人気欲しさにBL営業なんてするんじゃなかった

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第19話 作戦成功

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「こんにちは、皆見えてますかー?7TEMPの春です。今日は久しぶりにメンバー全員でインスタライブです」

『こんにちは!』
『見えてるよー」
『待ってました!』

さっきまでダンスレッスンをしていたのだが、夜になったので全員でインスタライブだ。久しぶりの全員での配信だからか、いつも以上にコメントの流れが早い。

『仕事頑張ってよかった』
『今日も全員顔が良い』
『颯太と瑠衣が隣じゃないの初めて見たwww』

颯太は大体俺の隣に座るが、今日は疎遠作戦のためにあえて1番遠い位置に座ってもらっている。座る位置だけでなく、配信中は話しかけないように口を酸っぱくして伝えてあるので今日こそは問題なく作戦遂行できるはずだ。

スマホでコメントを確認しながら目についたものを適当に拾って返事をしていく。

「さっき『翔髪切った?』ってコメントあったけど翔は髪切ってません!なんなら伸びて鬱陶しいです」

「俺の髪の毛事情をお前が答えるな!」

『瑠衣が答えるのうける』
『髪切ってるどころか伸びてて草』
『仲良しだなー』

すると思い出したように悠馬くんが声を上げる

「伸びると言えばうちの咲人がまた身長伸びましたー!初めて会った時はあんなに小さかったのに…」

喜び方がまるで子供の成長を喜ぶ親のようだ。

余談だがファンの間では7TEMPのお母さんが春くん、お父さんが悠馬くんみたいな空気と言われている。それを見て気を良くした悠馬くんは最近メンバーの父親面するのにハマっているがメンバーには軽くあしらわれている。

「この前学校で測ったら183だったから今は翔くんより高いかも」

咲人はここ一年で10センチくらい伸びた気がする。

「こんなに赤ちゃんなのに…」

俺は隣に座る咲人のほっぺをつんつんするが、鬱陶しそうに手で払われる。

「赤ちゃんじゃなくて高1!」 

すると咲人と同室の大河もここぞとばかりに話に乗ってきた。

「咲人が朝起きれないから俺が毎日起こしてるのに…」

大河が咲人の目覚ましに起こされて寝不足と言う話を聴いたのは一度や二度ではない。

『咲人ベビーフェイスだから背高いの以外』
『大河起こしてあげるの優しい』
『学校頑張って!』
『颯太もちゃんと高校通えてるのかな?』

「そういえば颯…あっいやなんでもない!」

コメントを見てつい反射で"颯太は学校行く日いつも俺が起きたらいないよなー"と言いかけてしまった。ギリギリのところで疎遠作戦中だったことを思い出して止まれたが、あれだけ颯太に釘を刺していたのに自分から話しかけてしまってはどうしようもない。

何か言いかけたことがバレたのか、心なしか颯太から視線を感じる気がするが、ひたすら気づかないふりをする。

「でもそう考えるとうちのメンバーだと高校生組が1番背高いのかー、颯太は会った時から高かったけどいつ伸びたの?」

俺の気まずい内心を知ってか知らずか春くんが会話を回してくれる。本当に頭が上がらない。

「俺は小学校の時毎年10センチくらいずつ伸びて卒業の時にはもう170はあったと思う。私立だったから小学校も制服あって毎年変えてた」

「へー、颯太の小学校時代とか全く想像できないな」

颯太はあまり自分のことを沢山話す方ではないからか、ファンの子達だけでなくメンバーも颯太の子供時代の話に興味津々だった。

「小学校私立って受験したの?」

「親に連れられて受験しました。一応筆記と面接あって…」

「すご!俺幼稚園の時とか何の記憶もないわ」

「いや俺もないです、受験って言っても大体親の面接で決まるんじゃないかな」

颯太は頭も良いのでその言葉が謙遜なのか事実なのかはよくわからない。

「そういうもんなのかー謙虚だな」

春くんも同じように感じたようだ。

「ちなみに小中モテた?」

次は悠馬くんがノリノリで質問する。

「あー、まあ凄いモテました」

先ほどの謙虚さが嘘のようにさらっとモテモテだったことを認める。

「うざ!聞くんじゃなかった」

『颯太がモテないわけない』
『同じ学校の人羨ましすぎる』
『子供時代かわいいだろうなー』

インスタライブを始める前颯太はまだ少し疎遠作戦に納得していないように見えたので不安だったが、今日の感じを見るに大丈夫そうで一安心だ。

そんなこんなで1時間ほどたわいない話をして無事生配信を乗り切ることができた。

「では今日はここまでにします!見てくれてありがとうございました。今僕たちは来月あるファンコンサートのために沢山練習してるのでみんな楽しみにしててね」

「「ありがとうございましたー!」」
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