ブラック……っ」

 何をする、と相手を見上げると、ブラックは見事に下衆な笑い方をして、欲情を我慢しきれない声でじりじりと手を近付けてくる。

「はぁっ、はっ、つ、ツカサ君……ほら、えっちなものを取ってあげるから、ぼ、僕にちゃんと見せてご覧……」
「ばっ、ばかっ、変態おやじ……っ!!」

 それ完全にモブおじさんの変態台詞だろうがっ!!
 涙目で突っ込むがブラックはもう興奮してしまっているのか、俺にかまわず一気にズボンと下着をずり下げて来た。ひぃ、ま、また野外でこんなことっ。

「ブラック、なぁ、こ、ここ……外……っ」
「いいじゃない、今まで散々外でセックスして来ただろう……? ここは他の場所に比べれば誰にも邪魔されないし、静かでいい場所だよ……! さあツカサ君……どういう風になっているのか僕に見せてごらん……っ」

 あーっ、もう完全にスイッチ入っちゃってるぅうう!!
 でも、そう言う俺も……触手に散々弄繰いじくり回されてどうしようもなくなってて。
 さっきの恥ずかしくて死にそうだった時の興奮もあって、股間は固く膨れ上がり、後ろは触手の蠢きに物足りなさすら感じて収縮を繰り返していた。

「ああ……はは、これは随分といやらしい具合になってるね……」
「っ、も……言うなっ……ばかっ……!」

 そりゃそうだろうよ。俺だって見えちゃってるよ。
 俺のギンギンに立ち上がった物に、何本も絡みついて先端を突く緑の小さな触手が見える。その触手は後ろにまで続いていて、ぐちゅぐちゅと音を立てて俺の中を犯しているんだ。後ろは見えなくても、動かれ続けててもう嫌と言う程解ってる。
 こんなの、アンタ以外に見られたら自殺すら考えるよ。

「随分と気持ちよさそうだけど……でも、声が我慢出来てるってことは、やっぱり物足りないのかな……? このまま月が出る時間まで続けていれば、きっと物凄い絶頂が迎えられるはずだけど……」
「そっ、そんなのやだ!! これだけでも、つらい、のに……っ!」
「あっはっは、まあまあ……じゃあ、なんて言えばいいか分かるよね?」

 そう言いながら、ブラックは股に手を差し込み、触手がうごめく後孔に指を当てる。

「ひぁっ、あ……!」
「ふふ……ツカサ君、やっぱり僕の指が欲しいんだね……? 嬉しいよ……」
「わか、ってるん、だったら……っ」
「だから言って欲しいんだよ…………ねえ、僕を欲しがって……?」

 菫色すみれいろの瞳にくらい光を灯しながら、ブラックは優しく俺の後孔を撫でる。
 細く頼りない、冷たい触手ではなく、熱くてしっかりとした人間の指で。
 部屋の中で俺が欲しがってしまっていた、あの、武骨で大きな手で。

「ブラック……っ」
「言って……僕も、もう準備出来てるんだよ……。早くツカサ君のココに入れたくて仕方ないんだ。……だから、どうして欲しいのか……僕に聞かせてよ……」

 荒い息を繰り返して、触手の合間からぐりぐりと襞を押し込む指。
 ブラックの前には緑の帯に塗れて先走りをしとどに垂らした俺の欲望がそそり立っていて、後ろからの刺激にびくびくと細かく震えている。
 俺の羞恥なんて関係なく、体はブラックに触れられたがって興奮しているんだ。

「ツカサ君……」
「――――っ」

 囁かれる、低い声。
 その興奮して掠れた声で名前を呼ばれると、もう。

「…………って……」
「うん……?」
「おね、がい……ブラックの、ち……ちん、ちんで……俺の、お尻に……っ」

 オナニーした時から、ずっと、物足りなかった。
 いつもと同じに扱いたはずなのに、媚薬のせいなのか、それとも快楽が弱かったせいなのか、どうしてもブラックとえっちした時みたいに気持ち良くなれなくて。
 だから、ずっと体が熱を持ってうずいていて。
 俺も、早く……犯して、欲しかった。

 俺の素面での精一杯の誘い文句を聞き、ブラックは――目を見開いて、またあの狂ったような笑みで喉から笑いを絞り出した。

「あはっ……あはははっ……!! よ、っ、ははっ、よく、出来ました……!」

 ブラックの顔が近付いて来て、避ける間もなく唇を奪われる。
 それと同時に後ろを触っていた指が潤んだ後孔に思いきり突き立てられ、内部で俺を蹂躙じゅうりんしている触手の幾つかを指で引き寄せた。

