異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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廃荘ティブル、幸福と地獄の境界線編

5.知識が有ってもおバカはおバカ1*

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 しかし、精力増強剤・超級っていうネーミングのセンスはどうなのよ。
 どう考えても直球過ぎてグイッと行きたくないんだけど。

「あっ、もしかしてツカサ君って飲み薬は苦手な感じ? 大丈夫だよ、これは甘くて美味しいから。ねっ! 心配だったら僕も一緒に食べ……」
「わーっ分かった分かった食べる! 食べるからお前が食うのだけはやめろ!」

 超級ってぐらいなんだから、その効果は恐らく俺が想像している以上の物だ。もしブラックがコレを食べたとしたら……考えたくも無い。
 いや、ブラックが嫌いなわけじゃないんだけど、俺にだって体力とケツの限界ってもんがありましてね。流石さすがに受け入れるの無理ですからね?

 ま、まあ、そんな効果を期待してる訳じゃないけど……その、なんだ、いくらこの異世界の精力増強剤と言っても、そういう物は大抵マユツバもんだろう。本当に効果がある薬品なんて一握りも無いはずだ。飲んだ事が無いけど俺はわかるんだ。だって、ネットで調べたら「効かない」って言ってる人がたくさんいたしな!

 なんだ、じゃあ最初から怖がる事なんてなかったじゃん。
 ここは大人しく飲んで、いっちょ興奮したフリをしてやっか。どうせカプサイシン効果的な奴でしかないだろう。余裕余裕!

「あれ、ツカサ君何ニヤニヤしてるの」
「なんでもない! まあなんだ、効かなくても恨むなよ?」
「え~、そんなこと無いと思うけどなぁ」

 ふふふ、ほざいているがいい。
 俺はこんな薬なんて効かないメンタル強者なんだからな!

 プラシーボ効果なんてものは、日本人ならとうに看破している現象なのだ。そんな俺がこの程度で貶められるはずがない。つーかこの展開はアレだろ、エロ漫画で良く有る「媚薬だと思ったかァ!? 残念だったな、これはビタミン剤だ。お前が淫乱なだけなんだよォ!」とかいう奴だろ。知ってるぞ、俺は詳しいんだ。

 異世界ではナイステクニックだろうけど、残念ながらその手は桑名の焼きはまぐりだ!
 まったく、ブラックのやりそうな事だよなぁ。クロロホルムハンカチくらいに手垢てあかまみれの方法だ。まあこの純朴な世界では画期的なんだろうけど、俺は解ってるから絶対に引っかからないもんね。
 よし、俺の賢さを見せるためにも飲んでやろうじゃないか。

「ツカサ君なんかたくらんでない?」
「別に? で、この薬は水で飲むの?」
「いや噛んで良いよ。即効性だから数分で効いて来るはずだ」

 そうか。じゃあ決着もすぐだな。白い金平糖みたいな薬を一粒貰い、俺は男らしくそれをガリッと噛んで見せた。薬は意外と簡単に口の中で砕け、すぐに粉になる。だけどそれは粉薬のような違和感は無く、どちらかと言うと和菓子で見かけるような、固めた砂糖菓子みたいな……とにかくかなり甘くて美味しい感じだった。

 ふーん、ド○キのパーティーグッズコーナーに「ホテルに行きたくなるキャンディ」とか言うのがあったけど、アレもこんな感じなのかな。どうせ効かないだろうけど、食べるなら美味しい方が良いだろうし。……なんて事を思いながら噛み砕いて呑み込むと、ブラックは妙にねっとりした薄気味悪い笑みを見せて立ち上がった。

「じゃあ、効いて来るまで待とうか。ツカサ君、麦茶冷やしてくれる?」
「う、うん……。あ、そういや藍鉄あいてつは……」
「もう帰っちゃったよ。僕達の邪魔をしたくなかったんだろうねっ」

 ねっ、じゃねーよ! なんで引き留めなかったんだお前は!!
 ああ再び呼んだら藍鉄も二度手間だし……ぐぬぬ、このオッサンめ……。
 いや、怒ると余計に熱くなる。落ちつけ俺。今は麦茶を処理しよう。

 麦茶を入れた鍋を氷の術【リオート】で作り出した氷水に入れて冷やしつつ、俺はとりあえずブラックが「玄関に置いて来た」という荷物を取りに行くことにした。
 冷やすまでの時間が勿体もったいないし、早く畑仕事を始めたいからな。
 それに生鮮食品なら早く【リオート・リング】に入れないと腐るし。
 しかし、たくさん買って来たと言っていたが、どのくらいだろうか……などと廊下の先を見て、俺は思わずひっくり返りそうになってしまった。

