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空中都市ディルム、繋ぐ手は闇の行先編
真面目に話をしても聞かない奴もいる2
しおりを挟むついにこの瞬間が来てしまったのか、とか、こりゃ絶対修羅場になるぞイヤだなあとか思ったんだが、やってしまった物はもう取り返しがつかないんだし、何よりもう先に「ヤバい事しちゃいました」とバラしてるんだから、話さない訳にはいかない。
隠せば隠すだけブラックに勘ぐられることになってしまうんだからな……。
風呂場ではぶっちゃけマイルドに話したので、真相は明かしてない。
……というか、正直な話、素っ裸の状態で「指まで入れられて、立派なモノをケツに突き立てられました」とか言ったら風呂が崩壊すると思って言えなかったんだよ。
よそ様のおうちでそんな事になったら弁償どころの話じゃないぞ。
だってのに、ブラックの野郎目ざとく感じ取って……うん、いや、俺が判りやすいとかそういう事ではないはず。絶対にないはず。
とにかく、もうこうなったら話すしかない。
いくら俺が遠回りな感じで核心を避けて話したとしても、結局は「どういう経緯で仲直りしたのか」という事を訊かれる羽目になるだろう。それを言えずに取り繕ったりすれば、自分に言えない何かをしたんだとブラックに確信されてしまう。
俺は今ブラックのヒザに乗せられてガッチリガードされているし、目の前には何かを待ちかねているクロウが座っている。最早逃げられない。
……つーかクロウ、この位置で一番殺されそうなのはお前なんだけど大丈夫か。
「あの、ブラック」
「なーに? ツカサ君っ」
「その……俺が何を話しても……クロウのことを殴ったり蹴ったりしないって、約束してくれる……?」
「ツカサ……」
目の前の熊耳が忙しなくぴこぴこと動いていて、クロウの周囲に「とっても喜んでます!」みたいな雰囲気の空気が広がっているのが解る。
無表情は相変わらずだけど、めちゃくちゃ感情出すようになったねクロウ……お兄さん嬉しい……じゃなくて。おい、お前ちょっとはガクブルしろよ!
話の流れによってはお前がヤバいんだぞ!
「ん~……わかった。じゃあツカサ君も今から僕がする事に逆らわないでくれる?」
「え……」
「そうじゃなきゃ約束できないなぁ~」
「…………わ、分かったよ……」
なんか物凄く嫌な予感がするけど仕方ない……。
ぎこちなく頷いてやると、背後から笑う声と生温い息が吹きかかって来て、思わず体が反応する。ああもう、なんでこう俺の体は高感度なんだっ。そんなに感度が高いなら周囲の人の気配ぐらい察知してくれたっていいのにっ。
俺のスキルツリーはどんだけ戦闘向きじゃないんだよと泣きたくなっていると……不意に、ブラックの手が俺の片足を掴んだ。
何をするつもりなのか判らず、ただ片足をブラックの膝に上げて片足を立てるような格好にさせられると、背後からしゅるりと何か妙な音が聞こえてきた。
なんだと思ってふと足の方を見ると……なんとそこには、俺の足をその体制のままガッチリと固定する、厚みたっぷりの足枷がはまっているではないか!
「んんんんん!? なっ、えっ、なああ!?」
なにこれ、なっ、なななな!?
おいちょっと待て、ブラックお前こんなの
「えへ。驚いた? 実はさ、これ、さっきシアンの息子に貰った鉱石で作ったんだ。練習したい品があるっていったら、伸縮も膨張も自在な【グラシュティライト】とかいう凄い鉱石を分けてくれたからさ~ちょっと使ってみようかなって思って」
「だ、だからってお前、そんな貴重そうな鉱石をこんな拘束器具にすんなよ!!」
「大丈夫大丈夫、コレ普通の鉱石より脆いからここでは安い値段なんだって! まだ金属を上手く加工できない僕の練習用にぴったりだよねえコレ」
「お前もう全然加工出来てるんですけどお!?」
これ以上何を望むんだと思わずツッコミを入れるが、ブラックは俺の背後でウヘヘと笑いながら、でっかくて分厚いパイプのような枷の端を摘まんで、グイッとそこを引っ張る。硬くて分厚いはずの枷はそこから太い縄のように伸びて、それが背後へと回された。と、思っていたら、ブラックはフリーだったもう片方の足を掴んで膝の上に立たせると、背後から伸ばした太い縄のような金属を軽く扱い、畳まれた俺の足に一周渡した。瞬間、白い光が散り、もう片方の足に巻かれた金属も一瞬で同じような枷に……って、おいいいい! 何やってんの、何やってんのこれー!
