異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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空中都市ディルム、繋ぐ手は闇の行先編

17.変態は怒らせるとこわい

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「その……元々俺が悪かったんだけど……」
「そう言うの良いから、この熊にどんな触られ方したのか話して」

 そう言いながら、ブラックは股間に当てた手を動かす。

「っ、ぅ……」

 布越しなのに、ブラックの手の熱さや指の起伏が解る。
 そんなに薄い訳が無いのに、どうしてこんな風に感じるんだろう。ぎゅっと掴まれているからなのか、それともこの苦しい体勢のせいでズボンが突っ張ってへこむ感覚を如実にょじつに感じてしまうせいなのか。

 どっちにしろ、俺にとってはヤバい事に変わりは無い。
 他人の手に急所を握られているという感覚は、背筋が凍るようでもあり、体が反応してしまうせいでカッカと熱が上る感覚も有る。この状況のせいで風邪をひきそうなくらい、体がもうおかしくなっていた。

 どうして、強引に恥ずかしい恰好をさせられると、こんな風になるんだろう。
 恥ずかしいなら恥ずかしいで、体なんて反応しなきゃいいのに。どうして恥ずかしくなって青ざめるなんて事が無いんだろう。そっちの方がよっぽどマシだよ。

「ツカサ君、言えないのかな?」
「う……い、言う……言います……」

 ああもうチクショウっ、なんで俺がこんなしおらしくしなきゃいけないんだよっ。
 ええと何だっけ、えっと、ぶっちゃけそんなに覚えてないからその……。

「えっと……その……クロウと喧嘩して、結果的に逃げる形になっちゃったんだけど壁を背後で崩されて、そんで俺はころげて……」
「は? 壁? なにそれ」
「い、いや、その……本気モード……クロウってさ、完全に自分の力を出したらツノが生えて今よりもっと強くなるだろ? その状態で追いかけて来られて……その時に壁をドカンドカンと」
「ふーん……それで?」

 あれっ、意外と素直に話を進めてくれるぞ。
 いや、口調は怒ってる感じなんだけど、なんだか我慢してくれているような。
 ……はっ、もしかしてブラックも大人の対応をしようとしてくれているのかな!?

 だったら変に恥ずかしがらずに正直に喋れば痛みは少なくて済むかも!

「そんで、俺が壁を壊した突風に転げてる内にクロウに追いつかれて、口論になって傷が出来たって言うか」
「どことどこの傷?」
「胸に深い爪痕と、肩にも傷をつけた。拘束したから手首にも傷をつけてしまった」

 真正面のクロウが、申し訳なさそうに耳を伏せる。
 本当に申し訳ないと思っているその姿に、俺は慌てて付け加えた。

「あっ、で、でも致命的なモンじゃないからな。だってほら、ちゃんと治ったし!」

 今はもう全然傷痕も無いだろう。ほらほら。
 だから別に気にする事も無いんだからな、とブラックを振り返ると。

「…………続きは?」

 いちミリも「我慢して聞いてるよ!」という我慢が見えない、ギラギラして今にも目の前のクロウを殴り飛ばしそうな顔をしているブラックさんがあーらそこに。
 ……ヤバい。これ大丈夫なの。大丈夫なの?
 これからもっとヤバいことを言うのに、傷付けただけでコレっていいの……?

「ぶ、ブラック……」
「ああ、そういえば涼しくしてあげる約束だったね。ほら、続き話して」

 声も顔も怖いが、ブラックは俺の股間から手を放してくれる。
 あまりにも熱がこもっていたせいか、手を離されると足の付け根と股間がヒヤッとしたが、そんな事で声は出せまいと堪え、俺は気合を入れて再び口を開いた。

「えっと……その……色々、触られて……」
「どこを? ちゃんと言わないと解んないなあ」
「う……その……乳首、とか……」

 うぐぐ……なんでこんなこと言わなきゃ行けないんだ。
 乳首触られたとか今そういうの関係ある!?

