異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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北アルテス街道、怪奇色欲大混乱編

  いつもなら絶対に見せない姿で2※

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「石の床で悪いけど……でも、僕も部屋に連れていく余裕がないんだ、ごめんね」

 ツカサ君が、可愛くおねだりするから悪いんだよ。
 押し倒された後、そんな事を耳元で囁かれて、俺は羞恥に身をよじった。
 例え体が発情していようが、俺の理性や恥ずかしさは消える事がない。消える事がないからこそ、こんな事を言われると俺は余計に反応してしまうのだ。

 自分の身が恨めしいが、もうそれを言っても仕方がない。
 体は完全に出来上がってるし、ブラックも俺の暴走に乗せられてしまった。
 俺から誘ってしまったという事実が有る以上、もう抵抗は許されない。
 ただ、ブラックの慈悲にすがる事しか出来なかった。

「ツカサ君……背中がこすれて痛かったら、すぐに言ってね……」
「ん……」

 仰ぎ見る相手は髪を解いたままで、長い赤髪が幕のように周囲を閉ざしている。
 真正面にあるブラックの顔は、いつにも増して野性的に見えた。

「あぁ……やっと、君に触れられる…………」

 感慨深げにそう言いながら、ブラックは触れるだけのキスを寄越す。
 温かい空気の中で湯を被ったせいか、その唇はいつもよりも柔らかい。
 わずかに声を漏らした俺の息を吸い取るかのように、ブラックは角度を変えて深く口を合わせて来た。

「んっ……ぅ、むっ……ん、うぅ……っ」

 いつものように、生温い舌が探るように侵入してくる。
 俺の唇を舐め、歯列を叩いて難なく侵入してきたブラックの舌は、いまだに深いキスに慣れない俺の舌をちろちろとなぞった。
 反射的に顎を戦慄わななかせるが、愛撫が止むことはない。それどころか、ブラックはそのままゆっくりと手を胸部に這わせてきたのだ。

「んんぅっ!? んっ、むぅっ……う、うぅうっ……!」

 敏感になっている肌にしっとりと濡れた指が這い、勝手に勃ち上がってしまっていた俺の乳首を難なく掴む。きゅっと絞られた感覚に声を上げてしまったが、その声はブラックの口腔へと消えた。そして、その喘ぎへのお返しとでもいうように、ブラックの舌は俺の舌を絡め捕ってもてあそび始める。

 段々と息が苦しくなってきて相手の腕を掴むが、摘まんだままの乳首をねる指の動きに翻弄され、腕を掴んだ手は力を失くして縋るだけになってしまった。

「っふ……ぅ、ぅうぅっ、ん、んぅ、う……っ」

 口の中で、柔らかな舌がぶつかる粘着音が響く。
 相手の息が頬に掛かり、唾液が口からこぼれて伝って行く。
 そこに意識をやろうとすれば強く乳首を引っ張られて捏ね繰り回され、俺はただ快楽にのたうつ事しか出来なかった。

 ブラックが舌を動かす度、指が動く度に、股間に熱が溜まっていく。
 悶えたいほどの熱量にさいなまれてもう完全に勃ち上がったそこは、タオルを持ち上げて存在をありありと主張していた。

 ……こんなこと、今まで、無かったはずなのに。

「あは……ココ、もう限界なんだね……ほんと今日はどうしたんだい? こんなに積極的なツカサ君初めてだよ。嬉しいけど、なんだか怖いな」
「ぉ、おれだって、何でか解んねぇんだよ……っ! でも、なんか、なんでか……こんな風に熱くて……っ、苦しくて……っ」

 アンタに触られるだけで、容易に熱が膨れ上がってしまう。
 ……恥ずかしくて、死にそうなほどに。

 だけど、事実だからしょうがない。どんなに恥ずかしくても、俺はアンタを欲しがって、もう訳が分からなくなってるんだ。自分でも情けなくて泣けてくる程に。
 そんな思いを込めて、涙に塗れたブラックを見上げる俺を見て、ブラックはしばし深く呼吸をしていたが――――急に、にやりと口元を歪ませた。

「……そっか…………。何となく、分かった」
「っ……ぇ……?」
「大丈夫だよ、ツカサ君……。今のツカサ君はね、酒の匂いに酔ってちょっと興奮してるだけだから。今は僕に任せて。セックスしたら、ちゃんと治るから……」

