異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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裏世界ジャハナム、狂騒乱舞編

38.やっと、あなたを ※

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 入り組んだ暗い路地に辿り着くと、慎重に降ろされる。
 がっついてるくせにそんな所は優しいんだな、と変な事を思ったが、再びキスをされて言葉がつっかえる。固い土壁に押し付けられて、何度も何度も角度を変えて口付けをされた。

「んっ、ぅ……んぅ、うっ……」
「ハァ……っ、はっ……」

 荒い息が耳に届いて、唇を離されたかと思ったらまた塞がれる。
 息苦しくなってブラックの服を掴むが、相手はそれくらいじゃ止まらない。それどころか緩んだ歯列の隙間をこじ開けて、ブラックの舌が口腔に侵入して来た。

 まるで口内を味わうかのように舌が届く全ての場所をつつき、俺の縮こまった舌を捕えて、唾液を絡めて思う存分むさぼってくる。

「っ……んぐ……ぅ……」

 ブラックの舌が俺の舌を捕えて吸うたびに、背筋にぞくぞくとした悪寒にも近い何かが走る。だがそれは俺の体を熱くさせるだけで、少しも寒さは覚えなかった。

 触れる舌や唇が少しでも動くと、ブラックの武骨な両手が俺を離すまいと背中に食らいつく。その肉を押す力強い指の感覚がたまらなくて、俺は眉根を精一杯に寄せて唾液を飲み込んだ。
 だけど、もうどちらともつかない唾液はとても呑み込めるものじゃなくて、だらだらと口の端から流れて行く。こんなに長いキスは、初めてだった。

「っ……ぷは……は……はぁ、はっ……つ、ツカサ君……っ」

 息を切らして、ブラックが俺を見つめて来る。
 薄暗い路地裏なのに、その菫色の綺麗な目はギラギラと光っていた。

「はっ……はぁ、はぁ……ぶ、ブラッ、ク」
「ごめん……もう、止められないから、先に謝っておくね……」
「な……」
「大丈夫……ここに僕達がいるなんて、誰も気付かないから。だから……ツカサ君の全部を僕に頂戴……?」

 ちょうだいって、あんた。
 そんな荒い息で、顔真っ赤にして、目もギラギラさせて。さっきから、俺の股に熱くなって膨れ上がったモンをグリグリ押し付けてきやがって。
 こんなの、大人のやる事かよ。それに、この状況でそんな事言うか?

 普通、大人だったら、もっと。
 中年のオッサンだったら、もっと、格好いいセリフくらい言えるはずだろ。

 こんな情けない恰好して、興奮も抑えられないやらしい顔で余裕よゆうのない事言いやがって。体だけオッサンじゃん。コイツ、全然大人じゃないよ。
 他人には余裕ぶれるくせに、俺みたいなガキには余裕ナシなんて……。

 そう考えて、俺は。

「…………っ」
「ツカサ君……?」
「なっ、なんでも、ない……!」

 バカな事を考えた。そのせいで顔がまた真っ赤になっていく。
 自分で確認しなくたって解ってる。頬が痛いくらいに熱くて、温まった目がじわじわと疼きを訴えて来るんだ、赤くなってなけりゃ病気だこんなの。
 でも、それを肯定するのは俺にはとても苦痛な事で。

「……嬉しい?」
「違っ、こ、これは……アンタが余裕がないから……つられてるだけで……」
「そう……ふふっ、釣られてくれたんだ。ツカサ君も、余裕がないくらい僕の事を思ってくれてるんだね」
「なっ……ぁ……」

 咄嗟とっさに否定しようとするが、何故か言葉が出ない。
 それどころか強烈に恥ずかしくなって、俺は口を戦慄わななかせた。
 違うのに。
 違うのに、なにもいえない。

「嬉しい……嬉しいよ、ツカサ君……」

 シャツが、首元までたくし上げられる。裸の胸に空気が触れて来た事に震える間に、ブラックは地面に膝をつけると、そのまま俺の胸にむしゃぶりついた。
 音を立てて片方に吸い付きながら、もう片方を指で弄ぶ。

 人の気配を感じる野外でこんな事をされるのが恐ろしくて、思わずブラックの肩を掴むが、立ち上がりかけた乳首を軽く噛まれて力が緩んでしまう。

「っ、ぁ……や、だ……音、やだ、ってば……!」

 小声で抗議するが、こんな事で素直に退いてくれるなら世話はない。
 ブラックは俺の反応を愉しむように、わざとざりざりした顎を胸に押し付けながら、舌を使って半勃ちの乳首をたっぷりとねぶる。

「ほら、見てツカサ君……君の可愛い乳首がもうこんなに育ってるよ」
「ば、馬鹿っ、そういう、事……っ、ぅ……言うなっ、てば!」
「そういう事ってなに? ツカサ君が僕の愛撫のお蔭で、乳首も物凄く感じるようになっちゃったってこと?」
「~~~~~っ!」

 無精髭の感触と、唾液に塗れて空気に触れた時のひんやりとした感覚が、どうしようもなく俺の熱の中心をあおっていく。

 指でねられていたもう片方の乳首は、軽く引っ張られるだけで俺の股間に容易たやすく刺激を送って来る。ブラックが舐る方を取り替えて、さんざん指で高められた方に舌を這わせて来た時には、思わず情けない声が出そうになった。

「っ……ぅ、んっ、ん……っ」
「ああ、声出しても良かったのに……本当にツカサ君は可愛いなあ……」

 噛みながら喋るな!! 畜生、さっきまで吸われてた方がじんじんする。よだれが胸を徐々に伝うのが解って居心地が悪い。
 ふき取りたいけど、でも、手を離したら変な声が出そうで。

 どうすれば良いんだと混乱してきた俺をあざ笑うかのように、ブラックはくちゅくちゅと俺の胸に吸い付きつつも、ズボンに手をかけて来た。
 そうして、動きが緩慢になって来た俺に構わず下着ごとズボンをずり降ろす。

 力の入らない手でつかんでいるブラックの肩を揺するが、ブラックは笑って取り合わない。それどころか、胸から口を離して、膝を振るわせる俺の片足をズボンのわだかまりから引っ張り出した。

「あ……あぁあ……」
「これで、逃げられなくなっちゃったね……ツカサ君……」

 大通りも近い昼間の路地裏で、上着をたくし上げられて下半身も丸裸で立たされている。その信じられない姿を間近でじっと見つめている人間が居るのだと思うと、顔から火が噴きだしそうでたまらなくなった。

 足を閉じ、震える手で股間を隠そうとするが、その両手はいとも容易く囚われて閉じた足をこじ開けられる。ラスターの屋敷でも同じ事をされたけど、でも、慣れない。今は特に見て欲しくなかった。だって。

「ツカサ君、乳首を弄られただけでこんなに勃起しちゃったの?」
「っぅ……や、だ……見んなよぉ……っ」

 股間に邪な視線が突き刺さる。微かな風がその部分を撫でる度に、自分の状態がどんな浅ましい事になっているのかを思い知らされて、俺は顔を背けた。
 だけど、ブラックは俺が逃げる事を許してはくれなくて。

「可愛いペニスが濡れてるね……そんなに感じたんだ? 乳首を舐められて、指で捏ねられて、ツカサ君はこんなに嬉しかったんだ……。あっ、ほら見て、僕が何か言ってあげる度に汁が溢れて来るよ。ああ……涎みたいに伸びて地面に垂れそう」
「ぁ、も……ばか、言うな……言うなってばぁ……!」

 聞きたくない。報告すんな。この馬鹿、変態! 変態!!
 耳を塞ぎたくても手を拘束されているからふさげなくて、怒鳴りたくても声が涙声で震えて何も言えない。

 何より、こんな場所なのに自分も興奮していると言う事実が衝撃で、色んな感情がぜになってブラックをののしる事すら出来なかった。
 だって、こんなの……こんなの、俺も変態みたいじゃないか……!

「泣きそうだね……ははっ、本当可愛いなあツカサ君は……大丈夫だよ、ここも、ちゃんと愛してあげるから」

 そう言いながら、ブラックは舌なめずりをして、完全に勃ち上がった俺のものを見せつけるようにゆっくりと口に含んだ。

「ひぁあっ!? や、まって、待ってってば、ブラック……!」

 待たない、と不格好な声を返され、その声の振動だけで俺は腰をビクつかせた。
 じゅぷじゅぷと音を立てて唇で擦られつつ、口内に入れられた先端は生暖かい肉で包まれながら少しざらついた舌でこすられる。

 忙しなく性急なその強い快楽に、先程までじわじわと熱を煽られていた体は一気に目覚めさせられて、俺は堪らずブラックの頭を覆うようにしがみ付いた。
 だけど、ブラックはそんな俺の行動に興奮したのか、俺のモノを手で擦りあげながら、いきなり強く吸い付いてきた。
 そんな事をされたら、もう、耐え切れる訳がなくて。

「あっあ、うぁ、あぁ……っ! やっだめ、だめぇっ! そんなっ……そんなに、したら……! ひあっあっ、あぁああっ、ぃあっ、も、で、出るっ出ちゃう、や、ぁ、ああぁあぁ――ッ!!」

 情けない高い声を出して、俺はブラックの頭に抱き着き思いきり体を震わせた。
 温かい口腔の中に、熱が放出されていく。だけど、その吐精感に酔う間もなく、ブラックは絞り取るように先端を舌に包んでぢゅっと音を立て吸い上げて来た。

「ひっ、い゛!? あっあぁあ゛、だ、だぇっ、出たばっぁ、あ、ひっ、ひぐっぅあぁあ……!」

 体がまだ痙攣してるのに、なにも出来ない状態なのに、ブラックは容赦なく俺の精を絞りとる。だけどその感覚はあまりにも刺激が強くて、俺は浅ましく腰を押し付けてしまっていた。

 ……こんな、こんなの、酷い。
 こんなの普通の奴がやる事じゃないよ。なのに、アンタって奴は。

 睨み付けようとするけど、でも、顔がうまく動いてくれない。
 泣いてる時の嗚咽みたいな途切れ途切れの息が、俺の顔を勝手に泣き顔にしてしまう。やっと解放されても、俺は相手の頭から離れられなかった。
 そんな俺に構わず、ブラックは頬を軽く膨らませたまま、それを掌に出す。

「んっ……」

 ブラックの口から、白濁の液体がだらだらと吐き出されていく。
 運悪くそれをダイレクトに見てしまった俺は、自分の所業を見せつけられたようで思わず頭が痛くなった。耳の奥でドクドクと勢いよく血が流れる音がする。
 熱のせいで、頭が段々とぼんやりしていくようだった。

「ツカサ君、後ろ向いて」
「……っ」

 大した抵抗も出来ず、俺は壁に手を突いて尻を突き出す格好をさせられた。
 こうなってはもう、どう抵抗しても無駄だ。言い訳をしたって俺も出来上がってしまっていて、ブラックには逆らえない。
 男としての意地が有って拒否しているだけで、体は憎いくらいに正直だった。

 ブラックはそんな素直な俺に軽く笑って、吐き出した精液を俺の尻に垂らした。
 谷間を伝って垂れる液体の感触に耐えながら、俺は唇を強く噛み締める。
 次に触れてくるものの事を考えれば、力が入って当然だった。
 だけど、背後の中年はムカつくくらい上機嫌で。

「あははっ……ツカサ君、本当にどうしちゃったの……? この前から素直に僕を受け入れてくれるようになって……ああ、もしかして……言葉じゃ言えないから、体で意思表示してくれてるのかな?」
「は……?」

 何を言っているんだコイツは。
 と、思った瞬間に、思いきり指を挿入されて、俺は思わず悲鳴を上げた。
 ブラックは構わずに指で内部を擦り、早く馴らそうと掻き回してくる。

 内臓を押し上げるような感覚は何度やっても耐えがたくて、俺は片手で口を押さえて必死に耐えた。けれど、ブラックは俺の頑張りを無駄にするかのように、とんでもないことを言いながら音を立てて指を出し入れし始める。

「ねえ、ねえツカサ君そうなの? ああそうだよね、ツカサ君は体は素直なくせに口は本当に意地っ張りだから、自分の気持ちに気付いていてもちゃんと『僕の事が好き』って言えないんだよね? そっか、そういう事か、ああごめん、ごめんね今まで気付いてあげられなくて……!」
「いっ、あ、ちがっ、違うっ、て、ちがっあっあぁあ……っ!」
「好き? 僕のこと好きなんだ? ねえ、僕が『好き』って言ったら、ツカサ君のナカが指を締め付けてくるよ。こんなの……今まで無かったんじゃないかな」

 ずるりと抜かれて、倍の太さの物が水音をともなって押し込まれる。
 二本の指が前立腺を押し内側から刺激するせいで、俺はまた無理矢理に勃起させられる。その様を見つめているだろう背後のブラックは、また荒い呼吸を繰り返しながら気味の悪い笑い声を漏らしている。

 なんで、何で俺、こんな悪役みたいな笑い方するオッサンに弄ばれてんの。
 今なら、逃げ出せるよな。そうだよ。本当は、逃げ出せるんだ。
 俺にはブラックを弾き飛ばすだけの力が有るんだから。
 でも、辛くても、ムカついても、殴り飛ばしたくても、手が動かなくて。

 ブラックの声で「好き」と言われると、勝手に、体が反応してしまって。

 ……悔しい。ちゃんと、ちゃんと考えてから結論を出したかったのに。
 なのに、体が先に反応するのかよ。こんなんじゃ、俺も下半身直結脳のブラックと変わらないじゃないか。こんなのあんまりだよ。
 こんなの、絶対に認めたくない。

「ツカサ君……」

 でも、圧し掛かられると。

「好きだよ……僕は、ツカサ君の事を、愛してる……」

 ブラックだけの、低くて渋い声で耳元で囁かれると――
 体が、反応して。顔が、熱くなって。
 頭じゃなく……心臓が、心が、勝手に泣きたくなるほど、揺さぶられて。

「ツカサ君も、僕の事が『好きだ』って言って……?」

 口を覆っていた手を取られて、涙でぐちゃぐちゃの頬を舐められる。
 それだけで俺は緊張して、指を締め付けてしまって。

「っぁ……ぅあぁあ、あっ、や、もっ……や、ぁあ……」
「早く、恋人同士になろうよ……。そしたらもう僕は離れないよ。ずっとツカサ君と一緒に居られる……もう不安になる事なんてない、もっと抱き締めてあげられる。なにより……ツカサ君をもっと、気持ちよくしてあげられるよ……?」
「っあ、ぁ……」

 そう言いながら、ブラックは三本にまで増やしていた指を引き抜く。
 何かの布ずれの音がしたと思ったら、綻んで僅かに開いていた後孔に、ひたりと熱くて濡れた何かが押し付けられてきた。
 それが何かなんて、もう分かりきっている。

 また貫かれるのかと思うと、体の芯がぞくぞくとして熱くなっていく。
 だけど、ブラックは俺の尻を痛いくらいに広げて、入り口をくちゅくちゅと音を立てて擦るだけで。いつものように強引に入ってくると思っていた俺は、肩透かしを食らってしまった。思わず不安になって涙目で振り返るが、ブラックは欲情した雄臭い顔で余裕ぶって笑う。

「ぶら、っく……」
「好きって、言って。……恋人同士になろ?」
「っ、そ……な……」

 ここで、こんな場面で言う事じゃない。アンタ本当に分別弁えた大人なのかよ。
 脅迫だぞこんなの。
 俺を煽って、逃れられないようにして、それで言わせるのかよ。

 こんなの、普通じゃない。
 こんな場面で告白なんてしたくない。

 初めて好きになった人と、初めて恋人同士になるのが、こんなんじゃ。
 路地裏で変態くさいえっちしてる時に言わされるなんて、嫌だ。
 告白ってもっと、ちゃんとした場所で格好良く整えて、精一杯の気持ちで相手にすきって言って、抱き締めて……。

「ツカサ君のお尻、ヒクヒクしてるよ……? 恋人って言葉にも反応するんだね。可愛いよ……ああ、我慢できるくらい余裕が有ったら、舐めまわしてたかも……」
「っ、ば、か……ばかっ……ばかあ……!!」

 最低。そんな事しか言えないのかよ。馬鹿、馬鹿ばかばかばか!!
 お前みたいな奴にこんな事されて、よろこんでる俺が一番バカかもしれないけど、でも、もうちょっとこう、あるだろ! アンタなんでそんな最低なんだよ!!

 叫びたいけど、もう、なんだかよく解らなくなってきて涙が止まらなくて。

「ふっ、ぅぐ……ぅえぇ……っ、もっ、や、だって……ぇ」
「ツカサ君も限界なんだよね、解ってる……。でも、言うまで挿れてあげないよ。……僕も、もういい加減……君を放って置くのが辛いんだ……。はやく、君と恋人同士になりたいんだよ」
「ぅ、っえ……」
「ツカサ君……僕は、こんなに君が好きなんだよ…………早く……応えてよ……」

 辛そうな声で、ブラックは目を細める。
 涙で視界が見えなかったけど、でも、その顔はいつも見てた顔で。

 俺を抱き締めたり、俺に話しかけたりするときにしてた、辛そうな顔で。


 ……ああ、あの顔って……
 俺に振り向いて貰えないのが辛いって、顔だったんだ。


 そう、思って、俺はこれまでにない程に胸が痛くなって気が遠くなった。

「ほら……ツカサ君……もう、言えるよね……?」

 くちゅくちゅと、音がする。
 微弱な快楽が、熱い塊がわずかにナカに出入りしている感覚が頭を狂わせる。

「……ぁ……ぅ、あぁあ、ぁ」
「ツカサ君……好きだよ…………誰よりも、好きだ」
「んっ、ぅ……ぅう……~~~っ」
「言って……好きって……そしたら、思う存分犯してあげるから……!」

 ず、と大きくて硬いブラックの怒張が、少しだけ割り入ってくる。
 その待ち望んでいた感覚は、長く焦らされていたせいか、俺の理性を崩すには充分じゅうぶんなほどの衝撃だった。

「っ……き……」
「……」
「す、き……すき、だから……っ」
「ツカサ、くん」
「ブラッ、ク…………!」

 そう言って、涙でぐしゃぐしゃになって見えない相手に、必死に伝えた刹那。
 体を引き裂かんばかりの大きな怒張が、一気に俺のナカに突き立てられた。

「ぁあぁあああ゛ぁっ!! あっあ……あぁっあ……あ゛……!!」

 獣のような荒い呼吸が耳元で聞こえて、熱い息が頬に噴きかけられて、いやらしい水音と共に体がガツガツと揺さぶられる。
 熱く巨大なブラックの肉塊が奥まで深く突き刺さり、勢いよく引き抜かれる感覚に、俺はただ壊れた人形のように鳴き続けた。

 首筋に噛みつかれ、痛いくらいに痕を残すキスをされ、抱き締められる。
 激しいピストンの間、何度も何度も「愛している」と囁かれた。

 その度に俺の体はブラックを締め付けて、体全体で悦んで。

「ツカサ君……っ、ぁっ……はっ……やっと、恋人……に、なったね……っ!」

 ブラックの力強く、息を切らした必死な声が、俺の耳に届く。
 なにが恋人だと怒鳴ってやりたかったが、でも。

 でも……泣きそうなその声が、何故だかとても愛しくて。

「も、離さない……君は…………君は、僕のだ……っ!!」
「っあ、あぁあああ、ぁ、っああぁあ……――――!!」

 叩きつけるような言葉と共に、俺の体内にブラックの熱い欲望が吐き出される。
 その熱さすら……俺には、言いようのない歓びに思えていた。











 
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