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セレーネ大森林、爛れた恋のから騒ぎ編
6.我慢を強いられているんだ! 1
しおりを挟む※いやらしく乳繰り合ってるだけになってしまった……スミマセン…
次は採取とかいろいろやります……健全に、もちろん健全に!:(;^ω^):
「うおおぉ……すげえ、すげえよクロウ! 」
小さな小島が川の飛び石のように点々と水の上に浮き出している。
湿地帯の奥の方まで続いているその道は、水の流れを塞き止めないように作られているためか、小島自体は小さい。だが、時折俺達三人が休めるような広さの島が等間隔に作られていて、クロウの意図が垣間見えた。
「少し歩きにくいかもしれんが、我慢してくれ。一本の道にすると水が流れなくなってしまうからな。だが、もし戦闘が起こったら困るから、一応、満足に戦えるだけの広さの陸地は幾つか作って置いた。帰る時には崩すから心配するな」
「ほわー……すげえな、ちゃんと色々考えて……」
「まあ、戦ったり休んだりする場所を作るってのは良いかもね」
このクロウの綿密な考えにはブラックも口をはさむ隙が無かったのか、ちょっと不満げながらも納得したように頷いている。
俺達に褒められた事が嬉しかったのか、クロウは耳をぴるぴると動かしながら、嬉しそうな雰囲気を漂わせていた。
「すごいか」
「うん、凄いよクロウ」
「ツカサ」
俺の名前を呼びながら屈むクロウに、何をして欲しいのか解って俺はクロウの頭を撫でてやった。……たくもー、ロクに負けず劣らず甘えん坊なんだから……。
いい歳したオッサンなのに、なんで頭を撫でられたがるのか。いや、それを言うなら何で俺も素直に撫でてんだって話だが。
「ぐぅう……ほ、ほら、早く行こう! 僕が先頭に立つから、ツカサ君は真ん中で、熊公は最後尾で警戒してろ!」
「男の嫉妬ほど見苦しい物はない」
「こらクロウ! 喧嘩の火種になるような事をいうんじゃない!」
駄目でしょそんな事言ったら、と怒るとクロウはしゅんとして耳を垂らした。
何だか子供に怒ってるような気がして来たが、残念ながら目の前にいるのは二人のムサいオッサンだ。何度見てもオッサンだけなのだ。
俺の視覚情報が狂ってる方がよっぽどましだけど、これが現実なんだよなあ。
二人に気付かれないようにゆっくりと溜息を吐きながら、とりあえず俺達は沼の中に足を踏み入れる事にした。
「おお! この小島、かなりしっかりしてるなあ」
飛び石のような感じだから、やっぱ川床に石を置いたくらいの危うさが有るのかなと思ったのだが、クロウの術はどうやらしっかりと大地を隆起させているらしく、小島は急に飛び乗ってもびくともしない。
亡者ヶ沼の水も一滴たりとも濁っておらず、青く透明な水の中で新緑の色をした野草が水の流れにゆらゆらと揺れていた。
そういえば……珍しい植物が有るって言ってたけど、実際この水中の草花はどうなんだろうな。名前が解らないから調べようがないんだが、見た感じは周囲の草原に生えているものと変わらないんだけど……でも、年中水に浸かっている所なのにこんなに生き生きと育ってるってのが不思議だ。
湿地には色々種類が有って、ある特定の時期にだけ水没する場所もそう呼ばれるらしいんだが、もしかしたら亡者ヶ沼も水が消える時期が有るのかな。
