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白砂村ベイシェール、白珠の浜と謎の影編
5.その情熱を別の方へ向ければいいものを*
しおりを挟む※セクハラしてるだけ
まあ確かに、ズボンが濡れたまんまじゃみっともないよな。肌に張り付いて歩きにくいし、第一海に浸かった服は後で塩噴いちゃうし……だから、宿に帰って服を洗うのは良い案だと思うのだが……。
「だ、だからって……何故に下をすっぽんぽんにするんだよ!!」
宿に帰るなりズボンと下着を剥ぎ取られて、宿の女将さんにそのままパスって、俺下半身丸裸じゃねーか! しかも下着だけでも着替えようと思ったら、何故かバッグを取り上げやがるし。何なんだこいつらは!
「ちょっと、ホントもう怒るぞ!? バッグ返せ!」
シャツの長さで辛うじて下半身は隠れているが、正直尻が心許ない。
すました無表情でバッグを上に掲げているクロウに、俺は必死で手を伸ばすが、しかし悲しい事に全く手は届かない。
ええいチクショウ、なんでこいつらはこんなに背が高いんだ!
「ツカサ君、それじゃあバッグにはとても届かないよー。飛び上がらなきゃ」
後ろで椅子に座ってニヤニヤしながらブラックが言う。
そりゃそうだ。解ってる。ジャンプした方がクロウの手に近くなるだろう。
でも、ジャンプすると、その……。
「そうだぞツカサ。いくらお前の可愛い股間が見えてしまうからと言って、跳ぶのを諦めるようでは男としては不甲斐ないぞ」
「お前らがいやらしい目で見るから跳べないんだよォ!!」
そりゃ俺だって誰も気にしなけりゃ勢いよく飛びますけど、目の前と背後で俺のシャツが捲れるのを待ってるオッサン共が居るんだぞ。前を必要以上に引っ張ったらケツが丸見えになるし、かといってそのままだと、少し動いたら見えちゃいそうで怖いし……ああもう何で俺はこんな事をさせられてんだ。
「うぐぐ……こ、こうなったら……シーツを腰に巻いて……」
「海水に浸かった下半身に?」
「ぐうっ、じゃ、じゃあ水を貰って体を……」
「拭くの? それも良い案だね。でも、ここにお風呂は無いんだよツカサ君」
「あ…………」
そ、そうだった……。節約の為に久しぶりに風呂の無い普通の宿屋にしたから、ここでは桶とお湯を貰って体を拭く事ぐらいしか出来なかったんだ……。
つまり、部屋の中には洗面所もないし、隠れる場所がまったくない。
ヤバい。非常にヤバい。
「や、やっぱシーツを犠牲にし……」
「はい確保ー! 熊公お湯頼んで来い」
「うわぁ!?」
もうこんな不毛な争いは止めようと思った矢先に、背後から思いきり抱き着かれて、両腕を拘束される。その間に、ブラックの命令に頷いたクロウは、俺のバッグを持ったままさっさと部屋を出て行ってしまった。
なんでこんな時だけ仲が良いんだよお前らはぁ!!
「ふ、ふふふ、ツカサ君……海水でベタベタした所、全部拭こうね……」
背後で「モブおじさんかお前は」と言いたくなるほど気色悪い声音が聞こえる。
抱きすくめられて耳元で囁かれると、全身に鳥肌が立つ。逃れようとしても全く動けずに、俺はそのままブラックと共に椅子に座らされてしまった。
ひいぃ、尻にズボンが……っていうか、あ、熱い。ケツん所に当たってる股間がなんか妙に熱いんですけどぉ!!
「んん~……? ツカサ君鳥肌立ててどうしたの。期待しちゃってる?」
「ば、バカな事いうな……っ」
期待してるのはどっちだよ、隠しきれてると思ってるのか。
自分の尻を刺激する熱を必死に避けるが、ブラックは俺が何を嫌がっているのかに気付いているらしく、逃すどころか俺の素足に自分の足を絡めてくる。
「ツカサくーん、女の子みたいに足を擦り合わせちゃってるけど……やっぱり興奮してるんだろう? ほら、今のうちに正直になった方が良いよ~?」
「べ、べつにそんな……」
「そう? じゃあ、このまま開いていい?」
ニヤニヤしているのが丸分かりな声で嘯きながら、ブラックは片方の手をゆっくりと足に伸ばしてくる。その見せつけるような仕草に唇を噛んでいると、ちょうどクロウが部屋に戻ってきた。ら、ラッキー!
「ツカサ、湯を貰って来たぞ」
「は、はいはいはい! ありがとクロウ!!」
背後から「チッ」とか言う音が聞こえたけど気にしませーん!
