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ラゴメラ村、愛しき証と尊き日々編
8.労をねぎらう1
しおりを挟む※久しぶりで張り切り過ぎて軽くオーバーしました_| ̄|○
今回は軽い前戯です…
「もー……今度は何すんの……?」
「あっ、ツカサ君開き直ってる……」
「ちがーわい! だって、お、俺の世界じゃ、自分の為に働いてくれた人を労うのは普通だし……お裾分けとか当たり前だし! 俺は変な事やったつもりはないぞ!?」
そういう心遣いが普通の世界で生きて来たんだから、それが相手を誘う事になるなんて思う訳ないじゃないか。というか、アレは俺おかしくなかったよね。
絶対アレは勤め人の人にはおかしく無い対応だったよねえ?!
そんな俺の婆ちゃんスピリッツをクロウだけは解ってくれたのか、一歩進み出るとウンウンと頷いてくれる。
「確かに、兵を労うのは悪い事ではないな。士気も上がるし、何よりツカサのような主であれば、直接声をかけて貰うだけでも兵士は充分にやる気が出るだろう。守りを強固にするという意味では、ツカサは正しいぞ」
「だ、だよなあ、そーだよなあ! ほら、クロウもこう言ってんじゃん!」
ほらほら、二対一だぞ。俺のやってる事は必ずしも誘惑になるって事じゃないじゃないか。だからさ、ブラックも今回は許してくれよ、な!
そんな事を思いながらクロウの背中に隠れると、ブラックは「ぐぬぬ」と唸りつつ俺をじいっと凝視してきた。ひい、怖い。
「そりゃまあ、エサをくれてやるのは必ずしも悪い事じゃないけどさあ……。でも、ツカサ君がやるとそうじゃ無くなるのが嫌なんだよ」
「だから……ナサリオさんは上がり症なだけだって、きっと」
「ほらー、そんな事言うじゃんかぁ。…………本当に、労わっただけ?」
少し考える素振りを見せて、上目遣いで俺を見つめて来るブラックに、迷いなく頷いて見せる。いやだって、マジで婆ちゃんを見習っただけなんだもんよ。
頑張った人にはちゃんと「頑張ったね」って言ってあげなきゃ。
つーかずっと周囲を警戒しながら一人で突っ立ってるってのも絶対に辛いぞ。
俺達の事情のせいで、通常勤務から離れてそんな大変な事をさせてんだから、俺達からも感謝の気持ちを伝えないと。
ブラックは他人に興味が無いから、こういう事も変な風に見えちゃうんだろうけど、それならきちんと説明して解って貰わないとな。……じゃないと、また誘ったのナンダのと言われてお仕置きされちまいそうだし……。
「あのなブラック、一つの場所に長く滞在するんなら、御近所付き合い人付き合いが一番大事になる訳よ。だから、俺は出来るだけこの村の人達と仲良くしたいの」
「それが兵士を労わる事にもつながるって事?」
「そ。頑張った人は労わらなきゃ」
俺がはっきりとそう言うと……何故かブラックはクロウの顔を見やり、二人で軽く頷くと……ニヤリと笑みを浮かべた。
なんでそんな顔をするんだ、と、思っている途中でいきなりクロウの背中から追い出されて、俺は浅黒い腕に捕らわれ……ってクロウ!
「な、なに!?」
クロウにムリヤリ引きずり出されて驚くが、何も出来ない内にそのまま動かされ、強引にソファに座らされる。
何事かと思ったら、ブラックが俺の背後にまわり、クロウはそのまま俺の目の前に跪いて来た。えっ、なにこれ。どういうこと。
「ツカサ君、頑張った人は労わらなきゃなんだよね?」
「う、うん……」
背後から問いかけられて肯定すると、ブラックはクスリと笑って俺の肩を掴んだ。
「ぅえっ?!」
「だったら……今から僕達が、ツカサ君を労わってあげるよ!」
「え?」
「ツカサは色々と頑張っていたからな……オレとブラックが疲れをほぐしてやる」
そう言いながら、ブラックはゆっくりと指に力を入れて両肩を掴み、クロウは俺の片足をひょいと持ち上げた。疲れを解すって……今そんな流れだったっけ。
「あの……い、いいの? その……色々、しなくて…………」
背後のブラックを振り向くと、相手は上機嫌でにっこりと笑う。
「お仕置きしようと思ったけど……まあ、ツカサ君が色々考えてやった事なら、仕方ないからね。それに……熊公の言う通り、ここに来るまでツカサ君は僕達の為に凄く頑張ってくれたんだ。……労わなきゃね」
そう言いながら、ブラックは振り向いて筋の浮き上がった俺の首筋に、手を優しく這わせる。じりじりと動く温かいその手に思わず体がひくりと反応してしまったが、ブラックはそんな俺を愛しそうに見つめて来て、軽くキスをして来た。
「んっ……」
少しカサついた熱い唇が、触れる。
……そんなこと、されたら……もう……悔しいけど、ドキドキして、強張っていた体の力が抜けてしまって……。
「ツカサ君、怒ってごめんね? お詫びにツカサ君の体のコリを全部ほぐしてあげるから、こってる所が有ったら遠慮なく言って」
「ブラック……」
「恋人同士だし、仲間だろう? だから……ね?」
そう、言われると……なんか、その…………。
まあ少しくらいは甘えてもいいのかな……?