 治る。アンタに欲情した変な俺が、治るのか。
 本当に? と潤んだ目を向けると、ブラックは荒い息を吐きながら頷いた。

「だから……今は、思う存分ツカサ君を味わわせて……」

 ブラックの髪の毛が、先に頬に辿り着く。
 そのまま再び口付けられたが、俺は抵抗すらしなかった。

 だって、キスして貰えたら……
 体の熱が、気持ち良い物に変わるような気がしたから。

「んっ……ブラック……」
「ヤり過ぎちゃうかもしれないけど……今回は許してくれよ。ツカサ君が散々僕を誘ってくれたせいで、僕も凄く興奮しちゃってるんだからね」

 今の状態でそんな事を言われても、頷く事しか出来ない。
 頬が熱で痛くなって、俺は片腕で顔を隠しながらブラックに身をゆだねた。
 そんな俺の姿はブラックを良い気分にさせたようで、相手は緩んだ笑みを浮かべながら閉じていた俺の足に忍び寄るように手を這わせてくる。
 いやらしい手つきは、嫌でも相手の欲望を感じさせた。

 普段の俺ならその手に怒っていただろうけど、理性が溶けた今の俺には熱を煽る材料にしかならない。むしろ早く欲望の中心に触れて欲しくて、腰が揺れた。
 冷えはじめた内腿に熱い指が掛かり、わざと指を肉に食い込ませる。
 十本の指が膝から足の付け根に向かって登って来て、ゆっくりと両足を掴んだ。

「っ、ん……」

 肌に触れられるだけでもうそそり立った熱は反応して汁を垂らすのに、ブラックは焦らすように掴んだ両足をじりじりと開いて行く。
 タオルで隠れていようが、自身は完全に主張しているのだから意味はない。俺が恥ずかしいと思っている場所は、既にブラックに見られているのだ。

 解ってはいるのに、足を開かれると自分の全てを見られてしまうという羞恥心に駆られてしまい、俺はたまらず顔を背けた。
 ……本当は、早く触れて欲しいくせに。

「ツカサ君、どうしてほしい……?」

 何の抵抗もなく開いた両足を立たせて、ブラックはにやりと笑う。
 М字型に固定された足の間には、先走りを垂らす欲望の塊と、空気に触れた事でぎゅっと閉じた窄まりがある。その二つをじっと見つめながら、問いかけて来た。
 と言う事は、ブラックはあえて俺に選択を迫っているのだろう。

 この欲望を思う存分扱いてほしいのか、それとも女のように貪られたいのか。
 素面の俺ならどっちとも言えない、最低な二択だ。

 だけど、焦らされれば焦らされるほど俺の虚勢は崩れて行って。
 いつにも増して雄々しい相手を見ていると、我慢が効かなかった。

「っ……して……」
「ん……?」
「ど、っちも……気持ちよく、して……っ」
「どっちもって、どこかな」

 欲望に歪み始めた相手の声が、俺を追い詰める。
 股の間で俺をじっと見つめている菫色の綺麗な瞳が、濡れた男らしい体が、俺の答えを強請ゆするように息衝いていた。
 早く滅茶苦茶にしたいとでも言うように。

「……っ、ぁ……」
「なーに、ツカサ君」
「……ちん、こと……尻…………」
「ふぅん……を、触って欲しいんだ?」

 下卑げびた笑いを含んだ声を漏らしながら、ブラックが煽るように俺のモノを優しく握り込んで、もう片方の手で強く窄まりを押し込んだ。

「っつぁああっ!」
「いいね……いい、凄く良いよ……ツカサ君、よく恥ずかしい事言えたね……!」
「っ、ぅ……うぅ……」

 褒められたって嬉しくない。こんなの、最低だ。泣けてくる。
 だけど、ブラックに触られた瞬間から、俺は素直に声を上げてしまって。
 ここだよね、と嬉しそうに両方を擦られると、悶える事しか出来なかった。

「あははっ、恥ずかしい……? こんなにとろとろになってても、まだ恥ずかしいんだ……本当に可愛いね、ツカサ君は……」
「ぅ、あぅ……っ、ふっ、ぅ、うぅう……っ」

 自分がこんな事を言うなんて、思っても見なかった。
 こんなの、漫画でしか、女の台詞でしか聞いた事なかったのに。
 頭が熱に浮かされたって、自分で言い放った言葉の衝撃は変わらない。今までの男としての自制心も、理性も、全て失ってしまったかのような気持ちになる。

 俺は間違いなくブラックに服従し、言いたくない言葉も言ってしまうくらいに、こいつの「女」になってしまったのだと思うと、羞恥といきどおりとそれとは全く別の嫌な衝動がぜになって、体が勝手に暴走していった。

