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プレイン共和国、絶えた希望の妄執編
ひとりで出来たはずなのに 2*
しおりを挟む「三こすり半とは言わんが、手早く済まそう」
そこまで早漏だと俺も困るので、適度に男としての威厳は保っておきたい。
しかし長くトイレに籠り過ぎるとブラック達が心配する可能性も有ったし、何より他の人にニオイでバレるかもしれないので、我慢は禁物だな。
そんな訳で手早くズボンを膝下まで降ろし、座ったまま己の分身を掴んでみる。
個室だから緊張しないかと思ったけど、やっぱ部屋の中じゃないと怖いな。いくらダイレクトに見えないとは言え、俺がうっかり声を出して大盛り上がりしたら、隣の個室に入っている人に聞こえちまうし、なんなら外の人にまでお察しされてしまう。
やっぱり無謀だったかなと思ったが、こればっかりはどうしようもない。
今の俺はこのトイレの中でしか安心してシコれないんだから、気分がノらなくてもシコらねばならんのだ。この先いつ不満解消タイムが来るかわからんのだし。
……はぁ……しかし……興奮しても居ないのにオノレの息子を奮い立たせるってのもなんだかなあ……。
「…………ん……」
いつもみたいに……いや、最近はご無沙汰だな。自分の部屋でやってたみたいに、軽く握って扱いてみる。
じわじわと触っている部分に熱が溜まって来て、イイ感じの刺激を受けると、内腿がぴくりと反応する。だけど……ぶっちゃけ、盛り上がらない。
いや、股間はちょっと盛り上がってるんですけどね。刺激に弱いんで。
でもなあ、全然「よっしゃぁああ!」って感じじゃないんだよなあ。
……そう言えば、アコール卿国の恐ろしい楽園だったブレア村でも理不尽な状況になってちょっとシコッたけど、あの時も絶頂とは程遠かったな。
ケツにまで色々と仕込んだしちゃんとフィニッシュしたのに、全然気持ちよくなかったって言うか、むしろ苦しかったって言うか……。
良く考えたら、あの時から自分でしようって思わなくなった気がする。
自分でしても気持ち良くなくて、それどころかブラックの事ばっかり思い出して、あっちの方が良いってぐずってたんだもんなあ。
……まあ、そりゃあ、俺みたいな童貞がセルフバーニングするよりも、百戦錬磨の中年に手ほどきして貰った方が気持ち良いだろう。それは認めるよ。
自分の手よりも他人の手の方が興奮するし快感も倍増するだろうさ。
あっ、だからこれじゃ気持ちよく思えなくなっちゃったのかな。
最初はパンチラだけで喜んでいたのに、大人になってエロをもっと知るにつれて、ええクソ中身見せんかい中身と思うようになってしまうのと同じなんだきっと。
モザイクより無修正を求めるのは、刺激が欲しいからだ。俺もそんな風に強い刺激を受けて、自分の手ではもう満足出来なくなってしまったんだろう。
「う、うぅ……むなしぃ……」
いやでも待て、諦めてはいけない。
無修正のエロ動画を死ぬほど見た結果、一周回って「やっぱし薄消しのが一番興奮する」と言う結論に達する事もあるし、要するにこれは俺のエロに対する姿勢が問われているのではなかろうか。
自慰も一人で出来ないようでは、一人前の男としては名折れだ。
男なら、女子のパンツが食い込んだ写真で一発は抜ける。それくらいの気概でやらなければ……!
「…………とは言っても全然だめだな」
一応、本の中でもえっちだなと思う部分を選んで、妄想しながら扱いてみるが……勃ちはするものの絶対的な興奮はやって来ない。
素面の状態からの立ち上がりとはこんなに虚無なのかと自分でも驚くが、それでもまあしっかり熱は上がってくる訳で、我ながら簡単だなあと呆れてしまう。
男は好みじゃない女子でもえっちな雰囲気になれば勃ってしまうと言うが、それを自慰で体感するとは思わなかった。
……いつもはエロいもん見て勝手に勃っちゃったのを抜いたり、急に「アッ、何かエロいもの見てシコりたい!」と思った時しかやってなかったからなあ……。
やっぱ興奮て大事だよなと心底思いながら、ゆっくりこする。
だけど、なんというか……全然盛り上がらなくて。
「はぁ……」
思わず溜息も出てしまうが、なんでこんなに虚しいのか解らない。
なんでだろ。やっぱブラックとかクロウに触られるより俺がヘタだからなのかな。
シコるのが下手って意味が解らないけど、でも現に全然興奮しないしなあ。
いつもは……ブラックがえっちな事して来る時は……もっとこう、お腹の奥がムズムズして足を閉じたいくらい恥ずかしくなって、興奮したくないって思うのに、そう言う時に限って俺の愚息は反応して大興奮しちゃうのに……。
それに、興奮するのが恥ずかしいって思ってる時に限って、ブラックがニヤニヤしながら俺の股間に触れて来て、布越しにあの太くてかたい指で……――
思い出しながら、そっと先端に触れた瞬間。
「っあ……」
………………。
う……うぁ…………。こ、声出しちまった……。
……でも、その……ちょっと気持ち良かった、かも……。
「やっぱり……自分だけじゃもうダメなのかな……」
ブラックの事を思い出した途端に思わず気持ちよくなっちまったなんて、それってもう……自分の手じゃ満足できないって事なんじゃないのか。
……で、でも、今はオカズも何もない状態なんだし、だ、だったらその……過去の強烈な体験を思い出して追体験しちゃうみたいなのは仕方ない……よな?
