異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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最果村ベルカシェット、永遠の絆を紡ぐ物編

27.狂気※

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 抵抗するツカサを押し倒して、上着を剥ぎ取る。

 ブラックが体重を掛けて下半身に圧し掛かれば、ひ弱で筋肉も無いツカサは容易く封じる事が出来た。唯一本人だけが「ひ弱ではない」と思っているので、こうして何とかブラックを引き剥がそうと抵抗して来るが……その様は、なんとも無様だ。
 何度抵抗しても無駄だという事を理解出来ないツカサは、まさに愚かだった。

(まるで、恋人になる前のツカサ君みたい。こう言う所は前と変わらないのに、僕の事は忘れたんだ?)

 あの頃とは性格も少し変わり、囲われていたせいか純粋無垢で頭が緩い子になったというのに、その辺の虚勢を張ってしまう迂闊うかつさは以前と何も変わらない。男としての自尊心すら存在しなくとも、ツカサは自分を買い被り「ブラックから逃げられる」と本気で思っているのだ。
 その事が、ブラックの中の凶暴な感情を増幅させていく。

(キミが? 僕を一度も引き剥がせなかったツカサ君が? はは、ははは、笑わせるよなあ、まったく。何度も教え込んだから解っていたはずだろうに……それなのに、あの小僧如きに記憶を消されて忘れちゃうなんて……)

 何度ヘタを打とうが、うっかり同じ失敗を繰り返してしまう。それもツカサがする事であれば、可愛らしいと笑えたが……やはり、今のツカサは、自分の事を比類なき愛で包んでくれたツカサではない。

 あの溝鼠どぶねずみにも劣る小僧に心身を汚染された、頭が空っぽで哀れな子供でしかなかった。この自分を拒むツカサなど、ツカサでは有り得ない。この状況は間違っている、間違っているなら正さねばならない、取り戻さなければならないどんな手段を使ってでも自分を愛してくれるツカサを取り戻さなければならない、犯し尽くしてその体が誰の物だったか思い知らさねばならない絶対に絶対に絶対に。

「や、だ、いやだっ、ブラック離して……!!」
「離して? あはは、やだなあ。今のツカサ君は、僕に命令できる立場じゃないでしょ。あんまり調子に乗ると、お仕置きしなきゃいけなくなるよ」

 その言葉に、今まで抵抗を続けていたツカサの顔が強張る。
 どうせあの腐抜けた小僧がツカサを酷く扱う訳はなかろうが、今のツカサはどうも相手に悪感情を抱かれる事を恐れているようだ。
 それも、物語や小僧の世迷言よまいごとを聞かされて“奴隷だと思い込んでいる”からだろうが、ツカサの怯えた顔を見ているとどうしようもなく胸がむかついた。身も、心も、あの男にどれだけ犯されているのか、と。
 だが、それと同時に……そう思いかけて、考えを打ち消し言葉を続けた。

「ツカサ君さぁ、服をビリビリに破かれて、その姿のまんま家に帰ってあのクソ小僧に僕と恋人がする事……いや“恋人セックス”したって知られちゃうのと……大人しくして僕の肉奴隷になっちゃうのどっちがいい?」
「っ……!?」

 押さえつけたツカサの顔が、恐怖で歪む。
 自分ではない男に“支配”されたその赤い目が丸々と見開かれて、ブラックのことをまるで悪魔でも見たかのように凝視していた。

(こんな、顔…………こんな顔を、ツカサ君が、僕に…………)

 あんなに愛し合っていたのに。
 あんなに絆を育んで、一緒に居て、沢山の事を経験して来たと言うのに、こんな、罪人を見るかのような怯えと恐れに染まった顔を、自分に向けて来るなんて。
 なんて……――――

(いやらしいんだ……)

 こんな、男を誘うような顔をするなんて。

「お……お願い……っ、服破かないで……お願い……」

 青ざめて、ぽろぽろと涙を流しながらブラックに懇願するツカサは、哀れでどうしようもなく可愛らしい。もう力では敵わないと解ったのか、拳をしっかりと握る事も出来ずに緩み、体は目に見えて震えている。今からされる事におびえて、ブラックの事を怖い存在だと思いきっているのだ。

(ああ……可哀想……可哀想だねぇツカサ君……可愛い……僕にはこんな顔を見せてくれた事なかったから解らなかったけど、ツカサ君が他の男に犯される時の顔って、こんなに可愛い顔なんだねぇ……!)