腕を振りほどいてブラックの膝からすぐに降りると、俺はクロウから桶を受け取った。が、お湯が重くて耐え切れず、思わずよろけてしまう。
「おっ、おもっ……」
しかしここで変な格好をして無様な姿を曝すわけには行かない。
ぐっと堪えて、ゆっくりと膝を曲げつつ桶を床に置き、俺は溜息を吐いた。
「意外と考えてるね」
「う、うるさいなあもう!」
「ツカサ、体を拭う布」
「あ、ありがと」
だあもう、からかいと優しさを同時にふっかけてくんじゃねえ!
くそっ、こうなったらさっさと布で拭いてガッカリさせてやる……。
そう思って、しゃがんだまま布をお湯に浸して絞ったのだが。
…………あれ……良く考えたら、座ったままで腰から下を拭くのって難しくないか……? いやしかし、立ったままだと腰を曲げてケツが出ちゃうし……。
だけどしゃがんでるとこれ……。
「ツカサ君、座ったままじゃ拭きづらいだろう? 立って拭いたらどう」
「え……でも……」
「オレ達はツカサの体の隅々まで知ってるんだ。今更恥ずかしがる必要もない」
「そ、そりゃ……そうだけど……」
情けない事だが、確かに俺はこいつらに見られたくない所まで見られている。
それを考えたら恥ずかしがったってもう仕方ないんだけど……いや、そうだな、恥ずかしがるからこの中年共が調子に乗るんだ。
ここはケツを丸出しにする覚悟で行くぐらいの男気を見せないと……!
「ほらほらツカサ君、早く拭いちゃおうよ」
「そうしたら下着も穿けるだろう」
「ぐうっ、わ、わかってるよ!」
ええいもうままよ!
俺は布を絞ると、立ち上がってオッサン達に背を向けた。
まずは上からだなと思って、比較的楽に拭く。背後の視線は気になったが、早く拭いてしまえばなんて事は無いと思って、シャツを引っ張って尻を隠すと布で拭った。
「あー! ずるいツカサ君、そう言うのナシだよ!」
「男らしくないぞツカサ」
「うっせえ! 勝負でも何でもないのになんで文句言われなきゃなんねーんだ!」
そうだよ尻を片手で隠せば足なんて簡単に拭けるじゃん。
なんでそんな簡単な事に気付かなかったんだろう。ああ、やっぱ、羞恥で正気を失うとろくな事がないな。よし、こうなりゃさっさと終えて下着を貰おう。
思うが早いか俺はシャツを出来るだけ引っ張りつつ、上体を曲げるとささっと足を拭き終えた。よし、これでちゃんと下着を着ても良いはず!
そう思って二人を振り返ると……。
「お…………」
いつの間にか、ブラックとクロウが俺の目の前に立っていた。
「ツカサ君、それじゃあちゃんと洗えてないよ……?」
「もっとしっかり洗えるようにオレ達が手伝ってやろう、桶はテーブルに置くぞ」
「ふ、ふぁ……!?」
何を言ってるんだと虚を突かれたその隙に、両腕を二人に持ち上げられて、そのまま二人の肩に掛けられた。
二人とも高身長だから、そんな事をされると足が宙に浮いてしまう。あまりにも不安定な格好に俺は慌てたが、ブラックとクロウは俺を抱え上げたまま笑い、それぞれ左右の太腿に手を伸ばしてきた。
「こう言うのはちゃんと洗わないとね、あとでベタベタしちゃうから……」
「そうだぞ、ツカサ……お前の柔らかい肌が荒れたらオレは悲しい……」
「んっ……! や、ま、って……っ」
不安定な体勢でカサついた大人の手に擦られて、足がびくつく。
宙ぶらりんの体勢では大した抵抗も出来ず、肌の色が違う二つの大きな掌に、内腿から足の付け根の部分まで丹念に擦られてしまう。
擦られているだけなのに、足の付け根にまで手が這いあがって来ると、どうしても下腹部がきゅうっと緊張してしまって、足が内股に寄ってしまう。
そんな俺に、二人は楽しそうに笑って手を離した。
「ぅ、っあ……な、なあ、別に……ベタベタ、してなかったよな……?」
これ以上やるとまた変な事になる……そう思って問いかけるけど、ブラック達は肩に回した俺の手を強く掴んで、俺を逃してくれない。
それどころか、示し合わせたようにテーブルに近付いて、お湯に手を浸した。
「いや? まだベタベタしてたよなあ、熊公」
「ああそうだな。これは念入りに洗ってやらないと……」
楽しそうに言いながら、二人はお湯で濡れた手を俺の足に近付けてくる。
それが何を意味するのかなんて、もう解りきっていて。
「や、やだ、待って、えっちすんのとか嫌だぞ! やることあるんだってばっ」
「おやおや、何を期待してるのかなぁ~?」
「もっ、やだっ、期待してないってば……! お願っ、今日はダメ……っ」
濡れた手が両足に張り付き、また太腿を探る。
太腿を撫でまわす手から落ちた水は、幾つもの筋をつけて俺の足を滑り落ちて行った。その感覚と、ぬめる手の動きが辛くて、俺は身を捩って口を噤む。
