異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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世界協定カスタリア、世界の果てと儚き願い編

30.あなたをいとしいとおもうから

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   ◆



 服を脱いで、ベッドの上で大きく足を開いていく。

 こんなこと、いつもの俺なら絶対にしない。でも、今はそうも言っていられない。
 恥ずかしくて頭がだりそうだったけど、目の前で俺の様子を凝視してるブラックの鬼気迫る顔を見るとプライドすらも追いつかなくて、俺は震えるひざを割った。

 やるって決めたけど、でも、やっぱり恥ずかしい。
 ブラックに許して欲しい気持ちは有るけど、自分がこんな無様な格好でブラックに許されようとしている事を考えたら、どうにも情けなくて体が焼けそうに熱かった。

「ちゃんと“ドコにどうしてほしいか”……言えるよね?」

 ――だってツカサ君は反省してるんだもんね。覚悟を決めたんだもんね?
 なんて、ブラックが追い詰めるような事を言う。

 そんな事を言われると、逃げようも無い。元からそのつもりだったとはいえ、本当に許して貰えるのか解らないこの状況で恥を曝すのは、かなりの勇気がった。
 でも……自分で、決めた事、なんだから……。
 こういう時にまごつくなんて、男らしくない……はず……。

 だから、俺は一生懸命に熱さと緊張で震えそうになる頬を強張こわばらせながら、ぎこちなく開いて行く足の間に手を伸ばした。

「っ……ぅ…………」

 あんなとこ、触って……あんなこと、言えるのかな。
 俺みたいなのが女の子が言うような事を言っても、嘲笑あざわらわれるだけで、ブラックにそっぽを向かれてしまうんじゃないだろうか。
 だって、俺、色気なんてないし、膨らんでる所なんか股間しかないし、エメロードさんみたいに、綺麗でも可愛くもないし…………。

 …………ブラックが俺のことを構ってたのだって、今までは恋人の欲目って奴で、冷めた今見るとただのクソガキにしか見えないかも知れない。
 もし本当にそうだったら、怖い。ブラックにわらわれたら、どうしよう。

 だけど、ここで逃げたらきっと何もかもダメになる。俺自身だって後悔する。
 一緒に居たいって、恋人で居て欲しいって、俺……言ったから……だから……。

「……っ、ん…………!」

 直接手で触れる事なんて滅多にない、そこ。
 触るとしても、指ですぼまりを触る事ぐらいしか出来ない場所を、俺はわざわざ腰を少し突き出して、ブラックに見えるように体を曲げる。
 顔が熱くて、目の奥が変にじわじわしてきたけど、今更どうしようもない。

 前から伸ばしてそこに触れる腕に、まだ勃ちあがってもいない俺のモノが少し触れて、なんだかやけに敏感に感じ取ってしまって、内股がぞわぞわする。
 思わず顔が歪んでしまったけど、俺は震える人差し指に精一杯の力を籠め、窄まりを横に引っ張り女の子があそこを広げるみたいにして、ブラックに見せつけた。

「っ…………こ……ここ、に……ブラックの、挿れて……えっちして、下さい……」

 触った場所の感覚が生々しい。
 自分の体にこんな感触の部分が有ったのかと改めて驚いてしまうぐらい、そこはしわが寄っている訳でも無いのにひだになっていて。指で広げたつもりなのに、緊張からかきゅっと締まろうとして指にあらがっていた。

「ふぅん……?」

 や……やだ……見ないで……。
 こんなとこ、じっくり見て欲しくない。早く、答えを言って欲しい。

 ブラックの目にじっと見つめられて、視線がそこに注がれる度にお尻が緊張して、その緊張が何故か股間の辺りにダイレクトに伝わってしまう。
 腕に少し触れそうになっている俺のモノも、最近触られ過ぎて変になっている会陰えいんの部分も、なんだかきゅうっとしてきて、変な事になりそうで辛くなってくる。

 だけどブラックは目だけをに歪めると、俺の顔をじっと見て来た。

「僕のって、なに……? こういう時のオネガイの仕方は、前に教えたはずだけど……ツカサ君、忘れちゃった? 僕に謝ろうとしてるのに、僕が教えた大事な事も忘れちゃってるんだ」
「ち、ちがっ……」
「だったら、言えるよね?」
「…………」

 解ってる、何を言えばいいのか、解ってるんだけど……。
 …………い、いや、何を迷ってるんだ、俺。土下座をしてでもブラックに謝るって決めたじゃないか。なのに、自分が恥をかく事を恐れるなんて男らしくない。
 思ってた謝罪と違うけど、でも、ブラックが望んでる事をやらなければ。

 そうじゃないと、誠意なんて欠片も伝わらない。
 …………よ……よし、や、やる、ぞ。言うぞ、言うからな……!