「ん゛っ、ぅ、んぅっ、ぅ……ぅうん゛……ッ!!」

 舌が俺の舌に絡みついて来る。
 強く吸われると、頭の芯が痺れて一瞬意識が飛んだ。
 その間に、ブラックの指は三本に増え、触手を絡め捕ってぐるぐると内部を押し開きながら動き、そうして一気に触手を引き抜いた。

「んん゛――――――……ッ!!」

 その勢いで前に絡みつく触手も引っ張られて落ち、俺は大きく体を震わせた。

「っ、は……ははっ……さあ、全部取ったよ……! ツカサ君が欲しがってる物、今あげるからね……っ」

 唇を離し、ブラックはガチャガチャと焦ったような音を立ててベルトを取って、ズボンから限界まで張りつめて汁を垂らしているモノを取り出した。
 昨日見たばかりの嫌な物なのに、今の俺には待ち侘びた物にしか見えない。
 泣き顔を歪めてブラックを見上げると、相手は嬉しそうに笑って、俺の片足に腕を通して軽く抱え上げた。

「ちょ、ちょっと……苦しい体勢だけど……許してくれよ……っ!」

 息が整わなくてどもりつつ、ブラックは熱い剛直の先端を押し当ててくる。
 今更拒否するなんてことはもう考えられなくて、俺は言葉無く頷いた。

「っ……あっ……あぁああぁ……!」

 柔らかく解れた内部に、一気に太くて硬い異物が入り込んでくる。
 ブラックの陰茎はぎちぎちに内部を広げて擦りあげ、散々に焦らされてぐずぐずになっていた俺の内部を満たした。
 その熱さが、大きさが、奥まで届く。その感覚は、この上なく俺を高ぶらせた。

「っ……つかさ、くん……動くよ……ッ!」
「まっ、あ、ひあぁっ、やっ、あぁああ……っ!!」

 ずるりと動いた瞬間に、俺は衝撃に耐えきれずに射精してしまった。
 だがブラックはそれに構わず、腹を突き破らんばかりの勢いで、下から俺を何度も何度も力強く突き上げて来て。

「っあぁああ、ぁ、ぁあぁっ……! や、ふかっ、あ、ぅあぁ……!」
「はっ、はぁ……はぁっ……ツカサ君、ツカサくん……っ!」

 木に背中を押し付けられて、がくがくと揺さぶられる。
 だけど片足一本で立たされているのは不安定で辛くて、俺は涙に歪む視界で必死にブラックの体に捕まって体を押し付けた。

「ぶらっ……く……ぅあぁっ、もっ、も……おれっ、い、く……っ!」
「あぁ……っ、はっ、いいよ……一緒に、イこうね……っ!」

 片足を痛いくらいに上に引き上げられ、そのまま抱き締められる。
 痛みと快楽と、奥まで付き上げられた強い感覚に、俺は喉を曝す。
 その喉に、ブラックが強く噛みつき……俺達は、同時に絶頂を迎えたのだった。












--------------------------------------


 狭い空間で、誰ともなく集まった者達の声が聞こえる。

「あの二人はどうだ」
「どちらも生命力は高そうでいいのではないですか」
「片方は申し分ない」
「ここ数年で一番かもしれませんな」

 最後の男の言葉に、そこに集っていた全員がそれぞれに笑った。


「これでまた、いいものが出来上がりそうだ」


 感慨深げな声に、また笑いが起きる。
 狭い空間を満たす様々な笑い声は、どれもが嬉しそうに歪んでいた。











 異世界アダルトしょっぷ蔓屋特製玩具
【快楽ナッツ君一号】
 見た目は規格外に大きい豆だが、少し水分を含ませておくと内部から小さな触手が出てきて、前から後ろからと存分にお相手をよがり狂わせることが出来てしまう夢の携帯触手プレイ玩具。
 内部と共に水分が出る棒やら豆やらも一緒に責め立てる優れもの。
 植物由来ながらも意思などはまったく持ち合わせていない物なので、モンスター愛護団体からのクレームもなく気軽に楽しめる。
 使用したまま挿入すると触手の核が潰れるので複合プレイが出来ないのが難点。

 やめたい時は紐を引っ張って核を無理矢理取り出せばいいので処理が楽。
 ナッツ君は内部から引き抜かれると自動的に萎れる仕様。
 他にイボイボ太めで触手が少なめの二号、膨張する三号など
 色々取り揃えていたりするが本編に出るかは謎。
 (昭和テイストなネーミング…)
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