13 / 18
13‐幽霊の名前
しおりを挟む
*
ゴーちゃんの眼が見開かれる。
灰色がかった薄茶色の瞳を見つめていると、いつかの夜を思い出した。あんな日を毎日でも繰り返していたかったと、心から思ってる。
「……気付いてたんだ」
「そりゃあね。むしろ初日からあんだけボロ出してて、気付かないほうがおかしいでしょ」
「へへ。……やっぱり私、嘘下手だなぁ」
生前のことを何も憶えていない、と最初にゴーちゃんは言った。
でもそれなら、親が厳しかったなんて話は出てこないはずだ。
あとは友だちがアイドルのファンだったとか。その子と一緒に映画を観に行く約束をしていたとかね。
ましてや自分の名前すら思い出せないのに、映画のキャラクターならパッと言えるのもおかしい。
だからほんとうは、多少なりと憶えてはいるんだろうとは気づいていた。
そして忘れたふりをしたのは、何か訊かれたくないことがあるからだろうとも、察してはいた。俺も一応は大人だから。
それで思うのが、たぶん彼女が隠したいのは「どうして自分が死んだか」じゃないかなってこと。
あとはたぶん、最初は俺のことを冷たくて怖いやつだと思っていたらしいから、信用できなかったのかもしれない。
それにきっと他に行き場がないことにしないと、他をあたれって追い出されるとも思ってたのかな。そんなことないのに……あ、いや俺、最初はユウロのとこ行けって言ったか。でもあれ歌ってって言われたからだし。
なんにしろ俺が言いたいのは、嘘を吐かれたことに対して怒ってるわけじゃないってことだ。
「あのね、ゴーちゃん。俺も、ぜんぶほんとのことを話せ、なんて言わないよ。俺には言いたくないことだってあるだろうし。
たださ……名前くらいは教えてくれないかな」
フルネームじゃなくていい。下の名前だけで。
どこの誰だったか、どうして死んじゃったかなんて勝手に調べたりしないから。
最後にせめて、名前を呼びたい。
そう思うことくらいは許してほしい。
ゴーちゃんは俯いて、しばらく考え込んでいるようだった。
俺はただじっと彼女が口を開くのを待つ。
俺たちの向かいにある花壇で、名前も知らない花がゆったり風に吹かれていた。
「……ま、いっか。イオは笑ったりしないよね」
ようやく顔を上げたゴーちゃんは、少し困ったような顔で微笑む。
「私の名前ね、実はほんとに『ごう』なの」
「……えっ?」
「ね、ほんと『え?』って感じでしょ。ありえないよね、女の名前で『ごう』ってさ。
でも残念なことに冗談でもなんでもなく、私は『ごう』です」
そこでゴーちゃんはふわりと浮き上がった。
そのまま、踊るようにくるりと回って、俺と向かい合う。
「ずっと自分の名前が大っ嫌いだった。ちっちゃいときから今まで、この男名前のせいでいじられっぱなしの人生だったから。
でもね、イオに呼んでもらったら、少しは好きになれないかなって思って……それで咄嗟に思いついたのが『ゴーストのゴーちゃん』なの。我ながら上手くこじつけられたと思ってたんだ」
「そっか……」
「あとユウとかレイって知り合いにいるから、それだとなんかその子たちが呼ばれてるみたいでヤだった、ってのもあるけどね。
……だから、名前かわいいって言ってくれたの、すっごく嬉しかった。ありがと」
ゴーちゃん、いや、ごうちゃんの笑顔に、後ろで咲き乱れる花々が透けていた。
そんなのいくらでも言うよ。そのたびにごうちゃんが笑ってくれるんだったら。
百回だって千回だって、この喉が涸れるまで。
・・・+
そのあと楽器屋に行って、俺は持ってきていたエレキを馴染みの店主に渡した。
この人はリペアマン、つまり楽器の修理屋もやってて、俺はいつもメンテを彼に頼んでいる。
初めてギターを買ったのもここだった。それからずっと通ってるから、この人は俺の弾きかたの癖なんかもよく知ってる。
今日シフトを空けてあったのもここに来るため。
そして予め伝えていた時間よりちょっと遅く来た俺を、店主のおじさんは大らかに笑った。
「これ、最近弾いてなかったろ」
「……やっぱバレたか。最近アコギばっか触ってたから」
「弾かなくてもフレット磨くぐらい定期的にやれって前も言ったろ。大事な商売道具なんだから。