「じゃあ……えっと……実は、久しぶりに歩いた揉んでふくらはぎとか腿の所がちょっと痛くてさ。揉んで貰えるとありがたいんだが……」
「解った。オレが責任を持ってほぐしてやるぞ」
「おお、頼むよクロウ」
凄く勝手なイメージだけど、クロウってなんかアラビアンな服装だし浅黒い肌だしで凄くマッサージ上手そうなんだよな……。
いや、別にクロウがインド人な訳じゃないんだが、なんかアラビアンな所の人ってマッサージの達人なイメージあるんだけど、俺だけだろうか。とにかくまあ、スケベな事をしないなら遠慮なく揉んで頂きたい。
実は馬車で移動しててほとんど歩いてなかったお蔭で、今日歩き回ったら結構足が疲れちゃったんだよな……。最近マジで運動不足だわ。
よし、ここはクロウに任せよう。
「肩は?」
「んー……ちょっとこってるかも。ブラック、叩くのお願いしていい?」
「うんっ、まかせて!」
頼むなり嬉しそうに笑う中年に、なんだか俺まで笑ってしまう。
まったくなあもう、こんなんだから困るんだよ……。
「ツカサ、痛かったら言ってくれ」
そう言いながら、クロウは俺のふくらはぎを適度に指圧しながら掌全体でゆっくり揉んでくれる。歩き通しでカチカチに強張っていたソコには、クロウのずっしり重いマッサージが非常に心地いい。
ああ~、やっぱりクロウったらマッサージ超うめえ……。
現実的に考えるなら、戦士だからかなー。だってほら、戦士の人達って自分の体のメンテナンスも自分でやらなきゃいけないだろうし、だったらマッサージが上手くても当然な感じするよなぁ……あぁあ……これはほぐれるわ……。
「ツカサ君こっちはどうかなー」
ブラックは俺の肩の端から首の付け根までを軽くトントンと叩いてくれる。
気持ちいいんだけど、少し弱いかな。きっと、俺が痛くないように遠慮して叩いてくれてるんだろうけど。……そう言う所は、優しい……んだよな……。
…………な、なんかちょっと恥ずかしくなってきた……。
「ツカサ君?」
「あ、ああ、大丈夫、もうちょっと強く叩いてもいいよ。ありがと!」
「えへへ……でも、これより強く叩くなら、もう揉んだ方がいいんじゃない?」
「そ……そう?」
「大丈夫、僕に任せて……」
そう言いながら、ブラックは俺の両肩を掴むと……指の先から掌までを存分に使って、俺の肩を大きく揉み始めた。その途端。
「ッ!! んっ、んぅ!?」
な、なんだこれっ、すげえこそばゆいっ、も、もぞもぞするんだけど!!
「あっ、や、だ、だめっ、ちょっと、それやめてブラック……!」
「あはっ……ツカサ君、もしかして肩をちゃんと揉んで貰った事がないんだ? でも大丈夫だよ、揉んでる内に慣れるからっ」
「んんぅっ……! ぃっ、やらっ、ちょっ、もっだめっ、勘弁してぇ……!」
やだやだやだっ、ゾワゾワする、くすぐったい、体が勝手に動く……っ!
なっ、なんでっ。肩を叩かれるのは平気なのに、足は平気なのにっ。どうして揉むだけでこんな風になっちゃうんだよぉ……っ。
「ツカサ、腰が揺れて揉み辛いぞ。ふくらはぎはもういいのか?」
あっ、クロウに迷惑かけてる。お、抑えなきゃ、何とかして耐えるか、じゃなけりゃブラックに止めて貰わないと我慢出来ない。
だけどブラックには「もう良い」って言っても聞きゃしない。
もう既に涙目の俺に「慣れる慣れる」と嘯きながら、ずっと肩を揉んできやがる。クロウが迷惑してるってのに、もうっ、なんでそんな揉むんだよぉ!!
「おねがっ、や、だっ、もっ、やだっ、肩やだってばぁ!」
「ああもうホラホラ、変に肩を動かしたら腕の付け根のところを痛めちゃうよ?」
ブラックのその声が聞こえたと思った瞬間……肩から手が離れて、ブラックの手が、俺のベストをくぐって鎖骨の下……脇と胸の付け根の部分に手をやって、そこを揉み始めたのだ。
「っんぇ!?」
そ、それどういう所。なんのコリに効くの!?
よく解らず混乱する俺に、ブラックは先手を打つかのように言葉をかけて来る。
「ほら、腕の付け根は大事な所だからね。変に傷めないようにしなきゃ」
「う、うぅ……そう、なの……?」
「そうだよ。なあ熊公。冒険者や戦士なら当たり前のことだよなあ?」
ブラックがそう言葉を放ると、クロウは間も置かずに頷く。
えっ、これ冒険者ならほぐして当然の所だったの?