「ちょっ……おっ、多過ぎ……」

 そう、玄関先に在ったのは、これは米俵ですかと言わんばかりの大きさの荷物袋が五つほどドスンと積み上げられていたのだ。
 荷物袋からは農機具の柄とかいろんなものが飛び出ているが、ここまで巨大な物ばっかりだと、どの荷を解くか困ってしまう。ブラックのことだから、一番上の袋に潰れると困る食料品とかを入れてくれてると思うんだけど……。

「…………お、やっぱりか」

 爪先立ちで一番上の袋の紐を解いて、四苦八苦しつつ中を見てみると、確かにそこには食べ物がぎっしりと詰まっていた。
 しかしこの高さ、どうやって持って行こう。少し悩んでいると、俺が帰ってこない事で退屈になったのか、ラフな格好に着替えたブラックが玄関までやってきた。

「ツカサ君どしたの?」
「ああ、いや……どうやって台所まで持って行こうかなと……」
「ここで仕分けしないの?」
「うーん、食料だけが詰まってるなら、袋ごと持って行った方が速いかなって」

 そう言うと、ブラックは苦笑した。

「んもー、ツカサ君は仕方ないなあ。よし、僕が持ってあげるよ」

 マントで隠していた左腕は、見せつけるように長袖をひらひらさせている。
 だけど、ブラックはかまう事無く袋を片手で持ち上げて肩の上に乗せた。
 上背も筋肉量も、俺とは全く違う。軽々とあの重そうな袋をかついで、俺の横を通り過ぎて行くブラックは、その……その…………。

「ぅ……」

 な、なにドキドキしてんだ俺。何か変だ。
 いつもならこんな事でドキドキしたりしないのに。何だよこれ、荷物を持って貰う女子か俺は。そんなワケが無いだろ、ここは悔しがる場面のはずじゃないのか。何故俺がそんな事でドキッとしなきゃならんのだ。
 これはアレだ、あの、そうだ、さっき汗かいたから動悸どうき息切れが酷いだけで……

「ツカサくーん、早く荷物の仕分けしようよぉ」
「う、あ……わ、わかった」

 慌ててダイニングへと戻り、袋を広げてしばらく食料を地下収納に詰めたり、俺のリングに収めたりと言う作業を黙々と行う。だけど、何故か俺の動悸は収まらない。
 それどころか、何故か耳の奥までドクドク言うようになって、また体から汗がドッと流れだしてきた。なにこれ、俺こんなに汗っかきだったっけ、な、なんで。

「ん? ツカサ君、疲れちゃった?」

 俺の向かい側で食料を選別していたブラックが、不意に問いかけて来る。
 その声に何故かまた鼓動が大きく鳴ってしまったけど、ぐっとこらえて、俺は平静をよそおいつつ何事も無いような顔で返答した。

「えっ……いや、俺は別に……」
「まさか、薬が効いてきたとか……?」
「……! ちっ、違う違う! これは動いたから汗がだなぁっ」

 思わず反論してしまうが、ブラックは悪人みたいな微笑みを浮かべて俺に近付いて来る。思わず逃げようとしたが、ブラックはその前に肩を抱いて俺の隣に陣取ってしまった。こうなると、もうどうしようもない。

「本当に、効いてない?」

 耳のすぐそばで、低くて頭の中に響く大人の男の声を吹き込まれる。
 たったそれだけの事なのに、俺の体は一気に産毛が立つような感覚を覚えて、体が勝手にガクガクと震えはじめた。
 な、なんで。何でこんな。

「あー。ツカサ君、やっぱりちゃんと薬が効いてたんだね……こんなに汗かいて体を湿らせて、そんなに我慢してたの?」
「ちっ、ちが……っ」

 嫌だ、今耳元で喋らないで、息を吹きかけないで。
 アンタが喋ってるだけなのに、体の中のどこかがビリビリする。覚えちゃいけない感覚を、下半身に感じてしまいそうになる。いや、ブラックが肩を強く掴んでるだけで、もう、俺の股間は何故か熱くなり始めてしまっていた。

「我慢しなくて良いんだよ。そうなるように薬を飲んだんだから」
「だ、からっ、違うって……っ、俺、別に……」
「そんなに汗かいて股間も膨らませてるのに何言ってんの。ツカサ君、今の自分の顔、ちゃんと自覚してる? 凄い顔してるよ」
「ふ、ぇっ」

 なに、顔がなんだって。
 もうどうでも良いから喋りかけないでくれ、頼むから離れて。
 おかしいんだって。体が熱くて、アンタに触れられると、低い声で何かを言われてその呼吸を感じると、腹の奥がきゅうってなって……駄目だって思ってるのに股間が心臓と一緒に脈打つみたいに反応していく。

 何が起こってるんだ。どうなってる、こんなのおかしい、変だ。
 まさか、本当に薬が……いやいや、あれはプラシーボ効果で、そんなのウソで……でも、だったらこれは俺が勝手に興奮してるって事になるじゃないか!
 嘘でしたビタミン剤でした展開より酷いじゃねーかばか!