まあ交換せにゃならんほどじゃないし、ついでに手入れしといてやる」
「助かる~、お願いします」
俺がおじさんと話している間、ごうちゃんはふわふわとギターの並んだ壁の前を漂っていた。
興味があるのかな。もしそうなら、弾きかたを教えてあげたかった。
「そんで? 次のライブの予定はちゃんとあんのか?」
「あ、そうそう。場所は前と同じとこで……」
そのあと俺はすっかりおじさんと話し込んでしまい、ただでさえ遅れていた予定がもっとずれ込んでしまった。
日が高いうちに花見する予定だったけど、このままだと夜桜になりそう。
それもそれで雰囲気あっていいかもしれないけど、それ向けのスポットに行くわけじゃないから、上手く街灯が当たってるようなとこじゃないと花が見えないよな。
ともかく楽器屋を急いで出て、待たせたことをごうちゃんに詫びる。
今日はごうちゃんのための日なのに。いつでも会えるおっさんに時間を割いてしまうなんて痛恨の極み。
「ほんとごめん、せめて駅まで走るわ」
「そんな気にしなくていいのに。イオってわりとすぐ謝るよね、それが悪いって意味じゃなくて」
「ごうちゃんだってわりとすぐ遠慮するじゃん」
「そうかなぁ」
そうだよ、今だってほんとはもっと怒ってくれてもいい。
「でも店長さんとギターの話してるイオ、活き活きしてたよ。やっぱり好きなんだなって感じした」
「まあね、でなきゃギタリストやってない」
「ふふ。……楽しそうにしてるの見てたら、待ってるのも楽しい」
なんて会話をしながら地下鉄に駆け込む。
ええと、このあと残ってるのは花見だけで、そのために買い出しもするつもりだったっけ。あとアコギは家に置いてきたからそれも取りに行く。
真っ暗な地下鉄のトンネルの壁を眺めながら、頭の中の整頓をする。
その間、うっすら窓ガラスに隣のごうちゃんが映ってて、これ他の人にも見えるのかなと思ったりした。
でもそこに映ってる俺の顔も、なんか余裕ないって感じでひきつっている。
まあ実際そうだ。ここまでに書き起こしてきた言葉の断片をまとめて、一本のメロディーに載せるという、いちばん大事な作業が待っている。
ごうちゃんの成仏はそれにかかっている。責任は重大。
しかも完成した暁には、俺は彼女を永遠に失うことが決まっている。
わかっていても、覚悟を決めても、何度自分に言い聞かせても、……めちゃめちゃ胃が痛かった。
ともかく最寄り駅で降りて、俺たちはそのままスーパーへ行った。
ソフトドリンクと、まあ夜桜はほぼ確定になってしまったので、夕飯を兼ねて弁当。それじゃ足りない気がするので惣菜もひとつ。
ごうちゃんは俺のために弁当の栄養バランスを厳しい眼でチェックしていて、もはや彼女というより奥さんみたいだ。
結婚なんてそれ以前の問題が多すぎて考えたことなかったけど、俺の中にもやっぱり少しは憧れの気持ちがあったらしくて、そんなごうちゃんの姿を見て胸が軋んだ。
俺たちの暮らしってある意味同棲みたいな感じだったしね。毎朝おはようを言い合ってた。
なんかまたセンチな気分に呑み込まれそうになった俺は、頭を切り替えるべくごうちゃんに話しかける。
「ごうちゃん、またプリンいる? それとも他のがいい?」
「あー、えっとね、別に何もなくていいよ。そもそも食べられないんだし」
「ほらそれ、やっぱ遠慮しいじゃん」
「ええ……それじゃあ、お花見だからおだんごでいいよ」
何その仕方なく選んでやった感。
俺はちょっと笑いながら、三食だんごをひとつカゴに入れた。
それから、アパートに寄ってアコギとノートを持ってから、俺たちは河川敷のほうへ向かった。
前にここらへんでレジャーシートを敷いてた人たちを見てるから、他にも夜桜見物客がいるかもしれないと思ってたけど、見た感じぜんぜんそんな気配はない。
まあ桜も少し花が減ってきてるから、もうピークは過ぎたんだろう。
ギターの音で怒られないように、できるだけ民家から遠いところを探して歩く。
俺の隣で、ごうちゃんもゆっくり浮いてついてくる。
「そういえば、ごうちゃんにだけ訊いたのフェアじゃなかったから俺も話すよ。
俺の名前。つまり芸名じゃなくて本名ね、……伊織っていうんだ」
「あ……芸名のイオってそこからとってる?」
「うん。まあそれはユウロの提案で。