 なるほど、これではツカサが犯されてしまうのも無理はない。
 普段はあんなに「俺は男だ」と意地を張って抵抗ばかりしているのに、自分がかなわない相手だと思った途端に、その幼い顔をより幼く歪めて泣きながら震えるなんて、オスにとっては「襲って下さい」と言っているような物だ。
 こんなに可愛い顔をしていれば尚更なおさらだった。

(ずっと恋人だったら、こんなにいやらしい顔なんて見られなかったんだな……)

 そう思うと同時に、この可愛らしい顔を見て来たであろう彼を犯そうとした奴らの事が羨ましくてたまらなくなって、今すぐ刃を叩き付けに行きたくなる。
 自分だけが知らなかった「ツカサが真に怯える顔」を誰かが見ていたなんて、それだけで気が狂いそうな怒りが体の中で燃え上がってしまった。

 他人が、自分の恋人……いや、婚約者であるツカサの、淫猥な表情を知ったのだ。
 到底許される事では無かった。

(だけど、今は違う。今の僕はツカサ君にとってはただの他人だ……)

 ツカサにとって、今のブラックは恋人ではない。
 彼は、ブラックが「ツカサを所有している」と言う権利は無いと思っている。
 だが、ツカサは元々自分の物だ。ツカサ自身がメスに堕ちてでもブラックと一緒に居たいと言った。それは事実であり覆せない現実なのだ。
 今がどうであれ、ツカサは、ブラックに自分の体を捧げると誓った。
 ならば、自分の下で怯えて震えていても、その誓いを果たす必要がある。

 (例えキミが、僕の事を覚えていなくても……僕の物だって事は、変わらないよ)

 その怖がる顔も、怯える顔も、傷付いたような顔すらも、全て自分の物だ。
 拒むなんて、許さない。

「ツカサ君……服を破かれるのが嫌なら……脱いでくれるよね?」

 そう言った瞬間、ツカサが目を見開いて絶望したような顔をする。
 まだそんな知らない顔を隠していたのか。

(へぇ……他人にはこんな顔するんだ……)

 こんなに嗜虐心をあおる顔をされたら、誰だって興奮するだろうに。
 現にブラックだって、こんなに酷い状況で股間が反応しているのだ。今から恋人を強姦し尽くそうとしているのに、萎えもしない。
 それどころか、ツカサの表情を見て更に熱が上がる始末だ。

 ……そう。ブラックは、ツカサから向けられる陰鬱な感情にすら勃起していた。
 拒まれていると言うのに、その事にすら興奮しているのだ。
 このたかぶりがツカサのせいでなくて何だと言うのだろうか。

「ぬ……脱いだら……許してくれる……? もう、えっちなことしないのか……?」

 涙をこぼしながら言うツカサに、ブラックはにこりと笑ってやる。
 無論、許すつもりなど無い。これからツカサが狂うまで犯す予定なのだ。「許す」などとは、決して言わないつもりだった。けれど、ツカサは良いように勘違いをしたらしく、ずるずると鼻をすすって組み敷かれたまま残ったズボンを脱ぐ。

 土の地面そのままの場所に転がして置くのはさすがに良心がとがめたので、ツカサの体を抱えて布が掛かったわらの山の上に置いてやると、相手は少し安心したのか、引きつる息を必死に整えつつも下着も取り去った。