「ねえ、でもさ、折角こんなに可愛いのに……ツカサ君の言い方は、ちょっと興が削がれちゃうんだよね……」
「ふぇ……っ」
「僕の好きな言い方に直してくれたら……好きなだけでツカサ君のナカを突き上げてあげるよ……」

 そう言ってブラックはタオルを取り、凶暴なまでに勃起した剛直を見せつける。
 柔く扱かれ、窄まりを指で擦られていただけの俺にとって、そのブラックのものが齎す快楽は、思い出しただけで強烈な渇望を抱かせた。

 欲しい。もう、何でもいい。これ以上恥ずかしい事なんてないんだ。
 何でも言う。だから、早く。

「いう、から……はや、く……っ」
「本当? 嬉しいなぁ……じゃあ、こう言って」

 大よそ悪役が浮かべるであろう気味の悪い笑みを浮かべながら、ブラックは顔を近付けて来て、そっと耳打ちをする。
 周囲に配慮したのではなく、俺にしっかり聞かせて羞恥を与える為だ。
 それは解っていたはずなのに、俺は紅潮しているであろう顔を更に赤くせざるを得なかった。

「ほら、言ってご覧……もう今更、何を守る必要があるんだい……? ツカサ君が今欲しいのは、僕のこれだろう?」

 白い湯気の中でも凶暴な色をしたそれが、俺の中に入ろうと窄まりに頭を押しつける。そこから思い出される内臓を一気に広げられる感覚に、俺は身震いした。
 欲しい。余計な事を考えられなくなるほどの、あの、強い快楽が。
 なにより、ブラックの、その腕が……。

「恥ずかしい事なんて何もないんだよ、ツカサ君……。きみの乱れた姿は、僕だけしか知らない。恋人の僕だけが、君の恥ずかしい姿を知ってるんだ。ねえ、だから僕にだけ見せてよ……僕のツカサ君の、可愛く乱れた姿を……」

 濡れた体を、大きくて武骨な手が這う。
 解放されたくてはしたなく涎を垂らす欲望も、受け入れる事に慣れて勝手に蠢く後孔も、ブラックに触れられて熱を解放したがっていた。
 意地を張っているのは、俺の、ちっぽけな自尊心だけで。

 …………言えば、楽になる?
 気持ちいい事を沢山して貰える……?

 縋るように見上げたブラックは、長い髪を掻き上げて笑った。
 いつもとは違う、より雄々しくなった相手の姿。初めて見る、本当に何もまとっていない相手。それも、恋人だからなのだろうか。
 恋人だから、俺も、ブラックも、お互いにだけ…………――――

「……っ、ぁ…………ブラ、ック……」
「うん?」
「お、お願い……俺の……ちんちん、いじって…………お尻に、も……ブラックのペニス、挿れて……」

 いつもなら恥ずかしくないはずの、幼い単語。
 だけど、ふざけた時にしか使うことの無かったその単語を「性的な言葉」として言わされると、何故だか余計に恥ずかしかった。
 それが相手の好みだと言われると、尚更。

「ふ、ふふ……」

 ブラックが、笑う。
 ほら、やっぱりおかしかったんだ。
 こんな事、俺が言ってもどうしようもないのに。
 なのに「好みだから」って言わせるなんて酷い。こんな時にまで弄びやがって。

 悲しくなって涙目で相手を睨もうと視線を寄越す、だが。
 次の瞬間、ブラックがおかしかったから笑ったのではないと解って……
 俺は、固まった。

「ぁ…………」
「は、ははは……はははは……」

 口はこれ以上ないまでに歪んでいる。歯茎が見えそうなほど、笑っている。
 だけど目が。顔が、笑ってない。菫色の目はギラギラとした獣の如き光を帯び、顔には大よそ朗らかとは正反対の影を作って、俺を凝視していた。

「ぶ、ブラック……?」

 腹の底から湧いて出て来るような笑い声に、恐る恐る返す。
 だが、相手にはもう俺の言葉に応える余裕は無かった。

「さ、最高だ……あは、はははっは、はっ、さ、最高だよツカサ君――ッ!!」

 半分裏返ったような声を出して荒い息を吐き、ブラックはそのまま、強引に俺の中に押し入ってきた。

「あ゛ぁああぁッ!? ぃっ、ひ、ぎっ、あ、あっ、あぁあ゛ああ……ッ!」

 ひだがめくれ上がらんばかりの勢いで一気に奥まで押し入られて、俺はこらえ切れずに悲鳴を上げる。だが不思議な事に慣らされていないはずの体は、既にブラックを受け入れる為に解れていて、痛みはほとんど無かった。

