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第25話 涙とキス
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そしてついに俺たちの1stファンライブは最後の曲を迎えていた。ところどころ小さなミスをしてしまったが、今できる精一杯を出しきれたと思う。
「それではこれが最後の曲です。聴いてください。"HIGHER"」
颯太の曲振りで前奏が流れ出す。
この曲は俺たちの出演していたオーディション番組のテーマソングとも言える曲だ。
明るい曲調だがどこか懐かしさのあるこの曲がすごく好きで、初めて聴いた時には本当に感動した。
そして今はこの曲をう苦しかったことと楽しかったことを思い出し、胸がいっぱいになる。
曲が終わると、俺は我慢できず、泣いてしまった。辛い涙ではなく嬉しい涙だった。
悩みも尽きないしきっとこれからもっと困難があると思うが、大切なメンバーやたくさんのファンの人たちに囲まれて幸せだ。
「瑠衣くん…!どうしたの?大丈夫?」
曲が終わって、メンバー各自でステージの上を歩きながらお客さんに向けて最後の挨拶をしている時、俺が泣いているのを見つけた颯太が話しかけてくる。
「…だいじょぶ。幸せだな、と思って」
そう言うと颯太は安心したようだ。
「そっか」
涙が止まらない俺をみかねた颯太が抱きしめてくる。
「颯太、これまでありがとう。色々」
「…どういたしまして」
「もう大丈夫だから」
腕を解くように胸板を叩く。
すると颯太は腕を緩め、俺の顔をじっと見つめてくる。
泣いて顔がボロボロになっていないか心配になったので確認するために口を開こうとした。
その瞬間、颯太は俺のほっぺにキスをした。
「はい?」
一瞬何が起こったのか理解できず素っ頓狂な声をあげてしまう。
「…しょっぱい」
そう言って舌をぺろっとする颯太を見て状況を理解した俺は反射的に飛び上がり、颯太の腕を振り払うと春くんのところに走って逃げた。
「えっ瑠衣どうしたの?」
「春くん、俺もう春くんしか信用しないよ」
その出来事のせいですっかり涙は引っ込み、最後は笑顔で来てくれたファンの皆に挨拶をした。
こうして初めてのファンコンサートは大成功で終了した。
「それではこれが最後の曲です。聴いてください。"HIGHER"」
颯太の曲振りで前奏が流れ出す。
この曲は俺たちの出演していたオーディション番組のテーマソングとも言える曲だ。
明るい曲調だがどこか懐かしさのあるこの曲がすごく好きで、初めて聴いた時には本当に感動した。
そして今はこの曲をう苦しかったことと楽しかったことを思い出し、胸がいっぱいになる。
曲が終わると、俺は我慢できず、泣いてしまった。辛い涙ではなく嬉しい涙だった。
悩みも尽きないしきっとこれからもっと困難があると思うが、大切なメンバーやたくさんのファンの人たちに囲まれて幸せだ。
「瑠衣くん…!どうしたの?大丈夫?」
曲が終わって、メンバー各自でステージの上を歩きながらお客さんに向けて最後の挨拶をしている時、俺が泣いているのを見つけた颯太が話しかけてくる。
「…だいじょぶ。幸せだな、と思って」
そう言うと颯太は安心したようだ。
「そっか」
涙が止まらない俺をみかねた颯太が抱きしめてくる。
「颯太、これまでありがとう。色々」
「…どういたしまして」
「もう大丈夫だから」
腕を解くように胸板を叩く。
すると颯太は腕を緩め、俺の顔をじっと見つめてくる。
泣いて顔がボロボロになっていないか心配になったので確認するために口を開こうとした。
その瞬間、颯太は俺のほっぺにキスをした。
「はい?」
一瞬何が起こったのか理解できず素っ頓狂な声をあげてしまう。
「…しょっぱい」
そう言って舌をぺろっとする颯太を見て状況を理解した俺は反射的に飛び上がり、颯太の腕を振り払うと春くんのところに走って逃げた。
「えっ瑠衣どうしたの?」
「春くん、俺もう春くんしか信用しないよ」
その出来事のせいですっかり涙は引っ込み、最後は笑顔で来てくれたファンの皆に挨拶をした。
こうして初めてのファンコンサートは大成功で終了した。
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