でも、そんな話聞かなかったしなあ……。
「それにしても、かなりの大規模な湿地帯だね、ここは。わりと歩いたのに、まだ対岸が見えてこない。そろそろ道が無くなりそうだ」
前方を歩いていたブラックの言葉に、俺は少し体勢を崩してブラックの背中の横から顔を出し、前の方を確認する。
気付けば俺達は亡者ヶ沼のど真ん中を突っ切って歩いていたらしく、周囲は深い水に沈んでしまっていた。岸もめっちゃ遠くて、前方には水しかない。
つーか霞んでて遠景が解んないんだが。
「クロウ、このまま進んで大丈夫なのか?」
「ああ。実は、右手の方に陸地を見つけてな。だが、あの場所でトーラスを使うと方向を誤る可能性が有ったから、途中で止めておいたんだ。最後の小島についたら、また力をくれ。件の陸地まで小島を作る」
「わ、わかった」
何か目の前で「ケッ」て音がした気がするが、気にしないでおこう。
ちょっと会話がしづらいムードになりつつ最後の島に三人で降り立つと、クロウは右の方を指さした。
ブラックと二人でそちらを見やると、確かに薄霧の向こうにこの島よりも大きな陸地がぽつんと浮かんでいるのが見える。影っぽくなってて向こう側がどうなっているのかは判らないが、確かに陸は存在するみたいだな。
この辺りはかなりの水深だから、あの陸地は恐らく小高い丘か何かだろう。
となると、あの場所にシズクタケがある可能性は高い。
「ツカサ、頼む」
俺達が陸地を確認したのを見取ってか、クロウが再び両腕を広げて来る。
無表情だが、ぴんと熊耳が立っているのを見ると何だか恥ずかしくなって来て、俺は目を反らしながら頭を掻いた。
「どうした、ツカサ」
「う、うん…………なんか、その……またさっきみたいにすんのかなと……」
「ああ。アレの方が効率が良いからな」
効率を考えてくれるのは嬉しいけど、でも、その……。
ちらりとブラックを見ると、また不機嫌そうな顔をしているブラックはこちらの視線に気付いて俺を見下ろして来たが……ふうと息を吐いて、俺の肩に手を乗せた。
「良いよ。してやれば良い。……その代わり、僕にもキスしてくれる?」
「え…………」
「どうせ誰も居ないんだし、良いだろそれくらい」
妙にぶっきらぼうな口調になるブラックに、俺は少し戸惑ったが……仕方がないかと思って頷いた。ま、まあ、キスって言っても軽くだろうし……その……こんな所に、人がいる訳もないし……だったら、まあ……。
「ツカサ」
「はいはい! い、言っとくけど、やり過ぎはダメだからな!?」
ええいもうこうなりゃヤケだ。思いっきりクロウの体に抱き着くと、相手は俺と同じように俺をぎゅっと抱きしめて、再び首筋に噛みついてきた。
「んっ……くっ……!」
また、あの感覚が来る。
体の中を暴れ回る衝動と、湧き上がる熱。そして、橙色の綺麗な光が俺を支配して、背筋を撫で上げて肌を粟立てる様な感覚を揺り起こす。
その感じてはいけないモノを煽るように、クロウはまた首筋に吸い付きながら、俺の肌を噛んだり舐めたりして、体を押し付けて来て。
「っ、ぁ……あぁ、あ……っ!」
「ん……ンン……ッ。……ぷはっ……これくらい、なら……ちょうど良いか?」
「ぅあ、あ……っ」
首に唾液を残しながら口を離したクロウが、俺に聞いて来る。
だけど俺は何も言えなくて、荒い息を繰り返しながら、ぼんやりした視界で相手を見上げる事しか出来なかった。