 それよりも、与えられた快楽は凄まじくて。
 間を置かずに体内を埋められた事が強烈な刺激になってしまい、俺はその衝動をどうする事も出来ず、身をくねらせて啜り泣くしかなかった。

「っあ゛、あぁあ……ぅっ、あ……や、あぁ……」
「気持ちいい……? 気持ちいいよね、あはは、ははっ、涙と鼻水でぼろぼろなのに、ほらっ、ツカサ君の顔、凄くとろけてるよ……!!」

 開脚した形のまま腰を浮かされて、ブラックの陰茎が何度も何度も俺の中を蹂躙する。濡れた体から発せられる生々しい肉のぶつかり合う音が辛くて仕方なくて、俺は泣きじゃくりながら嫌だと首を振った。
 だけど、タガが外れてしまったブラックは聞いてくれなくて。

「はぁっ、は、はっ、あ、ツカサ君、ツカサ君、ツカサ君……!!」
「や゛、ぁ、あぁあぁっ、ぅ、あっ、だ、ぇ、も、あ、あぁあ゛……!」

 体を細かく揺さぶる程の激しい抽挿に、耐え切れずにだらりと精液が零れ落ちる。だが俺のものは一向に衰えず、それどころか前立腺を激しく擦られるたびに再び固く反り返ってしまった。
 そんな俺を見て、ブラックは噛みつくように俺にキスをする。

「ん゛ぅうっ、う、んむっ、ぅ、んぐ……ぅ……!」
「っ、ぷはっ……はっ……はぁ、はぁ……ツカサ君、ねえ、いま何をされてる? 言ってご覧、もっと気持ちよくしてあげるよ……っ」

 離したそばから興奮して食い気味に喋り、ブラックは唾液を口から零す。
 その姿は獲物を貪る獣そのもので、振り乱す髪は鬣のようだった。

 生温い唾液が喉を通り、抱き締められ、太腿に硬い肌が当たる。
 この獣のような男に全てを握られ犯されている、いや、狂うほどに愛されてるんだと思うと、俺の思考も容易く溶けて行ってしまった。

「もっと……っ、あ、うぁあっ……もっと、突いてっ……、ブラック、の……太いので、いっぱいにしてぇ……っ!」
「く、ククッ……ツカサ君、いい子だね……」

 ご褒美だよ、と、上から深く突き入れられて、甲高い悲鳴が口かられる。
 自分の声とは思えないほど弱々しい喘ぎにブラックはまた笑うと、そのままゆっくりと俺を抱き締めた。冷たくなり始めた体に、ブラックの熱い体が触れて、俺はたまらず中に入ったままのブラックのものを締め付ける。

 相手はそれに低いうなり声を漏らしたが、構わず俺をそのまま抱き上げた。
 そうしてそのまま、俺を抱えたまま軽々と立ち上がる。

「あぁああっ!」
「あ、深い所まで入っちゃった……? でも、まだだよ。折角風呂が有るんだから……色々と楽しまないとね……」

 何かを企むような声に、なけなしの理性が反応する。
 だけど、ぎちぎちに中を埋められて、ブラックの逞しい腹筋に陰茎が擦れると、頭がぼんやりして何も考えられなくなっていく。相手の肩に頭を預けて、歩くたびに細かい悲鳴を上げるしかない。

 揺らされるたびに最奥にこつこつと先端が当たっているような気がして、今までにない感覚に俺はどうしたら良いのか解らず、ただぼろぼろと涙を零した。

「ああ、泣かないでツカサ君……お腹が苦しいの? 大丈夫だよ、ほら……お湯の中に入れば楽になるからね……っ」

 ちゃぷ、と湯船につかる微かな音が耳に届く。
 何をするのか、と不安でブラックを見上げようとした、その時――――
 ただでさえ限界まで広げられていた後孔に、熱い何かが流れ込んできた。

「っぁああぁあ!? ひ、あ゛っ、やっなにっあっ、ぶらっ、く、熱いぃ……!」
「ああ、お湯が入っちゃったかぁ……はははっ、でも嬉しいでしょ? ツカサ君が浸かりたがってたお風呂だよ。中も外も、たっぷり楽しんでね……」

 頬にキスをされて、いきなり体勢を変えさせられる。
 風呂の縁に上半身を預け、床にすがるように四つん這いにされた俺は、背後から再び突き上げてくるブラックに泣いて許しを乞うた。