「ぅ……う、うう……お、お……お、俺のお尻に……ブラックの……ち、ちんちん、を、挿れて……ください……」
「うーん? なんか恥ずかしがってない? 僕が好きな感じのと微妙に違うなあ」
「~~~~~……っ! ぃっ……ぁ……だ、だからっ、ぶ……ブラックの、大きい、おちんちんを……っ、お、俺のお尻に……挿れて……っほしく、て……」

 ブラックが好きなのは、ガキみたいな単語。
 それを俺が恥ずかしがっていうのが、好きで。俺は何だその性癖って思っていつも凄く憤慨してたけど、ブラックが言えって言うから知らず知らずのうちにあんな言葉を言うようになっちまって……う、うぅ……。

「ほんとに、犯して欲しい?」

 ブラックの言葉に、俺は必死に頷く。
 熱で視界まで茹だって揺らいで来たけど、逃げる事すら怖くて視線で必死にすがる。
 これだけじゃ足りないんだろうか。まだ、許す気には慣れないんだろうか。だけど俺、これ以上の事なんて思いつかないよ。
 どうやって誘えばいいのかすら、俺には解らない。

 そう思うと自分がいかに相手を求めなかったのかを実感してしまい、眉間がひどく痛くなった。……俺、本当に馬鹿だ。ブラックが好きな誘い方すら知らないなんて。
 相手のこと全部分かった気になって、バカみたいだ。
 何で俺、そんな風に思っちゃったんだろう。本当は、何一つ解って無かったのに。

 だからいま、こんな風に恥ずかしい事をして、ブラックに縋ってるんだ。

「ブラック、ごめん、なさ、ぃ……。俺、こんなの、しか……」

 こんな誘い方しか出来ない。
 やっぱり、ブラックの好きな誘い方じゃ無かったんだろうか。
 そう思って、自分を見つめる相手を滲んだ視界で見やると。

「ふっ……ははっ、ははははっ、ははははははは!!」

 目の前の相手がのどを曝して思いっきり笑った――かと思ったら、俺はいつの間にか勢いよくベッドに背中を押し付けていた。

「え…………」

 なに。何がどうなったの。わかんない。
 目の端から視界を滲ませていた物が流れて行って、天井がはっきりと見える。
 だけど俺がそれを認識するよりも先に、腰を強く掴まれて、足が宙に浮いた。

「え……!? っ、ひぅっ!?」

 さっきまで指で広げていた場所に、何かが上から垂れて来た。
 なに、これ。なまぬるい。そう思ったと同時、窄まりに思いきり指を突き立てられて、俺は大きく跳ねてしまった。

「ひっ、ぃ゛っ……!? ぶっ……ぶらっ、く……っ」
「はっ、ははっ、はははっ、ぁ、あはっ……! ゆっ、許してあげる、ツカサ君……ッ。だけど……もう、離さないよ……? 今からずっと思う存分犯して、壊してあげる……今まで我慢したぶん、何度も、何度も何度も何度も犯してっ、はっ、ははっ、あはっ、あはは……ッ! もぉ、遠慮、しない……ッ、逃げたら、許さない、お、おっ、犯すよっ何度も、何度も、犯すからねっ……!!」
「ん゛ぅっ、ぅ、んぐっ、う……ッ!」

 充分に濡らされていないそこに強引に指を押し込まれて、思わず体が緊張してナカの指を拒むように締め付けてしまう。
 気持ちも付いて行っていない素面しらふの状態では、異物感と苦痛が凄まじい。
 ナカで動かされると思わず悲鳴を上げてしまいそうで、だけど俺は必死にこらえて、今度こそブラックがしたい事をして欲しいと何度も言葉無く頷いた。

 だって、これは、ブラックがしたい事だから。
 許してくれるって、言ったから。我慢しなきゃいけない。耐えなきゃいけない。
 ブラックがしたいようにして、俺のこと、そうしたいって思うなら。

「し……ぇ……っ」
「あはっ……?」

 笑いながら、ブラックが不思議そうな顔をして俺の顔を見て来る。
 相変わらずの、酷い顔。

 目は見開いて、口は半開きでよだれなんか垂らして、怖い顔で笑っている。
 悪役みたいだと言われても仕方のない、ブラックの興奮した顔。
 だけど、その顔はまぎれも無く――――


 俺がずっと見て来た、ブラックの、本当の顔で。


「お、れ…………がんばる、から……っ。ブラックの、好きに……して……?」

 どんなに歪んでても、愛しい
 愛しく思える

 おれの…………こいびと

「――――――――っ」

 ブラックが、獣のように顔を上げて何かを叫んだ。
 だけど、そのすぐ後に、解れ切っていない俺のナカに、指以上の強い衝撃と痛みが流れ込んできて。

 俺は、何を聞いたのか理解する暇も無く叫んだ。
 叫んで、頭の中で電流が走って色んな感覚が襲ってきて、もう、何も、考えられなくて。ただブラックが覆い被さって俺を抱き締めて来た事だけは、解って……――




 そのあとはもう、覚えていない。











※次ブラック視点。
 だいぶ酷い、というかアヘ系?の※展開なのでご注意下さい。
 
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