「これで、許して……くれる……?」

 涙目でブラックを見つめて来るその姿は、あまりにも淫らで純粋だ。
 こんなみすぼらしい小屋の中で瑞々しい肌を惜しげもなくさらし、股間で縮こまっている幼いままの可愛らしい陰茎を、隠しもせずに見せつけている。

 野外で、こんな誰が覗くかも判らない隙間だらけの小屋で全裸になるなど、いつものツカサなら絶対に嫌がる事だろうに。
 なのに、今の無垢なツカサは、ブラックに許されたい一心で子供そのままに泣きじゃくり、ブラックの目の前で無防備に藁の寝台に体を預けているのだ。
 それがどれだけ罪深く愚かな事か、解りもせずに。

「あはっ……はっ……ははっ……! それじゃ駄目だなあ。もっと……限界まで足を広げて、おちんちんをこっちに突き出すみたいにしてくれないと……!」

 息が荒くなってくる。ペニスはいつのまにかズボンを突き破らんばかりに勃起してしまっていて、今か今かと跳び出す時を待っていた。
 これでツカサが誘うような恰好をしてくれたら、もう我慢できない。
 思わずベルトに手をかけたブラックに、ツカサは怯えて股間を隠した。

「や……やだ、だって、これ……えっちなことするのと一緒じゃ……」
「いう事聞けないの? じゃあ、ツカサ君の下着から燃やすね!」

 近くに散らばっていた服の中から下着を取り、指を一本立てて「フレイム」と唱えようとした瞬間に、ツカサが「解った!」とヤケになったような声を出し、可愛い声で泣きながら、ゆっくりと股を開いて茂みすらない股間をこちらへ突き出してきた。

 相変わらず、何もかも子供だ。しかしその太腿はあまりにもメスらしく肉感的で、会陰の向こう側に見える丸々とした尻の輪郭が実に欲をそそる。
 何より、ぐすぐすと涙を流しながら淫猥な格好をしていると言うのが、記憶を失う前のツカサを屈服させた時のように、ブラックをより興奮させた。

「ふぅーん。こうしてみると、ツカサ君って本当いやらしい体してるよね……」
「っ、ぅ……」

 ブラックがそう言うと、ツカサは目をぎゅうっとつぶって顔をそむける。
 段々と感情が鮮明になっているのか、その反応は感情を失っていたとは思えないほどに、初々しく可愛らしいものだった。

(そんな顔をされると……ますます虐めたくなっちゃうなぁ……)

 犯す事に変わりは無い。
 だが、ここまで期待通りの反応をされると、欲が出てしまう。

 ブラックは荒い息を繰り返しながら、再びツカサに近付いて覆い被さった。
 そうして、ツカサの裸の胸に顔を近付けて、寒さに少し膨らんでいる乳首に触れんばかりの距離で、低く言葉を吐きだした。

「でもさあ、ツカサ君知ってる? ココを気持ち良いって思えるように開発したのは、僕なんだよ……?」
「ぅ……えっ……?」

 思っても見ない言葉に、目を潤ませたツカサがこちらを見た瞬間。
 ブラックは、乳首にむしゃぶりつき、舌を這わせた。

「っあぁあ!? ひやらっ、なっ、あぁあっ、なに、これっいやだぁ……ッ!」

 乳首を弄り軽く吸い上げた途端に、ツカサの体がびくりと反応し腰が一段がくりと落ちる。片方しか弄っていないと言うのに、ツカサは未知の感覚でも覚えたかのように震え、ブラックが舌を動かすたびに腰を浮かせていた。

「ハァ……は……気持ち良いでしょ……。ツカサ君は、僕とこういう事をたくさんしたんだよ……? 乳首を弄るのも、最初は嫌だ嫌だって言ってたのに、僕がたくさん触ってあげたら今じゃあこんな風にビンビンに勃つようになっちゃったんだ……」

 そう言いながら口を離すと、舌先から唾液が繋がり、完全に勃ち上がった薄紅色の乳首に垂れて流れて行く。ツカサはそんな自分の変化を見て、泣きながら必死に首を振りブラックの言葉を否定しようとしていた。
 だが、指で乳首の先端をこすられると、それだけで体が動くようで。

