異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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ラクシズ泊、うっかり調合出会い編

2.優しい口調だと余計に怖い※

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 一瞬、意味が解らなくて、思考が停止する。
 だけど唇には確かに別のぬくもりが合わさっていて、思考が戻ってからようやく俺は目を見開いた。俺の唇の感触じゃない、少しかさついた柔らかな感触。
 それはうっすらと開いて、同じように半開きになっていた俺の口にそろりと何かを差し入れた。
 濡れた感触が俺の唇に触れるのを感じて、やっとそれが何かを理解する。
 ちょ、ちょっと、これ……べろちゅー……!

「んっ、んぅううっ! んぅう~~!」

 あまりの事に驚いて歯を立てそうになったが、節くれだった武骨な指が顎を捕えて離さない。相手はそのままぬめる舌を深く差し込んできて、縮こまった俺の舌を引き出した。生温い別の感覚が敏感な舌に絡んでくる。
 濡れた音を立てながら俺の意識を吸い尽くすように貪る舌に、俺は抗う事も出来ずに翻弄される。歯列をなぞり、舌を追われ、どう息をしたらいいのかも判らなくて息が上がっていく。
 苦しくてブラックの服を握りしめると、ようやく顔が離れた。
 でも、空気が足りなくて頭が働かない。

「はっ……はぁ……は……」

 素肌の胸に冷たい空気が気持ちいい。
 無意識に目を細めたが、次にざらついた手の感覚がして僅かに意識が戻る。
 触手の時と一緒だ。胸に何かが張り付いている。だけどそれは俺の体より熱くて、俺はぼやけた頭で身を捩った。

「うっ……ぅ……」
「動かないで」

 ああ、これ指なんだ。
 ようやく知覚しても、どうしようもない。空気を欲しがって大きく動く胸をさらりと撫でた手は、俺の乳首をゆっくりと指の腹でなぞり始めた。

「っや……それ、やだ……」

 やめて欲しくて息を継ぎながら必死に頼んだのに、相手はやめてくれない。
 それどころか、人の体温に総毛だって僅かに立ち上がっていた両の乳首を指で挟んで、ぐりぐりと弄りはじめる。
 
「い、や……っ、やだって……」

 早く喋れないのがもどかしい。
 必死に立ち直ろうとするけど、それを見計らっていたのかブラックは片方の乳首をぱくりと口に含んで、俺の意識をまた鈍らせてしまった。
 興奮した荒い息遣いが、無精髭のざらりとした感覚が、体を震わせる。
 ざらついた舌に柔い乳首をゆっくりとねぶられ、俺は目を細めて身を捩った。

「やっ、だ、やだぁ……っ! おれ、そこなんも……っ」
「感じない? そのわりには顔が赤いけど」

 あざ笑われるかのように言われて、余計に顔に熱が上る。
 それはあんたがいきなりあんなキスしたからだろうが!!
 俺初めてだったんだぞ! 畜生恨んでやる!!
 精一杯の恨みを込めて睨み付けるが、相手はどこ吹く風だ。それどころか俺の胸にちくちくした顎を付けたまま、実に楽しそうに目を細めやがる。

「君、本当に可愛いね」

 ――――その言葉に、俺の我慢は切れた。

「はな、せ……! この、変態……ッ!!」
 
 どうにかして腕を引きはがそうと、怒りにまかせて力が戻った腕を振り上げる。引き剥がすと言う行動よりも、相手に一発食らわせたい一心で振り下ろそうとしたが、それは叶わなかった。
 寸での所で避けられて、力が空振りする。

「おっと。はは、可愛いだけじゃなく元気もいい、ますます好きになったよ」
「オッサンに好かれても嬉しくねーよ!」

 もう嫌だ。コイツ俺の事バカにしてる。
 その上息が荒くて滅茶苦茶興奮してるし目が据わってる。怖い。
 だけど、体格的に俺が相手に勝てる見込みはなく。どうするか必死で考えていると、目の端に台の上の小さなベルが見えた。そういえば、嫌な相手だったら呼び鈴を鳴らせって女将さんが言ってたな。
 今がその時じゃないか。
 上体を起こして咄嗟にベルを取ろうとするが……あと一歩で奪われてしまった。そのままベルを俺の手が届かない床に放り投げられる。
 リン、と小さな音を立てて、ベルは見えなくなってしまった。