まあでも確かにこんな部分攣ったら胸筋も腕も痛くなっちゃうよな……。
「ほら、ツカサ君ちゃんとして。ここならくすぐったくないだろう?」
ブラックの二つの親指が、右と左の付け根をゆっくりとなぞりながら、細かに圧を加えて来る。確かにこれはくすぐったくない。耐えられるぞ。
「付け根のところは重要だからね……ちゃんとほぐさないと……」
「ん……そう、だな……」
クロウがふくらはぎからひざ裏をマッサージしてくれているのを見ながら、頷く。
そうそう、膝も変な走り方したら痛くなるんだよな。
ゆるゆるとクロウの手が膝を登って来て、腿の所に到達する。
えっちな雰囲気の時だとゾクゾクするんだけど、今回は至って真面目だからな。俺も変な気分は起きず、膝上の部分から順に揉んでくれるクロウの腕に心地良さを感じていると……ブラックの親指が、何だか付け根を大回りする事に気付いた。
その……なんていうか……シャツ越しに感じる感覚が、生々しい。胸の部分にまで指が回って来るもんだから……なんか、その……。
「っ……ん……」
「ああ……気持ちいいみたいだね、ツカサ君……」
ブラックの低くて腰に来る声が、耳元で聞こえて来る。
それと同時に、指がぐりんと大きく逸れて、その……ち、乳首の、乳輪の所に掠りそうになって、思わず俺はびくりと体を動かしてしまって。
「……!」
や、やば。気付かれてない……よな? だよな?
そうだよな……。俺、今マッサージして貰ってるだけなんだし、ブラックだって今は普通に労ってくれているだけかも知れないじゃないか。
だったら、反応したら悪い……って言うか、何故に乳首に触れそうになっただけで反応してんだよ俺は!! 違うっ、男としてその反応は違うだろぉお!
だっ、駄目だ。久しぶりにじっくり触れられて、俺の体が誤作動を起こしてしまっている。だって、二人が俺の体をこうして触って来る時って、絶対えっちな事する時だったし……だから俺はこんな風に変に反応しちゃって……。
…………いや、マズいよな。これやっぱマズいよな……?
そろそろやめて貰った方が……。
「あ、あの……ブラック、クロウ、もう俺大丈夫……」
「何を言う、ツカサ。まだ腿の部分は全部終わってないぞ」
「そうだよツカサ君、肩の凝りは意外な所から来るんだよ……? 今の内にきちんとほぐしておかないと、明日筋肉痛になっちゃうかも……ほら、ここだって」
そう言いながら、ブラックは掌全体を使って……シャツの上から俺の胸をゆっくりと揉み始めた。
「んんん!? ちょっ、ぶ、ブラック!?」
「ここの筋肉も、ほぐさないと」
「そ、そんなマッサージないっ、絶対ないってば!」
胸を揉むマッサージって、エロ漫画の世界でしかありえなくない!?
ていうか女の人がバストなんちゃらって言うのをして貰うのは有り得るけど、男の俺が胸を揉まれる道理なんて何もないはずだ。
おいっ、おかしい、これおかしいって!
思わず「やめろ」と言おうとするが、ブラックはそんな俺の言葉を予測していたのか、俺の胸をゆっくりと下から上へ揉みあげながら笑う。
「ふーん、ツカサ君の世界では、こういうのをマッサージって言うんだ? でもさぁ、ツカサ君。この世界じゃ胸をマッサージするのも大事な事なんだよ……?」
「んっ……ぅ……っ! ほ……ほん、と……なの……?!」
「ホントホント。なあ熊公」
「うむ。ココをこうするのも大事なことだぞ」
ブラックの言葉に頷きながら、手を内股から足の付け根へと伸ばしてくる。
そりゃ、確かに、足の付け根って痛くなるけど、でも。
「やっ……ぁ……っ! も、いぃ……もう、いいから……っ!」
胸を大きくゆるゆると揉まれて、クロウの指が内腿から足の付け根まで撫で上げるように何度も触って来て、耐え切れずに体が動いてしまう。
我慢しようとするのに、ブラックの大きい手で焦らされるように揉まれて、クロウの太い指に足の付け根をなんどもなぞられると、もう、それだけで、堪え性のない俺の体は反応してしまって……。
「お、ねが……も、いぃ……ほぐれた……からぁ……っ」
恥ずかしい。ただ、揉まれているだけなのに。
乳首も股間も触られてないのに、こんな風にお腹の奥が熱さにきゅうきゅうと反応してしまうなんて、情けなくてどうしようもない。
こんな事になるなら、もう懇願でもなんでもして止めて貰おう。
そう思って、俺が泣く泣く“お願い”をしたのに。
「まだだよ、ツカサ君……。君の体はまだ緊張して、柔らかくなってないじゃないか。ちゃぁんと体がほぐれてからじゃなきゃ、終われないなあ……」
「そうだぞ、ツカサ……。お前はたっぷりと労わってやらないとな……」
「う……うぅう……っ」
そ、そんなの、詭弁だ。絶対文字通りの意味じゃない。
やっぱりスケベな事するんじゃないか、嘘つき、ばかっ、ばかああ!!
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