「ぅ、ん、ぃやっ、あ゛……あ、あぁああ゛っ! やっ、お湯、な、なかっ、いぁっ、いやだぁっ……! もっ、掻き回さないでぇ……っ!」

 ちゃぷちゃぷと湯船が波打ち、その中でお湯と共にブラックの膨張した陰茎が奥まで入ろうと突き進んでくる。動きが鈍くなる水中では、激しい抽挿も緩くもどかしい動きになって、後孔が勝手に物欲しげに締め付けた。

「ひ、あぁ゛……あ、ぅ……うぅ、うぇっ、も……も、やぁあ……」
「何が嫌なの?」
「お、ゆ……も、お腹、くるしぃ……っ」
「それだけ? ツカサ君のココは、もっと違う事を言いたいみたいだけど……」

 奥までみっちり詰め込まれたまま、入り口を指で撫でられる。
 お湯のせいでその感覚をちゃんと感じ取れない事が何故か異様に切なくて、俺は震える足を必死に立たせて湯船から結合部を引き出そうとした。
 だけど、腰を押さえつけられて、動けない。震える体はあまりにも脆弱だった。

「っ……ひっ、ぐ……ぅ、ぅあぁあ……」
「泣かないで……ほら、ちゃんと言ってくれたら好きな風にしてあげるよ……?」

 嘘つき。もっと気持ち良くするって言って、俺を泣かせてるくせに。
 どうせ言う通りになんてしてくれないんだ。
 好き勝手に、俺を弄んで俺を泣かせて……。

「ツカサ君、ねぇ……」

 でも、強請るような低い声で名前を呼ばれると、もう。

「も、っと……もっと、激しく、して……っ……お湯の中じゃ……やだ……」

 泣きじゃくりながらそう言った俺に、ブラックはまた大きく笑った。
 何か俺に対して言っていたような気がするが、お湯から引き上げられる音が耳に掛かって、よく聞き取れない。意識を保とうとしても、中のお湯を掻きだすように急に激しくなった抽挿に思考を完全に食い千切られて、何も考えられなくなってしまった。

 今はもう、ただ、待ち望んでいたもので、精一杯で。

「あぁっあ゛、ひぁあぁっ、ぶら、っう、なかっ、な、ぁ、はげし、よぉ……!」
「あっ、あぁ……いいよ、もっと、もっと言って……ツカサ君、もっといやらしい言葉で僕を昂ぶらせて……!!」

 勝手に言葉が口からこぼれ出る。
 頭がバカになったみたいで、後ろから突き上げるモノの形しか感じられなくて、上から覆い被さる大きな体にしか意識が行かなくて、俺は言われるがまま喘いだ。

 お湯が掻き出されて穴から流れ出る淫猥な音も、ブラックの微かな呻きも、俺を追い詰めて狂わせるように煩いくらいに耳に響いて。
 望んだ快楽は望む以上に激しすぎて、俺はもう、限界だった。

「ぅ……くっ……つ、つかさくっ……出すよ……ッ」

 耳元で吐息交じりに囁かれ、思いきり前を扱かれる。
 それと同時に、中にお湯ではない熱いなにかが流し込まれて、俺は体を弓なりに反らせた。

「っあ、ぅあぁああ……っ!」

 どくどくと流れ込むブラックの熱に引き摺られるように、俺の中のくすぶっていた熱も外へと吐き出される。反射的に締め付けた中の物は、射精の後の余韻に酔っているのか、残りまで吐き出すようにゆっくりと出し入れを繰り返していた。

「ぅ、あ……ぁ……」

 前立腺をこするその緩慢な動きは、絶頂した後の俺の体には辛い。
 そんな事をされたら、折角おさまった衝動がまたぶり返してしまう。

「ぶら、っく……もぅ……おれ……」

 細かく痙攣しながらも、泣きそうな顔で必死に振り返った俺に、欲にかすれた低い声でブラックがまた囁いた。

「まだ、足りないよね……? ツカサ君……」

 充分足りてる。もう、したくない。
 そう言いたかったのに、ブラックの手に握り込まれた俺のものを扱かれて、俺は拒否する言葉を言えなくなってしまった。
 湯船から出した俺のものは、熱を吐き出したのにまだ収まっていない。
 それどころか、扱かれる度にまた固くなっていって。

「あ……あぁ……」
「僕もまだ足りないんだ……だから、もう一度しよう……?」

 耳を噛みながら命令のように呟くブラックに、俺は頷く事しか出来なかった。













※今回はわりと軽いHしーんとかがある話が多くなるので(都合上)
 今後予告なく※つけますのでご注意くださいね! ツカサ快楽漬けイエーイ^^
 あとお湯は二人のためだけに張ったものですのでご安心ください(なんの心配だ
 
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