「うわああ! いっ、痛いって! お前なんつう格好させんだこれええええ」
「あはは、大丈夫大丈夫。ツカサ君は意外と体が柔らかいしさあ、若いんだからこのくらいの体勢男の子でも大丈夫でしょ」
「大丈夫なワケあるかァ! はなせえ!」
この状態じゃ話も出来ないだろうがと抗議するが、ブラックは背後から生温い吐息を首に吹きかけながら、俺の体を抱えて背中を自分の胸に預けさせた。
そうなると、俺はクロウに股間を曝け出すポーズになってしまうわけで。
「ぅっ……や、だ……」
頑張って足を閉じようとするんだけど、相手が金属ではどうにもできない。
分厚い枷が足の肉に食い込むだけで、俺の脚力では背後に回された金属の太い縄を引き千切る事なんてとても出来なかった。
「ヤダ、じゃないでしょ? ズボンも下着も穿いてるんだから、ツカサ君は何も恥ずかしくないはずだよ……? それとも……」
「ひゃぅうっ!?」
それとも、の言葉の次を待つ俺を嘲笑うかのように、ブラックは股間に手を伸ばして、大きな手で俺の尻から股間までを撫で上げた。
完全に不意打ちで、思わず気持ち悪い声を上げてしまう。思わず口を噤んだ俺に、ブラックは「ふふふ」と笑うと、耳にまた吐息を近付けて来た。
「それとも……犬が服従する姿みたいな恥ずかしくて無様な格好になって、ツカサ君のえっちな所が興奮しちゃった……? ズボンも下着も穿いてるのに……?」
耳に唇で触れながら、と息を吹きかけて来る。
頬にまで吹きかかってくる生温いオッサンの息なんて、普通なら嫌悪以外になにもない。だけど、ブラックが俺の耳を唇で食んで、荒い鼻息を低い声と共に吹きかけて来ると、嫌なのに体がぞくぞくしてたまらなくて。
その上、股間を何度も何度も柔く撫でられると、腰が勝手に動いてしまう。こんな事されたら誰だって声が出ると思っていても、恥ずかしくて仕方なかった。
「やだっ、……ぃやっだ、ぁ……あぁ……っ! やめろっ、てば……!」
「ツカサ君、ほら、今から話していいんだよ? ツカサ君がこのクソ熊に犯されかけたってのに、コイツを庇おうとする理由とかさあ」
「だっ……たら、これ、するのやめて……っ」
「なんで? ……ツカサ君は、僕の言う通りにしてくれるって約束したよね?」
背後のブラックの声が、急にいつも以上に低くなったのを感じた。
こ……これって……怒ってる……?
「ブラック顔が怖いぞ」
「やっぱ怒ってる!」
「怒ってるよ? だってツカサ君たらさぁ、勝手にこのクソ駄熊となんか重要そうな約束しちゃってるんだもん。そのうえ、その話したくせにセックスさせてくれないしさあ。怒ってないわけないよねえ!」
耳元で怒気を含んだ声を思いきり爆発させながら、ブラックは俺の熱を持ち始めていた急所を少し強く掴む。
「ぎゃあっ!!」
別に潰されるほどじゃない。痛みが有るわけじゃない。でも、急所を全部覆われて指でタマをきゅっと上に寄せられると、それだけでもう怖くて叫んでしまう。
ぎゃあっ、なんて、男らしくない叫び声過ぎて情けない。でも、出ちゃったもんは仕方ないだろう。むしろこの情けない叫び声で許してくれないだろうか。そうは思うが、やっぱりブラックは許してはくれなかった。
「ツカサ君ったら酷いなあ。僕そんな悲鳴あげるくらい掴んでないよ? そんなに僕のこと悪人扱いしたいの?」
「ちっ……ちが……これははずみで……」
「じゃあ我慢出来るよね? ツカサ君約束したもんねえ、僕が今から行う事に逆らわないって。……だったら、ちゃあんと股を開いたままで話してくれるよね?」
「う……ぅうう……」
手で覆われてる所が熱い。
それが自分のブツからの発熱なのか、それともブラックが汗ばんだ手で俺の股間を抑えているからなのか、もうどっちなのか判らない。
でも、ズボンをムリヤリ前にまとめられて、ぎゅうっと急所を掴まれていると……そ、その……布が引っ張られて、あの……尻の所に、食い込むって言うか……。
ああもうっ、なんでそんなトコばっかり敏感なんだよッ!!
「ぶ……ブラック、あの……話すから、もう……」
「ん~? 僕はツカサ君の大事なトコロを守ってるだけのに、手を離して欲しいの? なんでかなぁ?」
「そ……その……あの……熱が、こもっちゃう……から……」
「別に汗臭くはないが」
「クロウッ!!」
くんくんするなっ!!
馬鹿っ、うまとかしかじゃないけどバカー!!
「熱が籠っちゃう? あ~そうだねえ、おちんちんの部分が汗臭くなったら、ツカサ君は恥ずかしいもんねえ。……じゃあ、ちゃんと話してくれたら、そのたびに涼しくしてあげる。それで良いよね?」
あ……あれ……声が明るい感じに戻ってる……?
俺からはブラックの顔が見えないけど……もしかして、この状態で機嫌が直ったのか。お前、俺が戸惑うのを見て機嫌直すってマジでなんなんだよ。こっちが怒るぞ。
いやまあ良いけどさ。穏便に済むならもう服従のポーズでもいいけどさあ!
ていうか、この大股開きでいざ分娩みたいになってるポーズってこの世界じゃ犬の服従ポーズなんだね! まあこれで地面に転がってたら確かにそうだけどな!
とにかく手を放してくれるならなんでもいい。なんでもいいぞ。
「どうする? ツカサ君」
「じゃ、じゃあそれで……」
どうせ約束のせいで色々やらされるんだし、もうさっさと話して終わるに限る。
俺が頷くと、ブラックは「ははっ」と嘲笑うような声を漏らした。
「じゃあ……話して貰おうか。ツカサ君がこのクソ熊に何をされたのか、詳しく」
その声がまた一段低くなっている気がしたのだが、もう後には戻れない。
俺は股間を覆っている手を気にしつつも、息を飲んで覚悟を決めた。
→
※またちょっと遅れて申し訳ないです(;´Д`)
次はブラックが酷いです(通常運転)
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