「どういう風に触られたの?」
「そこまで言う必要ある!?」
「あるよ。言えないの?」

 まるで浮気した夫を責めるような言い方だ……。いやまあ普通に考えたら俺は浮気男と呼ばれても仕方がないんだけどさあ。
 じゃあやっぱり、正直に言わなきゃいけないんだろうけど……。

「……う……あの……爪で、突かれたり……いつもみたいにされたり……」
「いつもみたいに?」
「っ……! だ……だからっ、指でつまんだり揉まれたりして……そんで、その……あっ、そうだ。肝心な事言うの忘れてた!」
「ん?」

 俺が急に声を大きくしたのからか、ブラックはちょっと驚いたようだ。
 いやでもこれはブラックにも教えておかないとヤバいもんな。二人だけの秘密にしてたら後々ブラックにとんでもないお仕置きされそうだし、素直に言える内に言っておいた方がいい。今の所、俺から曜気を自由に奪える存在は限定されているし、それを防ぐ方法だってなくはない。
 でも、この事を……俺が、相手に曜気を奪われる時に物凄く不本意な事になる事を知らなければ、不測の事態になった時に対応できないだろう。

 ブラックがこの事をどう思うかは解らなかったけど……俺の黒曜の使者の力の発現をずっと見て来たのはブラックだ。これからも一緒にいるんだから説明しないと。
 ……じゃなかったら、レッドとかに何かされた時に勘違いされそうだし……。

 とりあえず手早く俺の「曜気を奪う時に、衝撃を快楽に変換する機能」みたいな物の説明をブラックにしたのだが、相手はというと信じられない様子で俺を見ていた。
 まあそうだよな……やっぱ実際使わないと解らな

「ツカサ君たらこのクソ熊にそんなことされてたの!? うわあああもしかして本当にお尻まで許しちゃったんじゃああああ!!」
「違う違う寸止め! しなかったの!! 頼むから落ち着いて!!」

 だあもうなんでこうお前ってやつは早とちりが好きなんだっ。
 頼むから耳元でヒステリックな声を上げるのはやめてくれ。オッサンの金切声ってめちゃくちゃ重量級でヤバいんだけどおおお。

「ブラック、オレは確かにツカサに強烈な快楽を覚えさせてわきを舐めたり、かわいいおちんちんから精液をすすったりしたが、ナカにはいれていないぞ。ツカサがその前に正気に戻してくれたからな」
「てめえええええ!! 信じられるかああ!!」

 まあそりゃそうですよね! そこまでやったんだしそら俺でも信じられんわ!
 でもそれが本当の事だし信じて貰わなければどうしようもない。どうすればいいんだろうと思っていると、ブラックが急に俺の横に顔をぬっと突き出してきた。

「ツカサ君嘘ついてる? ねえ、ついてないよね?」
「う、うん。マジだぞ。これはホントの事だからな」

 ギラギラと光る菫色すみれいろの瞳をおっかなびっくりで見返すと……――ブラックは怒った顔を崩す事は無かったけど、ちょっと冷静になったようで怒鳴りはしなかった。
 信じてくれたのかな……。

「チッ、目が泳いでないからホントか……」
「え? どゆこと?」
「まあそれならちょっとは安心だけど……でも結局、犯される寸前までいったんだろ? 気持ち良くされて、舐められて、それからどうしたの」

 なんだかはぐらかされた気もするが、ここでそれを追及しても仕方がない。というか、今の俺には追及する権限など無い。
 ブラックが冷静な間に話しておかないと、余計にヤバいだろう。ここから先は火に油をそそぐようなことしかやってないんだ。なんとか怒りゲージを少な目でもたせねば。一度怒ったらブラックは手が付けられないからな……。

「えっと……体勢変えられて、四つん這いになって……そんで……指、いれられた」

 ビキッという音がすぐ横から聞こえたが、怖くて視線が合わせられない。
 深すぎる呼吸は最早巨大な怪獣が獲物を探す時に出してる呼吸みたいで、そばにいるのに見つからないようにと思って呼吸を止めてしまいそうになる。
 隣にいるブラックは、それくらいヤバい雰囲気をかもし出していた。

