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28 洞穴ダンジョンで羽根ウサギを狩ろう!

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 今日はよく晴れた狩り日和である。
 ビリーをはじめ若手メンズたちは「不慣れなキムランに狩りのお手本を見せてやるよ!」と意気込んでいる。が、出立前に「新人にも優しく指導する、俺の・・、大活躍を見ていてくださいねオリビアさぁ~ん!」と語尾にハートを散らして言っていたからそっちが本音だと思う。
 どこの世界も、男は友情より美女を取るんだな、ハッハッハッ。

 しかも今回の狩場は森の中にある洞穴。いかにもダンジョンぽくてイイ。そう思ったのは最初だけだった。

「いいかキムラン。この洞穴、モンスターが隠れる場所はいくらでもあるからな。注意を怠るなよ。あと、入り組んでいるからはぐれるな」
「わかった」

 せっかくだし、ダンジョンらしく洞穴の分岐路をマッピングしておこう。それに地図があれば迷子になりにくいだろう。
 鍾乳石の合間からコウモリのような羽をはやしたウサギが滑空してきた。
 すんでのところで避けて走る。
 洞穴の天井は高いが、幅は狭い。剣なんて振り回せるはずもなく。剣しか習っていないオレはオトリ要員なのだ。

 走った先は行き止まりだった。パタパタとホバリングしておれを狙うウサギもどき。

「キムラン、ふせろ!」

 鋭い声が反響して、言われるまま頭を抱えて地面に伏す。一瞬あたりが眩しく光り、頭の上にウサギが落ちてきた。
 それを拾い上げると、マンガみたいに気絶して目をぐるぐるさせている。

「おお、すげぇ! ウサギが目を回している」
「キムラン、感心してねぇでさっさと袋に詰めろ。また来るぞ」

 弓を抱えた青年、レイがぶっきらぼうに言ながら次の矢をつがえる。言い方は乱暴だが、弓の腕は確かだ。
 今見たとおりに、何度矢を放っても確実に命中させている。

 見事な腕前に魅入っていると、光魔法のカンテラを片手にナルシェが説明してくれる。

「羽根ウサギは狭くて薄暗い洞穴に生息しています。だから光魔法の弓矢で射ると、目が眩んでしまう。毛皮も傷つけないし、羽根ウサギ狩りに適している武器なんです」
「へぇ、すごいな」

 手触りサラサラのこのウサギ、毛皮が良いお値段で取引されるんだと。刃物を使わないのもうなずける。極力毛皮をきれいな状態にしないといけない。
 ウサギを詰めた袋を背負って進むと、どこからか水の流れる音が聞こえてきた。

「あの音なに?」
「湖があるんだよ。魚が捕れる。けど今回の目当ては羽根ウサギだからな。湖には寄らないぞ」
「水も、危ないから飲むなヨ」

 ビリーと村長に先制で釘をさされてしまい、残念な気になる。せっかくここまで来たんだから見てみてーよ、ダンジョンの湖に生息する魚!
 みんながだんだんオレの性格を把握してきているのが嬉しくあり、悲しくもある。
 
 レイが大活躍して狩りは終わり。
 みんなのあとについていく荷物持ち&オトリくらいしかできていないが、あと何回か来て洞穴の全体像を掴めれば、オレも他の形で役に立てそうな気がする。

「さすがレイさん、カッコイイです~!」
「レイさま素敵ー!」

 村の少女たちが黄色い声をあげているが、当のレイは「当たり前のことをしているだけだ」と相手にしない。狩りに参加した青年たちはレイさま人気に面白くなさそうな顔をしていた。
 イケメンで強くて冷静でストイックっていう、モテる男の要素詰め合わせ福袋な人がいたら、モブに勝ち目ないもんな。
 まあゲームが恋人だったオレには関係ないけど。

 それはさておき。狩ったウサギの毛皮は売りに行くとして、中身《にく》は村人に分配される。
 うちにも肉が来た。
 今夜はウサギメシだ、ミミの料理の腕が光るぜイエーー!!


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