「うそっ、ぁっ、うそ、だ、やっ、あっ……! いやだぁあ……っ!」
「あははっ、あははは! ツカサ君ほら見てよ、乳首を触っただけでもうツカサ君の可愛いおちんちんが勃起しちゃってるよ? 記憶を強引に奪われても、やっぱり偽物の恋人より、本物の恋人の方が良いんだねえ」

 乳首の快感だけでもうヒクヒクと陰茎を揺らすツカサにわざとらしくそう言って、陰茎の先端を指で大雑把に触れる。
 だが、それだけでもツカサは感じてしまうのか、先程の絶望した顔はどこに行ったのかほおを真っ赤にして泣きながら首を振っていた。

「ちがっ、ぁっ、おれ、レッド、の……レッドと、こいびと、で……っ」
「恋人? ツカサ君のどこが気持ち良いのかも判らなかった奴が恋人だって? 変だなあ。ツカサ君はこんな所も感じる淫乱なのに、恋人がここを知らないなんて……」

 陰茎から指を離し、会陰を指で擽ると、腰が揺れて足がブラックの手を拘束する。
 柔らかな肉で挟まれても、気持ち良いだけで苦しくもなんともない。
 むしろ、ブラックが陰嚢の根元から尻穴のすぐそばまで満遍なく撫でてやれば、嫌だとばかり言うツカサの声が甘く跳ね上がる。

 それが面白くて何度も会陰を緩く撫でると、ツカサの陰茎から先走りが垂れて、指に絡みついた。最早、ツカサが快楽に抗えなくなって荒い息を繰り返している。
 口でどれだけ「嫌だ、違う」と否定しても、ツカサの体はブラックが与える快楽を覚えていて、その手に触れられる事を望んでいるのだ。

 そしてそれを、ツカサ自身も解っている。
 解っているからこそ、顔を真っ赤にしてまで耐えて首を振っているのだろう。
 自分が今まで信じて来たものは、まやかしなどではない。そう思いたくて。

(ああ……可愛い……可愛いなあ、ツカサ君……。僕以外の誰かに強姦される時も、こんな風に必死で拒否してくれるのかな? あはっ。まあ、これからやる事は他の誰にもヤらせるつもりはないけどね……!)

 もうそろそろ、限界だ。
 ブラックはツカサの先走りに濡れた指をぺろりと舐めて、ツカサの肩を掴み強引に彼の体をうつ伏せにする。勃起した陰茎を布に押し付けられて、ツカサは思わず声を上げたが、その反応に構わずブラックはツカサの丸く柔らかい尻を割り開き、谷間にたっぷりと唾液だえきを垂らした。

「うあぁあ……っ!? ぃ、や……な、に……っ」
「なにって、ツカサ君たら勿体ぶって。恋人同士がやる事なんて決まってるでしょ」

 とは言え、記憶を失っているツカサは解らないだろうが。
 自分で言って笑いながら、ブラックはツカサの尻穴に躊躇ためらいなく指を挿れた。

「ぎぁっ、あ゛!? な゛っ、なんっ……ぇ……そこ……!!」

 指を入れた途端に、今までとは違う反応を見せる。
 だが、ツカサの苦しそうな声や表情とは裏腹に、指を突きいれた尻穴はブラックの指を待っていたとでも言うように緩く締め付けて来た。

(やっぱり、あのクソガキはここまでやっていなかったのか。……ふーん? まあ、そこだけは褒めてやってもいいかな……)

 ツカサのナカの味は、自分以外にはまだ誰も知らない。その事が解っただけでも、ブラックにとっては僥倖だ。しかし、今更止まれなかった。
 こうなっては、もう自分の欲望を止められない。
 もっとこの無垢なツカサを傷付け、犯し、恐怖と絶望を与えたい。恋人と言うだけでは決して得られなかったツカサの顔を全部知って、彼を犯し尽くしたいのだ。

