人気欲しさにBL営業なんてするんじゃなかった

第18話 仲良し？

昨日は色々あったとは言え無事颯太と仲直りし、疎遠作戦の合意も得られたので俺は清々しい気持ちで出勤した。

今日はファンコンサートの振り入れとダンスレッスンだ。大河や春くん、颯太などダンスが上手なメンバーに比べたら決して上手ではないが、ダンスは楽しくて好きだ。サバイバル番組の放送初期から追ってくれている人が俺の上達を喜んでくれるのも練習のモチベーションになっている。

「お疲れ様ー。じゃあ1時間休憩！」

朝からぶっ続けで練習していたが、先生の号令でようやくお昼休みになった。

お昼ご飯はUberで注文したので、到着を待っていると翔がこそこそ話しかけてきた。

「昨日夜部屋に来なかったけど大丈夫だったのかよ」

昨日は颯太がべったりで翔に連絡できていなかった。

「ごめん連絡忘れてた。まあなんとかなったよ、色々ありがとう」

そこで昨日あった出来事を簡単に翔に話した。

「一緒に寝る？…お前それ1番やばいよ」

翔ともゲームしながら寝ることもあるのにそんなふうに言われるのは意外だった。

「やばいって何が？」

「変なことされてないだろうな？まさかあいつと一緒に寝るなんて…俺が面倒くさがって放っといたせいで瑠衣が…」

何故か翔が焦りながら独り言を言っている。

「何もないって！お前、俺たちを何だと思ってるんだよ」

その後も本当に何もなかったのか確認されたが、しばらくして納得したようだった。

===

「瑠衣くん！チキンフィレオセットだよね？持ってきたよ」

いつのまにかUberが来ていたようで颯太が俺の注文したハンバーガーセットを持ってきてくれる

「気がきくなーありがとう」

「あれ颯太、俺の分はー？」

颯太の手には自分の分と俺の分だけしかない。

「俺が知るわけないでしょ。翔が最近太ってきたから気遣って配達員さんが持って帰ったんじゃない？」

「そんなわけねーだろ！配達員さんへの風評被害やめろクソガキ」

「パワハラジジイ怖…」

翔と颯太は2人とも長身イケメンなので並ぶと見目麗しいのだが、口を開くといつもこの感じだ。

「お前ら表で絡んだらもっと人気でそうなのになー」

「「こいつとだけは本当に無理」」

口を揃えて全く同じ台詞で否定してくるこの2人、実は俺の知らないところで仲良しなのかもしれない。