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クリニック卒業と、お祝いの天ぷらうどん②
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診察が終わってからワンダーウォーカーに顔を出すと、歩が片付けの作業に入ろうとしているところだった。 手を止めてアリスを出迎えてくれる。
「あらアリスちゃん。どうだった」
アリスはなんだか照れくさくて、視線をさまよわせる。
「もう通院の必要はないですよって言われた。揚げ物や辛いものもちょっとずつ食べていいって」
「それはおめでとう! お祝いしないとね」
「あ、それと……先生のとこ、秋に子どもが生まれるってさ」
歩は子どものことについては聞いていたようで、にっこりと笑う。
「昨日聞いたわ。父親似の性格にならないことを祈るのみねぇ」
「あはは。ネルもおんなじこと言ってた」
年齢にそぐわずいたずら好きな悪癖を受け継いでしまったら、とても困ったことになりそうだ。
「夕食、食べていく? まだ食べてないでしょ」
「うん。じゃあ店の前の掃除、あたしがやるね」
「あら助かるわ。その間に作っておくわね」
アリスはホウキとちりとり、布巾をもって店頭に出る。ショーウィンドウを濡れ布巾で拭いて乾いた布巾で仕上げ拭きする。
ホウキとちりとりでゴミを回収して、清掃終了。
「アリスちゃん、できたわよ」
「わー、ありがと歩さん」
歩のほうも料理ができて、アリスを呼びに来た。
テーブルに並んだのは、天うどんだった。小皿にレンコン天と芋の天ぷらが添えてある。
それぞれ食べやすいように薄い半月切りにしてあって、ささやかな配慮に心があたたかくなった。
だしはかつおだし。とても良い香りがする。
「それじゃ、食べましょう」
「はい。いただきます」
アリスはうどんをすすり、レンコンの天ぷらをかじる。もう何年も揚げ物を口にしてこなかったから、味を忘れてしまっていた。
衣がサクサクで、香りよい。
舌触りも、歯触りも、とても心地良い。
「おいしいです。天ぷらって、こんなに……おいしかったんですね」
知らず知らずのうちに、アリスの目に涙がにじんでいた。
涙が塩けのある味だということも、忘れてしまっていた。
頬を伝った涙がしたたる。
歩がハンカチを出して、そっとアリスの涙を拭ってくれる。
「喜んでくれて良かった。アリスちゃんが望むなら、いつだって作るからね」
「……はい」
「あらアリスちゃん。どうだった」
アリスはなんだか照れくさくて、視線をさまよわせる。
「もう通院の必要はないですよって言われた。揚げ物や辛いものもちょっとずつ食べていいって」
「それはおめでとう! お祝いしないとね」
「あ、それと……先生のとこ、秋に子どもが生まれるってさ」
歩は子どものことについては聞いていたようで、にっこりと笑う。
「昨日聞いたわ。父親似の性格にならないことを祈るのみねぇ」
「あはは。ネルもおんなじこと言ってた」
年齢にそぐわずいたずら好きな悪癖を受け継いでしまったら、とても困ったことになりそうだ。
「夕食、食べていく? まだ食べてないでしょ」
「うん。じゃあ店の前の掃除、あたしがやるね」
「あら助かるわ。その間に作っておくわね」
アリスはホウキとちりとり、布巾をもって店頭に出る。ショーウィンドウを濡れ布巾で拭いて乾いた布巾で仕上げ拭きする。
ホウキとちりとりでゴミを回収して、清掃終了。
「アリスちゃん、できたわよ」
「わー、ありがと歩さん」
歩のほうも料理ができて、アリスを呼びに来た。
テーブルに並んだのは、天うどんだった。小皿にレンコン天と芋の天ぷらが添えてある。
それぞれ食べやすいように薄い半月切りにしてあって、ささやかな配慮に心があたたかくなった。
だしはかつおだし。とても良い香りがする。
「それじゃ、食べましょう」
「はい。いただきます」
アリスはうどんをすすり、レンコンの天ぷらをかじる。もう何年も揚げ物を口にしてこなかったから、味を忘れてしまっていた。
衣がサクサクで、香りよい。
舌触りも、歯触りも、とても心地良い。
「おいしいです。天ぷらって、こんなに……おいしかったんですね」
知らず知らずのうちに、アリスの目に涙がにじんでいた。
涙が塩けのある味だということも、忘れてしまっていた。
頬を伝った涙がしたたる。
歩がハンカチを出して、そっとアリスの涙を拭ってくれる。
「喜んでくれて良かった。アリスちゃんが望むなら、いつだって作るからね」
「……はい」
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