「ひあ゛ぁあぁ……! や゛らっ、やっ、あ゛、あぁあああ゛……ッ」

 指を二本に増やし、中を掻き回す。
 ツカサがすぐに啼くようになる場所を執拗に撫でこすってやった。
 それだけで、ツカサは布を握り締め腰を震わせる。震える尻は汗ばみ、思わず舌で舐め上げると相手はそれだけで甘い声を漏らした。

 最早、逃げられない程に快楽に囚われている。
 どうしても拒否しようとしていたツカサが、ブラックの指でここまで乱れている。
 何も知らないはずの体が次々に快楽を拾ってしまう事に耐え切れず、ツカサの心はもうボロボロになっているのだ。

 ……だが、まだ足りない。
 自分が一生見られなかっただろう、他人に対しての“そそる顔”は、充分に見せて貰った。しかし、まだあと一つ、残っているのだ。

(ツカサ君が……恋人じゃない男にナカまで犯されて……どんな風に泣き叫ぶのか……! あはっ、はははっ、僕を忘れて、指輪の事すら忘れて他の男に散々触られてたんだから、これくらいはされて当然だよね?)

 指を勢いよく引き抜くと、嬌声が上がる。

「うあぁああ……!!」

 布を握り締め、ツカサの体が大きく揺れる。
 その細く頼りない背中を見ながら、ブラックは充分に勃起した自分のペニスを取り出し、谷間で緩く開いた尻穴に先端を擦りつけた。

「ねえ、ツカサ君……僕が今から何するのか、わかる……?」
「ぅ……ぇ……? う、うぅ……」

 解らないと言わんばかりにうめくツカサにわらい、ブラックは体を折り曲げてツカサの耳元に唇を寄せ、囁いた。

「今から僕とツカサ君がする事はね……ふっ、ふふ……あ、愛し合っている二人しかしちゃいけない……セックスって行為だよ……?」
「――――――ッ!?」

 今まで喘ぐだけだったツカサが、目を見開いて振り返る。
 「嘘だろう?」と言わんばかりの表情だったが……ブラックの顔を見てそれが嘘では無いと確信したのか、ツカサは快楽に浮かされた顔を歪めて涙を流した。

「ぃ……いゃ、だ……やめ、ぇ……も……ゆるし、ぇ……っ」
「あは……可愛い……。でもねツカサ君、これは必要な事なんだ……僕とツカサ君が何者でどんな関係なのか解って貰うためには必要なんだよ……? だから、セックスして、早く僕の物だって思い出してね……!」

 思い出すまで、何度も何度も何度も、突き上げて犯してやる。
 そう言って、ブラックは――いきり立ったペニスをツカサの肉穴に挿入した。

「ッ――――!! あ゛ッが……あ゛、あ゛ぁあ゛ッぐっ、ぁっあ゛ぁあ……!!」
「う……ッ、あっ、あぁあ……ツカサ君のナカってホント気持ち良い……っ」

 悲鳴を上げるツカサに構わず、根元まで一気に収めてブラックは腰を揺らす。
 最初こそ衝撃に悲鳴を上げていたツカサだったが、やはり体がブラックのペニスに慣れていたからか、揺らされて声が上ずり始める。だが、快楽を拾う事でわずかに正気を取り戻したのか、必死にこちらを振り返って来た。
 だが、その顔は……目を見開いて涙を流し、何かに絶望したかのような顔で。

(ああ、そうか……そうなんだぁ……これが……これがツカサ君の……っ)

 愛しい恋人の、強姦されて貞操を守り切れなかった時の、絶望の顔なのか。
 そう思ったら。

「あはっ、あははっ、ははははは!! つっ、つ、つかさくっ、ツカサ君っあはっ、あははは! ツカサ君いいよっ、あはっそっ、そんな顔するんだっ、別の男に犯されたら、そんな顔してくれるんだねぇ!? 可愛いっ可愛いよぉお!」

