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第27話 友人
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流石に大学を全速力で走る俺たちを追いかけてくる人はいなかったようで、様子を見て男子トイレに逃げ込んだ。
「はあ、はあ、凛ありがとう。本当助かった」
「ふー、久々に大学来たと思ったら何やってんの。貸しだからね」
全速力で走ったせいで肩で息をする俺と比べると、凛はかなり涼しげだ。ダンスレッスンなどで鍛えているつもりだったので悔しい。
「ごめん、外で凛待とうと思って教室出たら囲まれた」
「ふーん、さすが"雪の王子様"」
「は!?」
最近俺を取り上げてくれたネットニュースの記事内で使われていた、あまりにも臭すぎるキャッチフレーズだ。
「あ、"忘れられない初恋ビジュアル"だっけ?」
「う、うるさい!馬鹿にしてるだろ!」
「してない、してない」
そう言いつつ、目の前でくすくす笑っている友人は明らかに揶揄う時の表情だ。
凛は印象的な猫目と高い鼻に薄めの唇と彼自身ものすごいイケメンだ。だからこそ余計に腹立たしい。
「なんでそんなの知ってるんだよ」
俺のコアなファンであれば知っているかもしれないが、ちょっとバズっただけの新人アイドルの臭いキャッチフレーズなんて普通の人は知らないはずだ。
「妹がうるさいから」
そう言われてすぐに納得した。凛には双子の妹さんがいて、俺たちが出演していたサバイバル番組の大ファンだ。颯太推しだそうで、デビュー後もガッツリ応援してくれている。
「あー!いつも応援ありがとうございます」
ちなみに凛が俺と友達ということを妹さんは知らない。以前凛に伝えない理由を聞いたところ「めんどくさいから」と言っていた。
「そういえばこの前あいつわざわざ電話してきて、『男子目線で見てこの2人どう思う?』って瑠衣と颯太くんこ動画見させられてかなり気まずかった」
「は!?」
「瑠衣って仕事の時あんな感じなんだね」
「あんな感じ、とは?」
「うーん、なんというか、ちょっとセクシー?さすがアイドル様だわ」
凛はまたしても揶揄いモードのスイッチが入っている。
「うるせー、揶揄うな!」
凛がなんの動画を見たのかわからないが、少し恥ずかしい。
「てか今日の動画SNS上がったら俺が瑠衣と友達なののばれるかな」
「あ、そういえばそうだ。本当ごめん」
そこまで気が回っていなかったが言われてみればその通りだ。これまで隠していた妹さんにバレてしまうのも申し訳ないが、芸能活動も何もしていない友達がSNSなどに上がってしまうこと自体かなり心が痛かった。
「いや、まあ別にいいんだけど」
「迷惑かけて悪かった。今度絶対なんかお礼とお詫びする」
改めて今日は凛がいなかったら大変なことになっていたかもしれない。
「うーん、じゃあ芸能界の綺麗なお姉さん紹介とか…」
「無理に決まってるだろ!馬鹿!」
「はあ、はあ、凛ありがとう。本当助かった」
「ふー、久々に大学来たと思ったら何やってんの。貸しだからね」
全速力で走ったせいで肩で息をする俺と比べると、凛はかなり涼しげだ。ダンスレッスンなどで鍛えているつもりだったので悔しい。
「ごめん、外で凛待とうと思って教室出たら囲まれた」
「ふーん、さすが"雪の王子様"」
「は!?」
最近俺を取り上げてくれたネットニュースの記事内で使われていた、あまりにも臭すぎるキャッチフレーズだ。
「あ、"忘れられない初恋ビジュアル"だっけ?」
「う、うるさい!馬鹿にしてるだろ!」
「してない、してない」
そう言いつつ、目の前でくすくす笑っている友人は明らかに揶揄う時の表情だ。
凛は印象的な猫目と高い鼻に薄めの唇と彼自身ものすごいイケメンだ。だからこそ余計に腹立たしい。
「なんでそんなの知ってるんだよ」
俺のコアなファンであれば知っているかもしれないが、ちょっとバズっただけの新人アイドルの臭いキャッチフレーズなんて普通の人は知らないはずだ。
「妹がうるさいから」
そう言われてすぐに納得した。凛には双子の妹さんがいて、俺たちが出演していたサバイバル番組の大ファンだ。颯太推しだそうで、デビュー後もガッツリ応援してくれている。
「あー!いつも応援ありがとうございます」
ちなみに凛が俺と友達ということを妹さんは知らない。以前凛に伝えない理由を聞いたところ「めんどくさいから」と言っていた。
「そういえばこの前あいつわざわざ電話してきて、『男子目線で見てこの2人どう思う?』って瑠衣と颯太くんこ動画見させられてかなり気まずかった」
「は!?」
「瑠衣って仕事の時あんな感じなんだね」
「あんな感じ、とは?」
「うーん、なんというか、ちょっとセクシー?さすがアイドル様だわ」
凛はまたしても揶揄いモードのスイッチが入っている。
「うるせー、揶揄うな!」
凛がなんの動画を見たのかわからないが、少し恥ずかしい。
「てか今日の動画SNS上がったら俺が瑠衣と友達なののばれるかな」
「あ、そういえばそうだ。本当ごめん」
そこまで気が回っていなかったが言われてみればその通りだ。これまで隠していた妹さんにバレてしまうのも申し訳ないが、芸能活動も何もしていない友達がSNSなどに上がってしまうこと自体かなり心が痛かった。
「いや、まあ別にいいんだけど」
「迷惑かけて悪かった。今度絶対なんかお礼とお詫びする」
改めて今日は凛がいなかったら大変なことになっていたかもしれない。
「うーん、じゃあ芸能界の綺麗なお姉さん紹介とか…」
「無理に決まってるだろ!馬鹿!」
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