「ひっ、卑怯者……」
「お金を払った僕を邪険にする君の方が卑怯者だと思うけどなあ」
「うっ……」

 そりゃそうだけど、好きで来た訳じゃないし。
 とにかくもう、このオッサンの相手はごめんなんだよ!
 破れかぶれでなんとか引き剥がそうとするが、やはりびくともしない。そんな俺に業を煮やしたのか、相手はとうとう実力行使に出た。

「そんなに元気にされると、余計に抑えられなくなるんだがね。まあ、いいか。
 ……悪いのはお前だ」

 そう言われた刹那、俺の両手は乱暴に引き上げられてベッドの上部に引き上げられた。何が起こったのか解らずに頭上を見上げると、革のベルトが俺の両腕とベッドのヘッドボードに巻きついている。
 ざっと青ざめて相手を見るが、にこにこ笑うばかりで俺の恐れなど意に介していない。やに下がって中年じみた人懐っこい笑顔が、余計に恐怖を煽った。
 こいつは、こんな事平気でやれる奴なんだって。

「いやだ……やだっ、やだあ! 離せっ、離せったら!!」
「娼館の壁はね、密談を聞かれないために防音の術を張ってあるんだ。だから、存分に騒いだらいい。その方が僕も燃える」
「人でなし!!」
「うん、その顔も好きだな。ツカサ君に睨まれると気持ちがいいよ」

 笑顔で凄まじい事をさらりと言う相手に鳥肌が立つ。
 
「だから触んなっ、あっ、バカ、脱がすな!!」
 
 俺との会話に飽きたのか、ブラックは俺の暴言をスルーして下肢に手を伸ばす。足で妨害しようとしたけど、簡単に抑え込まれて下着とズボンを一気に脱がされてしまった。胸に感じたのと同じように、冷たい空気が素肌に張り付いて来る。
 せめてと思って足を閉じようとすると、間に入られて阻止されてしまった。
 その上、曝け出されてしまった下半身をまじまじと見られて、舌なめずりをされてしまう。見るな、見るなよ! なに笑ってんだ小さくねーぞ普通サイズだ!
 抗議したくて思いっきりガンつけようと睨んでもやっぱり相手は笑うだけで。
 でも、その笑顔は、いつの間にか凄味を増していた。

「ひ……っ」

 怯えた俺を見て、ブラックは獲物を見つけた獣のような顔で口端を歪める。

「早く終わってほしいみたいだし、もう……いいよね? 実は、僕も久しぶり過ぎてちょっと我慢が効かないんだ……楽しめなかったら、ごめんね」

 野性味のある顔とは裏腹に柔らかい口調。それがまた怖いのに、相手は解ってるのかいないのか、また穏やかな顔に戻って口だけで笑う。
 そんな朗らかな事態じゃない。
 息荒いのに。紫色の目だって、明るさを増して爛々と光ってるのに。
 どうしてこいつは、そんなに興奮して笑えるんだろう。
 
「香油を垂らすよ」

 言われてすぐ、無遠慮に足を広げられて上から亜麻色をした液体を垂らされる。何かの花のような匂いが微かにして、俺はそれが尻を解された時のと同じ潤滑剤だと理解した。
 無意識に下腹部に力を入れてしまう俺に構わず、ブラックは俺の足を持って体を少し曲げさせる。どこそこが丸見えになってしまった……だなんて、もう言いたくもない。ここまでで俺のプライドはもう粉々にされていた。
 自分が今どんな体勢をしているかなんて見たくもなくて、目を閉じて顔を背けた俺に、何をお気に召したのか相手は実に嬉しそうに呟いた。

「かわいいね、本当。……じゃあ、解して貰ってるんだろうし……僕が何かしなくてもいいか。ちょっと性急だけど、構わないね」

 性急……って。
 カチャカチャと音がする。布ずれの音がして、ベッドの上に何かが落ちた。
 ……これって、まさか。
 恥ずかしいから見てられなかったのに、顔が、無意識に股の間の相手を見てしまう。ああ、俺、なんて恰好を。そう思おうとして、俺は自分の尻の先にある相手の体を見て目を剥いた。

「あ……ぇ……」

 そこにあった、完全に勃ち上がった相手のナニ。
 それは、俺が今まで見た事もないような、大きさだった。
 人並み外れてるとまでは言わないけど、滅多に見かけるものではない。だけど、俺は今それを目撃してしまった。と言うかそれを今挿れられてしまうのだと理解してしまったのだ。人並み外れたナニを。自分の、そこに。

 ――――入らないと思ったら、すぐに呼び鈴を鳴らすんだよ。

 無理です女将さんんんん!!
 無理っ、絶対無理こんなの!! 
 俺引き裂かれちゃうって、初めてでこれはダメだって!

「駄目っ、駄目そんなの! 絶対入らない、俺壊れちゃうってば!」
「ははは、入れる前からそんな誘い文句言うなんて、初物なのにうまいね」

 駄目だこのオッサン、人の話聞きませんんん!
 
「やだやだやだだめっ、入れないで、ブラックさん! お願い、何でもするから、なんでも……!」
「何でもするっていうなら、僕を満足させてくれよ。今すぐにな」

 液体まみれの尻の谷間を押し開いて、ブラックは凶器の先端を押し当ててくる。
 指とは全く違う感覚に身を固くする俺に構わず、相手はぐっと力を入れてその猛りを俺の中へと侵入させた。

「あぁああ゛あ!! だぇっ、あ゛っ、ぐ……ッ」

 痛い、と言うより、指とは違いすぎる感覚と大きさに、息が出来ない。
 香油の力を借りて無理矢理に推し進められる感覚は杭を穿たれているかのような衝撃に近く、俺には拷問に近い。血が出ているのかどうかすら解らないほどの感覚に、俺はただ空気を求めて魚のように口を開き、びくびくと痙攣するしかなかった。

「くっ……やはり……きついな……ッ」
「ぃ……ぎっ…………ひ、っ……」

 ずる、と抜かれ、またゆっくりと挿入される。
 内部を擦られる感覚は予想以上に辛く、喉を詰まらせるほどの感覚で、俺は涎が垂れるのも構わずに歯を食いしばった。
 目はもう涙で何が見えてるのか解らない。体は痛いのか辛いのか衝撃で麻痺しててもう苦しさしか知覚できなかった。
 そんな俺に構わず、ブラックは抜き差しする感覚を徐々に早めていく。

「あっ、がっ、ぁっあっ、っああ、あ、ああぁ……!」

 出したくないのに声が出る、耳が水音や相手の荒い息を拾う。
 俺の中がブラックの物でいっぱいになって、突き上げられる衝撃が来るたびに俺は揺さぶられて涙を零した。

 うううう気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!
 胸を涎塗れにしてまで舐めるざらついた舌も、ちくちくするヒゲも、敏感になった肌にかかるオッサンの荒い息も、体の中に激しく出し入れされるのも自分の声も背筋も濡れてぐしゃぐしゃの顔も全部気持ち悪い!
 嫌だ、もう嫌だ――――と、思って、いるのに。

「あ゛っあ、やっ……ふああっ、やっやあぁあ……!」
 
 声が、勝手に喜ぶ。頭が白くなる。
 次第に何も考えられなくなって、下半身が熱くて、発散したいのに手が動かなくて必死に悶えて。どんどんどんどん俺の理性がなくなっていく。
 ぎちぎちと音が聞こえそうなほどに広げられた秘部が、欲望の中心に触れられない事が切なくて銜え込んだものを反射的に締め付けた。
 違う、こんなこと俺は望んでない、望んでないのに。
 だけど、体が苦しい。切ない。早く、はやくしてほしい。
 早く。

「もっ、や……やぁあ……っ! もぉだめっ、も……っぁ、あぁああ……!」
「くっ……解った……一緒に……ッ」

 欲に塗れ、低く掠れた声が、耳をくすぐる。
 その声が導いたように、俺の中心にやっと手が触れて俺は歓喜に腰を浮かせた。もうなんだっていい、早く、早く終わって。
 涙を流して甲高い声を上げる俺を笑いながら、ブラックは俺の中に熱い物を沢山吐き出した。奥まで届くその勢いに、俺は目を見開いて痙攣する。
 その勢いで俺も達し、今度こそ俺は意識を失ったのだった。



















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そうです、これが巷で噂の
「おい、こいつ三人称での性格と全然ちゃうやんけ」の
三人称詐欺です(´・ω・`)
テンション低かったり気を許してない人だと「私」で口調も固くなる罠
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