そ、そうだよ。仕方ないんだよ! だから今のはセーフ!
俺はそんな、せ、セクハラされる方が興奮するとか思ってないし。どうせだったら、その……ちゃ……ちゃんとした、えっちのが……いい、と…………あーっもう何考えてんだよ違う違う! 馬鹿、俺のバカ!
とにかく、他人に触られる方が何倍も刺激が有るのは当たり前の事なんだ。
……だったら、い、今くらいは……別に、ブラックのこと、考えても……なあ?
「ん……っ」
目を閉じて、自分の手が握っている愚息に集中する。
ブラックが俺のモノをいやらしい手つきで触っていた事を思い出して軽く擦ると、腰がビクビクと動いて踵が少し浮き上がった。
恥ずかしいけど、やっぱり……他人に触られた記憶は、酷く興奮する。
ブラックの手の感覚や、俺の耳元で吐き出される吐息、それに、俺のそこかしこに触れる相手の体温を思い出すだけで、俺の股間は面白いくらいにじりじりと快楽に悶え、喉を震わせるような感覚に体が反応してしまう。
お尻にぐっと力が入ると会陰の所にまで動きが伝わって来て、なんだかもう、どうしようも無くなってくる。
ブラックがして来るいやらしい事を想像すると、大きな手に触れられた場所全てがざわつくようで、先ほどとは比べ物にならないほどの刺激の波に俺は逆に怖くなってきてしまった。
「っぅ……ふ、あぁ……」
ブラックの事を考えるだけでこんなに違うなんて、自分の体じゃないみたいだ。
軽く扱くだけの手にはもう先走りが伝っていて、腰に重苦しい熱が溜まって行く。触れられた場所にどんな事をされたのかを考えるだけで、俺はもう、自分の手で自慰をしていると言うのに、ブラックの手の動きを脳内で追ってしまっていて。
自分で自分を慰めているはずなのに、頭の中ではブラックがニヤニヤと嬉しそうに笑いながら、俺を羽交い絞めにして股間をいじくっている。
その手の動きを追い求めるように拙く動かす手も、今は焦らされてるみたいで変に気持ちが良かった。
「ん……っ、は……はぁ……は……」
ブラックの手が、俺の股間を覆って指で扱く。
太腿が震え、妙な声が出そうになって口を噤んだ俺に、ブラックはクスクスと笑いながら恥ずかしい言葉を吹きかけて来る。
そうして、指を、後ろに…………
「っ、ぅ……う、しろ……」
くちゅくちゅと手を動かしながら、腰を浮かせる。
膝から本がばさりと落ちたが、些細な事にしか思えなくて俺はもう片方の手で尻の谷間に触れた。そして、ゆっくりと窄まった所に指を当てる。
「ふ……ぁ……っ」
気持ちいい。お尻、じりじりする。
こんな事をする部分じゃないのに、自分の指で窄まりをグリグリと触ると腰がじんとなって、扱く度に気持ち良いのが強くなっていく。
指を入れてしまいたいけど、でも、そこまでは理性が飛んでくれなくて。俺は震えながらぐりぐりとお尻を指で弄り、中腰の体勢で勃起したモノを強く扱いた。
「っ、ぁ……あぅ……う……うぅう……っ!」
気持ちいい。
ブラックがしてくれる事を考えるだけで、こんなに簡単に興奮してしまう。あいつが俺をこんな風にしたのに。俺は、こんな情けない格好をして自慰するような奴にはなりたくなかったのに。
でも、悔しいけど……もう、一人で興奮するよりもずっと気持ち良くて、ブラックが俺に教えた事を考えて手を動かすと、どうしようもなくて……。
「っ、ぁ……あぁあ……ッ!」
指を、締まった部分に強く押し付けて、先端を弄りながら擦り上げる。
ブラックと、クロウが、いつもそうするから。
……そう思ったと同時。俺は……射精してしまっていた。
「ぅぐ…………っ、はぁ……は……はぁ……」
手に、とろみの足りない白い液体が掛かっている。
その情けない量を見て、俺はなんだか泣きたくなってしまった。
…………うぅ……俺、ほんとに普通のオナニー出来なくなっちゃったかも……。
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