 ずちゅずちゅと激しい水音を響かせながら、何度もツカサの穴に出し入れする。
 時には根元まで埋め込み一気に引き摺り出すと、ツカサは高い声を上げてり涙を飛び散らせた。だが、必死にブラックの言葉を否定しようとしているのか、喘ぎ声の狭間で必死に「違う」と言おうと頑張っているようで。

「や゛らっ、ぃ、あっいあぁあ! ちがっ、あっ、あぁあっお、れ、おれっ、はっ」

 こうなってもなお、自分との記憶を否定しようと言うのか。
 快楽と怒りがぜになって、ブラックはツカサを蹂躙しながら怒鳴った。

「レッドの恋人だって言うの……? はっ、ははは、冗談言うな! ツカサ君はっ、ぼっ、僕の恋人だっ婚約までした僕だけの恋人なんだぁああッ!!」

 突き上げて、何度も何度も奥までペニスを叩き込んで、一度射精する。だがそれでも治まらず、ブラックは再び精液に塗れたツカサの中を何度も犯した。

「れっ、ぉ……れ゛っぇっ、ぅ、あっ、ああぁっ、ひぁっ、ぁっぅあぁ……ッ!」
「アイツにこんなセックスが出来るか!? ツカサ君が気持ち良いと思うセックスはどっちだよ!! 僕だろう!? 思い出せよ!!」
「ひぐっ、う、うぅうあぁああぁああ……!!」

 ツカサの声が、快楽と悲しみの狭間で揺らいでいる。
 これも、初めて見る顔だ。そう思って無意識に覗き込もうとする、と。

「――――っ……!?」

 ツカサの瞳が。彼の真紅の瞳が何故か、妙な変化を起こしていた。
 だが、それを確認する前にツカサは髪を振り乱して逃れてしまう。

「あ゛ッ、あっ、あぁああぁッ、う゛あぁぁっぅ、ひ……ぃい゛……ッ!! 」

 快楽に乱れ、苦しむように、歯を食いしばっている。
 そうして、ツカサはついに体を一瞬緊張させて――――達した。

「――――~~~ッ!!」

 声が出ないのか、ツカサはのどを曝して口をぱくぱくと動かす。
 その窒息しているような様子に思わずペニスがうずき、ツカサの中を今一度深く突き上げると……ツカサは、ばたりとその場に倒れ込んだ。

「ッ!? つ、ツカサ君……!?」

 思わず呼んでみるが、しかしツカサは目覚めない。
 だが、だからといってブラックのペニスは萎える事も出来ず、ツカサの極上の肉穴で思う存分己を高めて二度目の射精を遂げてしまった。

「うっ……ふぅ……」

 どくどくと精液が放出されていくのを感じながら、悦楽に酔っていると。

「ぅ……う…………」
「ん……?」

 ツカサが声を漏らしたのを聞いて、思わず顔を見る。
 すると、相手はもぞりと動き閉じたまぶたをぎゅうぎゅうと締めると、ゆっくり開いてこちらに視線を向けて来た。

「え…………」

 その、瞳は――――何故か、琥珀色と真紅が混ざった妙な色になっていて。

(……ちょっと、待って。これなに……どういうこと……?!)

 片方だけの色になるなら分かる。どちらかの目の片方が真紅で片方が琥珀色というのなら、納得出来ないでもない。だが、両目とも琥珀と真紅が混ざっていると言うのは、どういう事なのだろうか。こんな瞳など見た事が無い。
 いや、ヒトという種族で、こんな不可解な色の瞳をしている者など……。

 そう考えながら戸惑っていると、こちらを見ていたツカサが不意に口を開いた。

「…………ぶら……っく……?」
「……!」

 その声は、明らかに今までと違う。

 まるで、その声は…………

「つかさ、くん……?」

 記憶を失う前の、ツカサの声のようだった。














 
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