一応は昔の男の名前らしいんだけど、にしても音が女っぽいでしょ。学生時代とか、絶対クラスにひとりくらいカオリとかシオリとかって名前の女子がいたし、だから俺もずっと名前いじりされてた。
そういう意味でごうちゃんの気持ちわかるわ」
なんでこんな名前にしたんだって、親を恨んだこともある。
まあユウロのアホは考えなしに言ったけどね。変な名前のが覚えられやすくていいじゃん、こういう業界なら有利なんじゃね、とかどうとか。
当時の俺はその適当さ加減に救われて、そのままあいつの口車に乗ってバンドを組んでしまったのであった。
まあそんなことはいいんだけどさ。
男の子みたいな名前のごうちゃん。
女っぽい響きの名前の俺。
最後の最後でどうでもいい共通点が見つかった。それが、なぜかちょっと嬉しかった。
→
ゴーちゃんの眼が見開かれる。
灰色がかった薄茶色の瞳を見つめていると、いつかの夜を思い出した。あんな日を毎日でも繰り返していたかったと、心から思ってる。
「……気付いてたんだ」
「そりゃあね。むしろ初日からあんだけボロ出してて、気付かないほうがおかしいでしょ」
「へへ。……やっぱり私、嘘下手だなぁ」
生前のことを何も憶えていない、と最初にゴーちゃんは言った。
でもそれなら、親が厳しかったなんて話は出てこないはずだ。
あとは友だちがアイドルのファンだったとか。その子と一緒に映画を観に行く約束をしていたとかね。
ましてや自分の名前すら思い出せないのに、映画のキャラクターならパッと言えるのもおかしい。
だからほんとうは、多少なりと憶えてはいるんだろうとは気づいていた。
そして忘れたふりをしたのは、何か訊かれたくないことがあるからだろうとも、察してはいた。俺も一応は大人だから。
それで思うのが、たぶん彼女が隠したいのは「どうして自分が死んだか」じゃないかなってこと。
あとはたぶん、最初は俺のことを冷たくて怖いやつだと思っていたらしいから、信用できなかったのかもしれない。
それにきっと他に行き場がないことにしないと、他をあたれって追い出されるとも思ってたのかな。そんなことないのに……あ、いや俺、最初はユウロのとこ行けって言ったか。でもあれ歌ってって言われたからだし。
なんにしろ俺が言いたいのは、嘘を吐かれたことに対して怒ってるわけじゃないってことだ。
「あのね、ゴーちゃん。俺も、ぜんぶほんとのことを話せ、なんて言わないよ。俺には言いたくないことだってあるだろうし。
たださ……名前くらいは教えてくれないかな」
フルネームじゃなくていい。下の名前だけで。
どこの誰だったか、どうして死んじゃったかなんて勝手に調べたりしないから。
最後にせめて、名前を呼びたい。
そう思うことくらいは許してほしい。
ゴーちゃんは俯いて、しばらく考え込んでいるようだった。
俺はただじっと彼女が口を開くのを待つ。
俺たちの向かいにある花壇で、名前も知らない花がゆったり風に吹かれていた。
「……ま、いっか。イオは笑ったりしないよね」
ようやく顔を上げたゴーちゃんは、少し困ったような顔で微笑む。
「私の名前ね、実はほんとに『ごう』なの」
「……えっ?」
「ね、ほんと『え?』って感じでしょ。ありえないよね、女の名前で『ごう』ってさ。
でも残念なことに冗談でもなんでもなく、私は『ごう』です」
そこでゴーちゃんはふわりと浮き上がった。
そのまま、踊るようにくるりと回って、俺と向かい合う。
「ずっと自分の名前が大っ嫌いだった。ちっちゃいときから今まで、この男名前のせいでいじられっぱなしの人生だったから。
でもね、イオに呼んでもらったら、少しは好きになれないかなって思って……それで咄嗟に思いついたのが『ゴーストのゴーちゃん』なの。我ながら上手くこじつけられたと思ってたんだ」
「そっか……」
「あとユウとかレイって知り合いにいるから、それだとなんかその子たちが呼ばれてるみたいでヤだった、ってのもあるけどね。
……だから、名前かわいいって言ってくれたの、すっごく嬉しかった。ありがと」
ゴーちゃん、いや、ごうちゃんの笑顔に、後ろで咲き乱れる花々が透けていた。
そんなのいくらでも言うよ。そのたびにごうちゃんが笑ってくれるんだったら。
百回だって千回だって、この喉が涸れるまで。