 目の前にいるクロウもさすがにブラックの様子に気圧けおされているのか、耳がほんの少しだけ後ろに傾きそうになって汗をだらだら流していた。
 無表情のクロウがこんな風になるって、そうとうヤバいんじゃないのか。

「それで? 本当に挿れてないって? 指を挿れてやめたって?」
「うっ、うううん! あ、あのさ、いやあ情けない事なんだけどさあ、俺ってば一線を越えちゃうともう三人旅が出来ないと思って泣いちゃってさあ! そしたらクロウが正気を取り戻してくれたってわけ! なっ、だから何もない、これで終わり!」
「あ、いや、そのあと口にキスをして乳を吸ったり手を繋いだりしたぞ」
「あったねえそういうこと!!」

 だーもーなんでクロウってば火に油を注ぐの!
 いや実際にやったことだし全部話すんなら話さなきゃ行けなかった事だけども!

 でもビキビキしてる今のブラックにそんな事を言ったら……――

「ふーん……? キス。キスしたんだぁツカサ君……教えて貰えて良かったよ」
「ぶ、ぶらっく」
「お礼にツカサ君の大事な所、もっと涼しくしてあげるね……!」
「え……」

 俺がマヌケな声を漏らしたと、同時。
 ブラックは俺のズボンの膨らんでいる部分を両手で引っ掴むと……どう力を入れたのか解らないほどの剛力で、そこの布を丸ごと破き捨ててしまった。

「う、そ……」

 うううう嘘嘘嘘俺のズボンってそんなに薄い素材じゃ無かったはずだぞ!?
 なのにどうしてこんな簡単に……うわヤバい下着が丸見えじゃん。しかも、股間のあたりだけまるまるズボンの布が無くなってて……こ、こんなの股間部分がない変態タイツみたいじゃんか……!

「ほら、涼しくなったでしょ……?」
「ブラック、お前こんな……!」

 こんなことするなんて、酷い。
 ヒラヒラした服を着てる人ばかりのこのディルムじゃ、この一張羅いっちょうらのズボンの代わりなんて見つからないかも知れないんだぞ。
 なんちゅうことをしてくれたんだと思わず睨むと、ブラックはにっこり微笑んだ。

「ツカサ君は今からずっとこの格好でいたらいいよ。そしたら、ツカサ君が大好きなセックスもいっぱい出来るし、このクソ熊からもいつでも股間を舐めて貰えるよ?」

 …………ヤバい。
 機嫌良さそうにニコニコと微笑んでいるけど、これは完全に怒ってしまってる。
 こうなるともう、俺の言う事なんて聞いてくれない。

 でもこの状態はいくらなんでも酷いだろう。
 俺とクロウで必死に説明したのに、ブラックはその行為は無意味であったと嘲笑あざわらうかのように声を小刻みに漏らして横から俺をじいっと見て来る。

 その視線は肌に突き刺さるようで、痛いというほかなかった。

「ツカサ君との約束通り、このクソ駄熊には拳も足も出さないよ。……でもさあ、僕はやっぱり割り切れない所もあるんだよ。わかるよね? ツカサ君」
「う……ぅう……」

 そりゃ、そうだろうな。
 だってブラックからしてみれば、複雑な事情があったにせよ、嫌なコトをしたのに変わりないんだし。ブラックにとってはクロウの苦悩とかはどうでも良くって、俺と隠れてやらしいコトをしたって事実だけが重要なんだ。
 でも、話を聞いてその答えがこれなんて……。

「ツカサ君……さっきの約束覚えてる……? 何でも言うこと聞くって約束……」
「ッ……!」

 耳元で、ねっとりとした声がする。
 つい身を縮めてしまうと、ブラックは俺の耳をぺろりと舐めた。

「今からここで、セックスしようか。足枷を付けたままで。……そしたら、少しは許してあげてもいいかもよ」
「ぐ……うぐぐ…」
「さあ、この変態ズボンが無駄にならないように、おもいっきり喘ごうね……」

 そう言うと、ブラックは有無を言わさず俺の体に手を伸ばしてきた。















※色々あってこんな時間に更新してしまいました申し訳ない…
 そしてエロ入れられなくて次回に続きます、すみませぬ……_| ̄|○
 
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