……だって、丁度良いとか、よく解んないよ。
俺、ただ曜気を勝手に吸い上げられてただけだし、それに、もう、正直変な感覚とかクロウの食いついた所にしか意識がいって無くて、何が何だか……。
「ツカサ君、こっちにおいで」
「は……はぇ……」
おいでと言われたと同時に視界が傾ぐ。
クロウが離れたと思ったら、今度はブラックに腕を引かれていた。
今の状況が解らなくて、ただされるがままにブラックの胸に顔をぶつけて、俺は真正面から抱き締められた事を知る。
ああ、そうだ、キスするんだっけ。
ぼうっとした頭で考えて、頭を上げると――――
いきなり、口を塞がれた。
「んん゛ッ!? んっ、んぅうっ! ん゛っ」
ぎゅうっと体を押し付けられて、唇を舌でこじ開けられる。
その感覚に背筋がぞわぞわして思わず体を硬直させた俺に、ブラックは強く息を吐いて、その状態のまま俺を地面へと押し倒した。
「んぐっ、ぅ、んはっ……ちょっ、や……なに……っ」
押し倒され、今度は俺がブラックを受け入れるような体勢になる。
何をするんだと数秒口が離れた合間に問いかけようとするが、ブラックはすぐに俺の顎を捕えてまた俺の口を塞いでしまった。
「ん゛んんんっ!! う、んうっ、ふっ……ふぅう、んん……ッ!」
膝を割り開いて、ブラックの体が俺の足の間に割り込んでくる。
大股開きにされて思わず抵抗しようとしたが、ブラックは俺の舌を自分の舌で捕えて絡みつき、音を立てて舐めまわし俺の行動を封じた。
息苦しさと唐突な刺激に頭が混乱して、ぼうっとしてくる。
だけど、ブラックは俺を許してくれず、そのまま俺の体に自分の体をぐっと押し付けて来て、足や腹の肉とは全く違う“重量のある何か”を股間に擦りつけて来た。
それが何かなんて解りたくないのに、俺はもう充分に知ってしまっていて。
「んん゛ーッ!? んっ、ぅあ゛、ひやっ、んっ、ん、んん゛う゛……ッ!!」
こんな場所で、急所にとんでもないものを押し付けられて、押し倒されて、キスを強制的にさせられている。しかも、仲間の目の前で。
それが何故か異様に恥ずかしく思えて、俺はブラックの服を掴み必死に止めようとしたが、今の状態ではそれ以上の抵抗など出来なかった。
「おい、ブラック……やりすぎなんじゃないのか」
そう、そうだよ。クロウが居るんだ、こんなのやりすぎだよ。
こんな昼間に、外で、こんな格好で、こんなこと。
「う、ぅう……んむっ、ぅ……ん……っ」
恥ずかしい。
まるで襲われてるみたいで、どうしようもなく居た堪れなくなる。
胸がじくじくと疼くような感じがして、羞恥に耐え切れなくて、俺は震える手でブラックの手をやっと緩くつねった。すると。
「ん……っふ……。ツカサ君……そんなに恥ずかしかったの……?」
やっと、ブラックが口を離してくれる。
反射的にはぁはぁと何度も息継ぎをすると、ブラックは俺を押し倒したまま、唾液を拭って意地悪な猫のようにニヤリと笑った。
「顔、真っ赤だね……。目も潤んで、さっきより物欲しそうな顔してるよ……」
「はぁっ……は……は、ぅ゛……ば、ばかっ……そんな、わけ」
「あるよ。大有りだ。……でもまあ、恋人の僕とキスする時ぐらいは……そういう顔をしてて欲しいもんだけどね……ふふ……」
「う、うぅ……」
なにが「恋人の僕とキスする時ぐらい」だ。
あ、あんな事されたら、そりゃ恥ずかしくて顔くらい真っ赤になるわい!
キスだけならまだ耐えられたのに、押し倒して、そ、そのうえ、あんな事をするなんて……ううう……。
「ツカサ君、いい? これからあの駄熊に曜気を与える時は、僕にもこうやって、キスをするんだよ。自主的に僕の所に来る事……いいね」
「えっ……な、なんで……」
「恋人の僕の目の前で“食われる”んだから……そのくらいの罰、当然だろ?」
罰って、そんな。
お、俺だって好きで食いつかれてる訳じゃないのに。アレが効率が良いからって言われて、やらされてるだけなのに……。
「いいね?」
思わず顔を歪めるが、ブラックは薄く微笑んだまま静かに念を押す。
……こういう時のコイツは、俺の話なんて聞いちゃくれない。
むしろ、俺が拒否でもしようものなら、これ以上の辱めを与えて来るのだ。
それを考えると、俺はただ頷く事しか出来なかった。
でも、今日だけ。ブラックの目の前でこんな事をするのも、今日だけだ。
だから、頷いたって別に……。
「…………でも、こ、こういうの……やだ……」
「ん? セックスする時みたいに股を開かれるのは嫌? もしかして、ツカサ君はこんな場所で犯されるかと思って、恥ずかしくなっちゃったのかな?」
「ち、ちがっ……」
「違くないでしょ。ツカサ君は無意識に犯されたがってるスケベな子じゃないか。今だって、僕のペニスを布越しに感じて腰がビクビク動いてたし……ね」
「なっ……もっ、そういう事言うなぁ……!!」
聞きたくなくて耳を塞ごうとするが、両手を捕らわれて地面に押し付けられる。
依然として恥ずかしい恰好のままで押し倒されているのに、その上完全に身動きを取れなくされるなんて。焦った俺を見て、ブラックはニヤニヤと笑いながら俺に顔を近付けて来た。
「事実だから言うんだよ。……なんなら、今ここで教えてあげようか? ツカサ君は昼間の野外で強引に裸にされて犯されるのが大好きな淫乱だって」
「ひ……」
「してほしくない? だったら……こうする事くらいは許容してよね。……例え力を与えてるんだとしても、僕だっていい気はしないんだから」
犯さない? アオカンしない? ほんとに?
そ、それで許されるならします。恥ずかしいけど我慢するから。
流石に、えっちな雰囲気じゃない時にこんな事をされるのは嫌だ。つうか昼間にアオカンしてしかもクロウに見られるとか絶対にヤだ。
クロウには恥ずかしい事されてるし、もう体の隅々まで見られてるけど、でも俺にも許容限界っていうのがありましてね。
「話はまとまったか? なら行くぞ」
やっと落ち着いたブラックに、呆れたようにクロウが言う。
何事かと思って体を起こすと、そこにはもう飛び石代わりの小島が延々と向こうまで続いている光景が……く、クロウ、俺達が変な事してる間に作ってくれたの。
「ごめんクロウ、ありがと……」
「ツカサは何も悪くないぞ。悪いのはそこの羞恥調教好きの変態だ。さあ行こう」
「おいコラいい度胸してんなお前。水の上で焼死させるぞ」
「ああもう無駄な体力使うのやめろってば! ほら、もう、いくぞ!」
島が見えたって事は、もう目的地に到着するって事だよな。
と言う事は、俺はもうクロウに力を与えなくていいんだ。ブラックに恥ずかしい事を強要される事も無くなるんだ!
そうと解ればこんな場所で言い合いをしている場合じゃない。
俺の目的はキノコとモンスターなのだ。
早く終わらせて、野外での危険を回避しなくては……!!
…………っていうか、一番危険視しなくてはいけないのがモンスターよりもこの仲間のオッサン達っていうの、本当どうにかなんないかな……。
なんで仲間とか恋人に対して警戒しなきゃいけねーんだよ!!
普通はありえないからね!? どう考えてもおかしいからね!?
「ツカサ、行こう」
「ツカサ君ー?」
「ぐうう……は、早く行こう……夕方までには帰りたいし……」
ホントは「お前らに変な事されない内に早く帰りたい」と言いたかったんだが、そんな事を言えば大変な目に遭うのは確実なので言えるわけがない。
こう言う所がリオルを心配させてしまうんだろうが……今の俺には、良い対処法がまるで思いつかなかった。
→
※なんか今回の章、全体的にセクハラ多いかもしれんです……
次じゃないですがモンスターにもセクハラされるんで今のうちにご注意下さい
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