・・・+
そのあと楽器屋に行って、俺は持ってきていたエレキを馴染みの店主に渡した。
この人はリペアマン、つまり楽器の修理屋もやってて、俺はいつもメンテを彼に頼んでいる。
初めてギターを買ったのもここだった。それからずっと通ってるから、この人は俺の弾きかたの癖なんかもよく知ってる。
今日シフトを空けてあったのもここに来るため。
そして予め伝えていた時間よりちょっと遅く来た俺を、店主のおじさんは大らかに笑った。
「これ、最近弾いてなかったろ」
「……やっぱバレたか。最近アコギばっか触ってたから」
「弾かなくてもフレット磨くぐらい定期的にやれって前も言ったろ。大事な商売道具なんだから。
まあ交換せにゃならんほどじゃないし、ついでに手入れしといてやる」
「助かる~、お願いします」
俺がおじさんと話している間、ごうちゃんはふわふわとギターの並んだ壁の前を漂っていた。
興味があるのかな。もしそうなら、弾きかたを教えてあげたかった。
「そんで? 次のライブの予定はちゃんとあんのか?」
「あ、そうそう。場所は前と同じとこで……」
そのあと俺はすっかりおじさんと話し込んでしまい、ただでさえ遅れていた予定がもっとずれ込んでしまった。
日が高いうちに花見する予定だったけど、このままだと夜桜になりそう。
それもそれで雰囲気あっていいかもしれないけど、それ向けのスポットに行くわけじゃないから、上手く街灯が当たってるようなとこじゃないと花が見えないよな。
ともかく楽器屋を急いで出て、待たせたことをごうちゃんに詫びる。
今日はごうちゃんのための日なのに。いつでも会えるおっさんに時間を割いてしまうなんて痛恨の極み。
「ほんとごめん、せめて駅まで走るわ」
「そんな気にしなくていいのに。イオってわりとすぐ謝るよね、それが悪いって意味じゃなくて」
「ごうちゃんだってわりとすぐ遠慮するじゃん」
「そうかなぁ」
そうだよ、今だってほんとはもっと怒ってくれてもいい。
「でも店長さんとギターの話してるイオ、活き活きしてたよ。やっぱり好きなんだなって感じした」
「まあね、でなきゃギタリストやってない」
「ふふ。……楽しそうにしてるの見てたら、待ってるのも楽しい」
なんて会話をしながら地下鉄に駆け込む。
ええと、このあと残ってるのは花見だけで、そのために買い出しもするつもりだったっけ。あとアコギは家に置いてきたからそれも取りに行く。
真っ暗な地下鉄のトンネルの壁を眺めながら、頭の中の整頓をする。
その間、うっすら窓ガラスに隣のごうちゃんが映ってて、これ他の人にも見えるのかなと思ったりした。
でもそこに映ってる俺の顔も、なんか余裕ないって感じでひきつっている。
まあ実際そうだ。ここまでに書き起こしてきた言葉の断片をまとめて、一本のメロディーに載せるという、いちばん大事な作業が待っている。
ごうちゃんの成仏はそれにかかっている。責任は重大。
しかも完成した暁には、俺は彼女を永遠に失うことが決まっている。
わかっていても、覚悟を決めても、何度自分に言い聞かせても、……めちゃめちゃ胃が痛かった。
ともかく最寄り駅で降りて、俺たちはそのままスーパーへ行った。
ソフトドリンクと、まあ夜桜はほぼ確定になってしまったので、夕飯を兼ねて弁当。それじゃ足りない気がするので惣菜もひとつ。
ごうちゃんは俺のために弁当の栄養バランスを厳しい眼でチェックしていて、もはや彼女というより奥さんみたいだ。
結婚なんてそれ以前の問題が多すぎて考えたことなかったけど、俺の中にもやっぱり少しは憧れの気持ちがあったらしくて、そんなごうちゃんの姿を見て胸が軋んだ。
俺たちの暮らしってある意味同棲みたいな感じだったしね。毎朝おはようを言い合ってた。
なんかまたセンチな気分に呑み込まれそうになった俺は、頭を切り替えるべくごうちゃんに話しかける。
「ごうちゃん、またプリンいる? それとも他のがいい?」
「あー、えっとね、別に何もなくていいよ。そもそも食べられないんだし」
「ほらそれ、やっぱ遠慮しいじゃん」
「ええ……それじゃあ、お花見だからおだんごでいいよ」
何その仕方なく選んでやった感。
俺はちょっと笑いながら、三食だんごをひとつカゴに入れた。