だけど、ブラック達は徐々に手を股間へと滑らせて来て。
「んっ……! ふっ、んうっ……」
「ちゃあんと洗わなきゃ、ベタベタが取れないからね……我慢して……?」
「濡れて、柔肌が光ってるな……」
俺が震えている間に、ブラックとクロウは何度もお湯に手を浸して、俺の足の先から股の間まで、大きな掌で撫でまわしていく。
だけど、俺の肝心な所には触れず、その……あ、蟻の門渡りの部分を、代わる代わる感触の違う指で二人で撫でて来て。
そんなこと、されたら……。
「ぃや……や……や、だ……そこっ、やだぁ……っ」
「声が可愛くなってきてるよツカサ君……。おっと、股間を隠してるシャツが、なんだか膨らんで来たね? もしかして、気持ちよくなってきちゃったかな」
「ちがっ……違う、違うっ、からぁ……っ!」
「その割には、湯とは違う汁が染みているようだが?」
「っ、うぅ……い、言うなぁ……っ」
左右から責めるような言葉を投げかけられて、羞恥で体が熱くなっていく。
そんな自分が嫌で、必死で熱を抑えようとしているのに、ブラックは俺の様子を愉しむように眺めながら、濡れた手をシャツの裾に伸ばした。
……水じゃない、小さなシミが出来ている……裾のところを。
「だ、だめ……おねが…っ、きょうはやだ……っ」
「可愛いおちんちんをビンビンに勃たせておいて、よくそんな事が言えるよねぇ……そんなにお爺さんとやらの帽子の事が大事?」
そう、だって、約束は守らないと。だから、今日はダメだって。
必死に頷いてブラックとクロウに懇願の目を向ける俺に、ブラックは少し面白くなさそうな顔をしたが……俺の顔をじいっと見つめ、目を細めた。
「じゃあ……僕のお願い、聞いてくれる?」
「お、おねがい……?」
「昨日、ツカサ君と話した事覚えてる? 実はさあ、その事を話したら、どんどん我慢出来なくなってきちゃって……。でも、さすがにあの格好は無理だろうから、他の格好してセックスしてくれないかなあって。……それを約束してくれたら、今日はもうこれ以上のえっちな事はしないよ」
「ふ、ふぁ……」
別の格好をして、えっち……?
それって、あの、あれ……例えば……前に着たナース服とか……?
でも、そう言うのって、確か……。
「こ、コスプレえっち……?」
「うん? 良く解らないけど、ツカサ君が“いいよ”って言ってくれたら、今すぐにでもツカサ君を解放してあげるよ」
にっこりと微笑みながら俺に言うブラック。
どう考えても、悪魔の囁きだ。ここで頷いてしまえば、後で大変な事になるのは目に見えている。奴隷姿でご主人様プレイはさせられなくたって、それに匹敵するくらいの事はさせられるはずだ。
それを考えたら、体が震えたが…………
でも、俺はお爺ちゃんと「帽子を作ってあげる」って約束したんだ。
約束した事は違えちゃいけない。なにより、悲しそうなお爺ちゃんを更に悲しませる事なんて絶対にしたくなかった。
だったら、もう。
「わ、解った……っ、わかった、から……!」
離して、とブラックを見上げる俺に、相手は心底嬉しそうに笑うと……俺の股間を隠しているシャツの裾を掴んだ。
「嬉しいよ、ツカサ君……! じゃあ、早速解放してあげるね!」
弾んだ声で言いながら、ブラックは服をゆっくりと引き上げていく。
「ぅあぁっ!? や、やだ、まって……!」
こ、これじゃ見えちゃう……っ!
解放するって言ったのに、なんで……!
思わず抵抗したが、クロウの手が俺の足を抑え込んで無理矢理に開く。
ブラックの手が上へと動くたびに熱の籠った股間に空気が張り付いて来て、俺は身を捩った。だけど、もう、どうにもならなくて。
とうとう、俺の浅ましく勃起したモノを見られてしまった。
「あっ、あぁあ……っ」
「ふ、ふふっ、はははっ、僕達に太腿を嫌らしく触られただけで、おちんちんから汁を垂らしちゃうくらいに興奮するなんて……本当にツカサ君は淫乱だなぁ」
「やだっ、ぃっ、言わないでぇ……っ」
「大丈夫……僕達は、そんな淫乱で可愛いツカサ君が大好きだからね……。ほら、いじめないで気持ちよくしてあげるから、素直に声を出してイッってごらん」
嬉しそうに言いながら俺のモノを掴んで激しく擦り上げるブラックに、俺は腰をびくびくと波打たせて思いきり声を上げる。
抱え上げられて不安定なった状態が余計に俺の感覚を高めてしまったのか、俺は情けない事に……少し扱かれただけで、簡単にイッてしまった。
…………あ、あああ……もうやだ……マジでもう色々と勘弁して……。
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