「ツカサ君、顔真っ赤になって瞳孔開いちゃってるよ? あ~、涙目になってる……もう、本当可愛いんだから……もしかして、こういう薬はじめてだった?」
「う、ぅ……こ、こんな……うそ……あの薬、絶対、嘘だって……っ」

 嘘っぱちの薬だって思ったのに。もしかして本物なのか。
 媚薬はやっぱり存在しているのか。
 分からない、ただ、熱くて、辛くて、股間の熱を抑えるのに精いっぱいで。

 もうワケが分からなくなってるのに妙に頭は冴えていて、それが辛くてブラックを見上げる。だけどブラックは俺を見て嬉しそうに笑うだけで、助けてくれなかった。
 それどころか……俺のあごに、指を添えて来て。

「っうぅ……!」
「これだけで感じちゃった? ふふ……可愛い、ツカサ君。最初だから、薬の効果に混乱してるんだね。でも大丈夫だよ、じきに薬にも慣れて、簡単に勃起できるようになるから……」
「……!? なっ、そん、なの……」
「出来るよ。だってその為の薬だもん。ツカサ君が嫌だって思っても、事あるごとに勃起するようになるし、精子も通常の二倍になるんだよ? いやー凄いよねえ、その効果が一粒で丸二日続くだなんて、本当にお得だよ」
「!!?」

 あまりの事に、言葉が出ない。
 丸二日って。丸二日、こんな感じになるのか。こんな風に勃起するのか?!
 バカな、そんな事あるわけない、俺の体じゃそんなの無理だよ。ブラックじゃあるまいし、毎日毎日チートみたいに勃起なんか出来ないはず。

 思わず目を見開いてブラックを凝視してしまうが……ブラックは、笑ったままで。
 それが「本当の事だ」と嫌でも訴えて来るようで、俺はたまらなかった。

「ああ、辛そうな顔しないでツカサ君……そうだよね、最初は怖いよね……だけど、このお薬でツカサ君の精液もいつも以上に出るようになるし、射精する時もいつもの倍以上に気持ち良くなるんだよ? だから大丈夫……今日から頑張ろうね……」
「ぅ、や……」

 なんか、ヤだ。それ恋人の言う台詞じゃないだろ、モブおじさんの台詞だろ。
 今日から頑張ろうねって調教モノの奴で良く見る台詞じゃないか、やめろ、マジでナチュラルにそう言う事を言うな。怖くて仕方なくなるだろ。

 そうは思うけど、口が動かない。体が熱くて唇が震えるけど、荒い息が漏れるだけで、何を言えばいいのかすら俺はもう失念してしまっていた。
 頭はちゃんと動くのに、体が言う通りにならない。こんなの初めてで、怖い。
 こんな事になるなら調子に乗って薬を飲むんじゃなかった。俺の馬鹿、あほ、考えナシのおたんこなす!!

「あぁ……ツカサ君……その戸惑ってる顔、すっごくいいよ……」

 低い声をわざとらしく俺の耳にそそぎ込んで、ブラックは俺のほおを舐める。

「うぁ、あ……あぁ、あ……っ」

 ただゆっくりと舐め上げられただけなのに、ブラックの舌が触れてる所がビリビリして、直球で俺の股間にその刺激が伝わってしまう。
 もう体を動かす事すら出来ないのに、ブラックは俺を膝立ひざだちにさせて、背後から腰を押してきた。

「んっ、う……!」

 イヤだ。腰を押されただけなのに、ブラックの大きな手とその熱を感じてしまって、また突き出されたズボンのでっぱりがズキズキとうずく。
 感じたくないのに、ソコがもう先走りを漏らすほど興奮しているのは俺が一番感じ取ってしまっていて。おさまれと一生懸命願っているのに、いざ腰を付き出してソコを強調すると、それだけで限界になりそうだった。

 恥ずかしい。ブラックは何もしてないのに、なんで俺こんなに興奮してるんだよ。
 こんなんじゃないのに、いつもは、違うのに……!

「ツカサ君、ズボン汚しちゃうから脱ごっか?」
「ん、う……う……」

 必死に頷く。そのたびひたいから汗が散って、目から何かがこぼれた。
 知りたくない。自分が今どんな顔をしているのかなんて。

 そんな事より、今はこの急激に湧いた熱を鎮めたくて、俺はブラックの言うがままに頷き、ズボンの合わせ目に手をやろうとしていた。
 だが、その手をブラックが止める。

「恋人なんだから、僕にやらせてよ。なんなら……ツカサ君のエッチなおちんちんも気持ち良くしてあげるよ……?」
「ひっ、ぅ……! わかっ、た、分かった、からっ……お願……も……」

 耳に息を吹きかけないで。唇が触れそうな位置まで顔を近付けないで。
 今触れられたら、暴発するかもしれない。そんなのゴメンだ。触られてもないのにイッちまうだなんて、そんなの絶対に不名誉じゃないか。
 俺はそんな節操なしじゃない、違う、薬にすぐ流されるような男でも無いんだ。
 だから、早く。早くズボン脱がせて……っ。

「はいはーい、じゃあツカサ君、脱がすのはここでいいかな?」

 こっちが大変だってのに、ブラックは隣で楽しそうな声を出しながら、腰を屈めて俺の股間を観察しながら指で突く真似をしてみせやがる。

「う……やっ……や、だ……もっ……ばか、ぁ……っ!」

 ぎりぎりまで指が近付くと、その次を想像して体が勝手にビクッと跳ねてしまう。
 俺は我慢しているつもりなのに、ブラックが勢いよく股間のテントの先端を押そうとするフリをするたびに、腰が引けたり出たりして、恥ずかしくて仕方なかった。

 違う。期待してるんじゃない、違うんだ。こんなの俺は望んでない。
 だって、そんな勢いよく指で押されたら、それだけで出ちゃうかもしれないから、だから怖くて、過敏になってて、ただそれだけなのに。なのに……っ。

「っ、うぁ、あ……もっ、や……やだぁ……っ!」
「ん~? ツカサ君たら泣いちゃったの? あはは、可愛いなあ」
「……っ!」
「あっ、ごめんごめん、じゃあ今度は本当にズボンを脱がせ――」

 るね、と言う言葉が続くと思って、俺は無意識に息を吐く。
 調子に乗った声だけど、この声は解放しようとしてくれているような感じだ。
 だから俺は再び腰を突き出して、ブラックの手にズボンをゆだねようとした。
 が――――。

「おっと。手が滑った」

 その手が、ズボンの合わせ目を解くどころか、てのひらを広げてズボンの中で膨らみきっている一点を勢いよくおおって軽く擦り上げた、刹那。

「ッ~~~~~!?」

 全身を一気に強烈な快楽が駆け抜け、気付けば、俺は……

「あ~、ごめんねツカサ君! 手がついうっかり……おや? なんだか腰をビクビクさせてるけど……もしかして、イッちゃったのかな?」
「はっ……ぁっ、あ……あ、ぁ……あ……ッ」

 息が、続かない。一気に熱が放出される快感と、腰をじんと甘くする独特の感覚が襲ってきて、思わずへたりこんでしまう。だけど、気持ち良いのは止まらなくて。
 止まらないのに、俺は頭の中が妙に冷静で、恥ずかしさと怒りと気持ち良さと怖さが襲ってくる感覚に、どうしていいのか解らなくて歯を鳴らしてしまう。

 出してしまった。ズボンがどろどろしてる。こんなの、俺の感覚じゃない。
 俺がいつも感じてる領と違う。怖い、ズボンの中が見られない。
 我慢してたのに、あの程度で俺は射精してしまった。
 いやだ、こんなの、こんなの……!

「ああ、初めての感覚は怖いよねツカサ君……。でも、大丈夫だよ……これから僕が気持ち良くしてあげるから……」

 そう言いながら、ブラックが俺の顔を覗き込んでくる。
 ……意地悪な、笑顔。絶対に俺のこの状況を楽しんでいる顔だ。
 だけど、そんな最低なブラックに何度も何度もキスをされて、涙を吸われて、抱き締められると……どう、しようもなく……ドキドキ、してきて……。

「ツカサ君……おちんちん、自分から見せてくれるよね?」

 胸に触れる指輪が、とても熱い気がする。
 だけどそれ以上に自分の体が熱くて、俺は……。

「わか……た……」

 とにかくこの熱を、どうにかして欲しかった。















※スマタとかフェラは*じゃないか…?とも思ったんですが
 まあ両方とも気持ち良くなってるし※でもいいか…と……
 
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