それから、アパートに寄ってアコギとノートを持ってから、俺たちは河川敷のほうへ向かった。
前にここらへんでレジャーシートを敷いてた人たちを見てるから、他にも夜桜見物客がいるかもしれないと思ってたけど、見た感じぜんぜんそんな気配はない。
まあ桜も少し花が減ってきてるから、もうピークは過ぎたんだろう。
ギターの音で怒られないように、できるだけ民家から遠いところを探して歩く。
俺の隣で、ごうちゃんもゆっくり浮いてついてくる。
「そういえば、ごうちゃんにだけ訊いたのフェアじゃなかったから俺も話すよ。
俺の名前。つまり芸名じゃなくて本名ね、……伊織っていうんだ」
「あ……芸名のイオってそこからとってる?」
「うん。まあそれはユウロの提案で。
一応は昔の男の名前らしいんだけど、にしても音が女っぽいでしょ。学生時代とか、絶対クラスにひとりくらいカオリとかシオリとかって名前の女子がいたし、だから俺もずっと名前いじりされてた。
そういう意味でごうちゃんの気持ちわかるわ」
なんでこんな名前にしたんだって、親を恨んだこともある。
まあユウロのアホは考えなしに言ったけどね。変な名前のが覚えられやすくていいじゃん、こういう業界なら有利なんじゃね、とかどうとか。
当時の俺はその適当さ加減に救われて、そのままあいつの口車に乗ってバンドを組んでしまったのであった。
まあそんなことはいいんだけどさ。
男の子みたいな名前のごうちゃん。
女っぽい響きの名前の俺。
最後の最後でどうでもいい共通点が見つかった。それが、なぜかちょっと嬉しかった。
→
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
再び出会うその日まで
あみにあ
恋愛
機内にアナウンスが流れると、私はそっと窓の外へ視線を向ける。
雲を抜け、懐かしい故郷が目に映ると、胸がジワリと熱くなった。
懐かしい、3年ぶりだなぁ。
長かったような短かったような……。
高層ビルが立ち並ぶ風景を並べる中、思い出がよみがえると、私はそっと息を吐き出した。
3年前のあの日、正直に全てを話していれば、何かが変わったのだろうか……。
到着口へやってくると、人がごった返している。
私は避難するように隅へと移動すると、近くにあったカフェへと入って行った。
壁にもたれかかり一息ついていると、ふとラジオの音が耳にとどく。
懐かしい日本語にそっと耳を傾けると、DJのイキイキした声が響いた。
「本日初めのリクエストは、3年前輝かしいデビューを飾った大人気バンドグループ(スターズ)のデビュー曲。みんな知っての通り、卒業シーズンにピッタリの別れの曲だね。それでは【it's time to say goodbye】お聞きください」
ラジオから流れるその曲に、3年前……彼らと過ごした日々がよぎると、私は聞き入るように瞳を閉じた。
3年前、とあるバンドに所属していた少女のお話です。
※なろうでも投稿しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
花影のさくら
月神茜
ファンタジー
少女は山に捨てられた。
齢三つの時に、人の手によって。
自分たちを災害から守るための、人身御供として。
捨てられた少女は、真っ白な大蛇に育てられた。
櫻という、名前をもらって。
数年後の春の日。
山に迷い込んだ青年は、大蛇と少女に出会う。
真っ白な大蛇と、大蛇を「おじいちゃん」と呼び慕う、死に装束を身に纏ったやせぎすの少女。
春の雨に導かれ出会った二人は、【親子】に、【兄妹】に、【生きる理由】に、かけがえのない【大切な存在】になった。
やさしくて、やわらかくて、少し切ないけれど、あたたかな二人の恋物語。
・・・・・・
テーマは【桜】。
本人たちに自覚はありませんが、周囲からすれば恵まれない環境で育った二人が、お互いを知り、想い、恋を知って、幸せになるまでを綴ったハッピーエンドのお話です。
【誰よりも幸せになる】お話ではなく、【人並みに幸せになる】お話になるように心がけています。
小説家になろう様でも同時公開中。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる