異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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湖畔村トランクル、湖の村で小休憩編

  君は自分の魅力を勉強すべきだ 2*

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 ブラックの言葉に、クロウがソファから立ち上がって俺に近付いて来る。
 相変わらずのでかい図体を見上げると、クロウは無表情な顔で俺を凝視してきた。……何か妙に目がギラギラしてる気がするけど、気にしないでおこう。

「えっと……会話すればいいんだな?」
「そう。で、もしその熊公を興奮させたら、お仕置きだよ」
「はぁ!?」

 脱がす以外にもまだ罰ゲームあんのかよ!?

「じゃ、一回目行ってみよー。まずは、相手が自分より強い相手の場合~」
「ええええぇ」
「ツカサ、俺が初対面の強い奴だと思って話せ」

 ああもうふざけてるのか違うのか良く解らない。
 でも、やっちゃいけない事を教えてくれたりはしてるんだし……会話くらいならいいかな……。別に変なポーズさせられるわけじゃないし、クロウを興奮させなければ“お仕置き”も罰ゲームもないんだし……。
 よし、初対面の強い奴だな。自分を下に見せるのが常套じょうとう手段だ。

 俺はシャツイチパンイチの情けない恰好で気合を入れると、クロウに向き合った。
 しかし……仲間に初対面の演技するって難しいな。
 つーか漠然ばくぜんと「強い奴との会話」って言われたけど……どうすりゃいいの。どういうシチュエーション? 戦闘後とかの話かな?
 とりあえず……笑顔で褒めておくか。

「えーっと……あの」
「ん」
「す、すっごい強いんですね! いや~、俺なんかとても敵わないなぁ~! ……あっそうだ、それだけお強いなら、もしかして凄い武勇伝とかあるんじゃないですか!? 是非とも聞いてみたいなぁ!」

 よし。ぎこちないけど、当たり障りのない会話だったはず。
 俺は別に強い奴と戦いてぇみたいなキャラじゃないし、事なかれ主義だ。強い奴になんて気に入られたくも無いので、おべっかなんてこのくらいで良い。
 つーかほんと基本的に俺は男になんて興味ないんですってば。
 相手が強い美女ってんなら、尻尾振って足にすがりつくけどさあ。

「……ど、どう?」

 合格かな? とクロウの顔を見上げると。

「…………ツカサ……」
「え?」

 クロウの顔がやけに近いと思っていたら、急に視界がさえぎられて首に痛みが走る。その瞬間、何が起こったのかを理解して、俺は目の前にあるクロウの頭を押しのけようとしたが……無駄な抵抗だった。

「い゛っ、ぁ……! や、だ、クロウっ……痛いって……!」
「はっ……ハァ、ハァ……っ、ツカサ……ツカサ……っ」
「っあぁ!」

 首をまた柔く噛まれて、クロウの犬歯が肉に食い込む。
 その感覚が怖くて思わず悲鳴を上げてしまうが、ブラックは呑気な声で俺の事を楽しそうに観察していた。

「もー、ツカサ君たらホントに墓穴掘るのうまいよねえ。普通さあ、可愛いなって思ってる相手にそんな風に話しかけられたら、好意を持たれているって誤解しても仕方ないんだけど……それ解ってる?」
「っあ゛、ぅ、そん、な……っ! だって、俺、社交辞令で……っ」
「ツカサ君の世界じゃどうかしらないけど、男のくせに相手の武勇伝を聞きたがるなんて、腰巾着こしぎんちゃくになりたいか相手と関係を結びたい奴かのどっちかしかないよ? ツカサ君の場合だと、情夫になりたいと誤解されても仕方がないよねえ。だから、今のは不正解。次行こうか」

 なにそれ、どういうことだよ。
 その理論じゃ俺だって腰巾着パターンじゃないのか!?
 褒める事すらダメなのかよ、だったらどうすりゃいいんだ。この世界何でもかんでも股間でモノを考えすぎだって。どうして褒めただけで不正解なんだよ!!

「そ、そんなのおかしいってば! やだ、もうこんなの……っ」
「ん? 嫌? じゃあまた一枚脱がそうか」

 ブラックの楽しそうな声に、俺の首筋に噛みついてべろべろと舐めまわしているクロウが、荒い息を吐きながら下の方へ手を伸ばす。
 その大きな手が下着を掴んだのを感覚で知って、俺はすぐそばにあるクロウの頭に必死で訴える。

「っ!! いやっ、やだっやっ、上で良いっシャツ脱がしてよクロウ!!」
「それじゃあ“お仕置き”にならんだろう……すまんな、ツカサ……」

 下着が強く前に引っ張られて、びり、と嫌な音がする。
 まさかと思ったのに、その嫌な音は尾を引いて俺の下着を強く引っ張って行く。
 その音が途切れたと思った瞬間、俺の両足を触りながら、布があっけなく下へと落ちる感触がした。

「あっ……あぁ……っ」

 股間にシャツが触れる感覚がする。
 ああ、やっぱり……下着を破かれたんだ……。

「う……うぅ……っ! ば、か……ばかぁあ……!!」
「泣くなツカサ……可愛くて犯してしまいそうになる……っ」

 馬鹿、泣いてねーよ可愛くねーよ!! 誰が下着破られたくらいで……っ。
 ああもう、なんでこんな事になってんだ、俺なにしてんだよぉ……!

 クロウに首筋しゃぶられて、シャツとブーツだけの変態な格好して、こんな姿をブラックにじっと見られてて……もう、何してるのか分かんない。これ勉強会じゃ無かったのかよ、全然関係ない事ばっかじゃん……っ!

「ツカサ君、まだお仕置きは終わってないよ。……おい熊公、いつまで真正面から食いついてんだ。殺すぞ」
「グゥウ……」

 クロウの頭が離れる。やっと解放されたのかと思って俺は息を吐こうとしたけど、相手は俺の背後に回るとまた首筋に噛みついてきた。

「ふあぁ!?」

 いやだ、クロウの髪の毛が、くすぐったい。唾液で濡れた舌の当たる音が首から伝わって来て、身体が焼かれるように熱くて逃げ出したくなる。
 なのに、クロウは背後から俺をがっちりと捕えていて、逃してくれなかった。

「良い格好だね、ツカサ君」

 少し暗いトーンの声に、膝が震え始めた。
 素肌の足に、ブラックの鋭い視線が絡みついて来る。恥ずかしい場所は辛うじてシャツで隠れているのに、視線が這いあがって来るたびに見えてるんじゃないかと怖くて、足が自然と内側に寄ってしまった。

 せめてだけは隠しておきたいと強く思い、捕らわれたまま必死に手を動かしてシャツを股間の前で引き下げる。そんな俺の仕草に、ブラックは意地の悪い猫のようにニタァと笑った。

「不正解。そんな可愛い事したら、もっと虐めたくなっちゃうよ?」
「っ……!!」
「まあでも……ツカサ君の場合、なんにしろ不正解だったけどね」
「なっ……ど、どういう……っ」

 意味だ、と言おうとしたところに、首筋に強い息を吹きつけられる。
 思わず固まった俺の耳に、ブラックの声とは違う、低く耳をくすぐる声が聞こえた。

「ツカサ……ハァ、は……お仕置き、だ……」

 絶望的な台詞が聞こえたと、同時。
 背後から尻肉を強く揉みしだかれて、俺はこらえ切れず大声を出してしまった。

「ひぁああ!?」
「グッ……ゥグ、はっ、ハァッ、はっ、ツ、ツカサ……まったく、お前は……男のくせになんだこの尻の肉は……ッ!」
「ぃあっ、やっ、やだっ揉まないで、ぃや、ぁ、やぁあ……!」
「そんなに無防備で……こんなっ……男を誘うような体をして……ッ!! お前は肉穴奴隷にでもなりたいのか……?!」

 酷い事を言われながら、思いきり引き上げられ、ぐいっと割り開かれる。
 その度に谷間に外の空気が触れて思わず力が入るが、クロウはそんな俺の臀部をいとも容易く強い力で揉みほぐしてしまう。そのうえ、何度も何度も谷間を割り開き、激しく動かす指の側面をわざとすぼまりに押し付けて来て。

 そんな刺激に耐えられるはずも無く、俺は必死に首を振りながら嫌だと訴えた。
 だけど、いつも以上に興奮したクロウは、俺の言う事なんて聞いてくれない。

「ぃや、だっ、やだぁあ……っ! ひっ、ぅ゛、ひぐっ、ぅ、ぅあぁあ……!」
「ツカサ君たら、お尻を揉まれるだけでそんなにいやらしい顔をして……。本当に君はこういうイタズラされるのが大好きだよねえ」

 冷ややかな目が、俺を射抜いて来る。
 その視線と、強い刺激を与えてくる指が同時に苛んできて、俺は嗚咽おえつを漏らしながら必死に首を振った。

「そ、んなっ、おれ……っ」
「違うって? じゃあ、シャツを一生懸命持ち上げてる、その可愛いおちんちんは何なんだろうねぇ」
「ふぁあ!?」

 馬鹿にするようなブラックの声に思わず下を向くと――
 そこには、シャツに小さなシミを作って押し上げている何かが……確かに、主張してしまっていた……。

「あ、ぁ……ああぁあ……」

 うそ、う、うそ。こんな、気付かない内に、こんな。

「お尻を揉まれるのが気持ちよすぎて、自分が勃起してる事すら気付かないなんて……ツカサ君もとうとう男の子から女の子に変わってきちゃってるのかな?」
「ぅ、うぅうう~~~……っ!!」
「まあまあ、そんなに怒らないで……可愛すぎて僕まで無駄打ちしちゃうよ。……ねえ、ツカサ君。このままお勉強、続けたい?」
「うぅ……!?」

 唸りながら睨んでいる途中にとんでもない事を言われて、俺は目を剥く。
 こ、このままって……こんな、変な事になったまま?
 クロウにお仕置きされながら、またさっきみたいに会話とかするの……?

 そ、そんなの無理だよ。こんな状態で色々教えられたって、覚えられるはずないじゃないか。それに、まともに喋れる気がしない。
 そんなの絶対またお仕置きされてしまう。

「やだっ、や、も、嫌だっ、もう勉強やめる……!」
「それは困るよ。ツカサ君も明日は予定が有るんだろう? だったら、こんなんじゃ中途半端だ。まだまだ教えたい事が沢山あるんだからさ」
「でっ、でも……っ」
「それとも……明日もこうして僕達に恥ずかしい思いさせられたい?」

 ――――え…………。
 あ、明日も……明日も、こんなことするのか……?

 こんな、恥ずかしくて、体が熱くて、死にそうな、こと…………

「やだっ、絶対やだぁ!!」
「ツカサ君が不正解ばっかり出すからだよ? ……ああ、もしかして……お仕置きして欲しいから、わざと間違えてるのかな?」
「はぁっ!?」
「ツカサ君は気持ちいい事が大好きな淫乱だもんね。……そうか、じゃあ、気持ちいい事をしながらだったら、勉強もスムーズにすむかな? ……ねえツカサ君、どっちが良い? 言ってみてよ。お仕置きがいいか、気持ちいいのが良いか」
「なっ……ぁ……ぁあ……!?」

 何言ってるんだ、このオッサン。
 俺が、こんな事が好きだなんて、そんな訳ないだろうが。
 そりゃアンタと、その……えっちする時は、そうかも知れないけど……。でも、こんな風に辱められるのが好きだなんて、どう考えてもおかしいだろ。

 俺は嫌なんだ。もう、こんな事したくないんだ。
 なのに、どうしてまたやらなくちゃいけないんだよ。

 どっちを選んでも恥ずかしい事しかないなんて、そんなの……っ。

「う、うぐっ……ひ、ゃだ……どっちも、嫌だぁ……!」
「泣いてもだーめ。ほら、ツカサ君ハッキリ言って? 素直に言ってくれたら……ツカサ君がしてほしい“気持ち良いコト”をしながら、お勉強させてあげるよ……」
「ひっ、ぐ……ふ……うぅう……」
「どうする? 気持ち良い事しながらこのままお勉強するのと、明日もこうやってたくさんお勉強するのと……どっちがいいかな。ねえ、言ってみてよ」

 目を細めて笑いながら選択を迫るブラックに、俺は顔を歪めて首を振る。

「そ……そん、な……っ、……そんなぁ……っ」
「ん? どうしたのかなツカサ君……そんな可愛い顔で睨んで……」
「ひぐっ、ぅ、ぅぁあぁ……うぅうう゛……っ」

 気持ち良い事をしながら「お勉強」だなんて、絶対にろくでもないに決まってる。どうせ、お仕置きと同じくらい恥ずかしい事をさせられるに違いないんだ。

 そんなの、言いたくない。そんな事を言えば、絶対に泣く羽目になる。
 勉強会だって言ったのに、嘘つき。やっぱりこうなるんじゃないか!!
 素直に頷いたら、もう絶対に勉強じゃなくなる。また恥ずかしい事を言わされて、させられて……こんな明るい内から、バカになるくらい、二人に…………。

「ツカサ君」

 嫌なのに。絶対に、言いたくないのに。
 だけど、嬉しそうに微笑むブラックの顔に、心臓が痛いくらいに高鳴って。
 嬉しそうに名前を呼ばれて……体の奥がじんじんしている……自分が、いて。

「っ……、う……うぅう……~~~っ」

 気付けば、絶対に見られたくなかった場所を隠していた手が、ゆっくりとシャツをまくり上げはじめていた。

 あ、ああ。
 嫌だ。こんな事、したくない。だけどもう……もう、こんなの、耐えられない。
 恥ずかしくて、だけど、熱くて苦しくて、早くこんなこと終わらせたいと思っているのに……――
 クロウに、ブラックに……めちゃくちゃにされた記憶が、よみがえって。
 頭が壊れそうになるくらいの快楽を教えられた事を、身体が、覚えていて。

 気が付くと、俺は。

「気持ちい、こと……して……っ……お勉強、教えて……くださぃ……っ」

 シャツを捲り上げて、浅ましく勃起してしまったモノを見せつけながら……
 目の前で微笑んでいる酷い恋人に、恥ずかしいお願いをしていた。

 ……自分の台詞に涙がボロボロ零れたが、火照った体はもうどうしようもなく。

「…………ふ、はは……はははは! よく出来ました……っ!」

 ブラックが立ち上がってこちらに来てくれるだけで、どうしようもなく下腹部が熱くなって堪らなかった。








 
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