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第13話 悠馬くんに相談
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今日はもうすぐあるファンコンサートのVCR撮影だ。メンバーごとにイメージに合うコンセプトがあり、撮影していく。
俺は今撮影の待ちの時間で暇しているところだ。
「でも正直ちょっと羨ましいよ」
「え?」
「そういうのでキャーキャー言われるのって"そういう"需要があるアイドルってことだろ?それちょっと羨ましい」
「どういうこと?」
「あのサバイバルを生き抜いた時点で俺だって自分に自信あるし、卑屈になってるわけじゃないけどお前らみたいに超王道のキラキラアイドルがベタベタしてるのを見るのが好きな女の子が多いんだよ。俺にはそんな需要ないし」
「悠真くんは歌もうまいし面白いし、顔がいいだけのアイドルより全然すごいだろ」
本心からの言葉だった。まさにサバイバル中からずっと俺が直面している悩みでもあり、顔だけ良くても他の能力がないアイドルは所詮魅力に欠けると思ってしまう。
「そりゃそうだよ!俺は歌もうまいし運動神経もいいしファン対応もいいし、こう見えてトリリンガルで面白くて頭の回転も早くて社交的でとにかくすごい!」
「いや別にそこまでは言ってないけど…」
「でもアイドルの世界ではそのすべての才能をかけてお前の顔面一つとようやく釣り合うか負けるくらいなんだよ。だからそういう絡み的なのを期待されて需要があるの、ちょっと羨ましいってだけ」
「うーん…」
「だからそんな深く考えずにファンの子の期待に応えてあげたらいいんじゃないの?」
「でも、悠真くんからしたら甘えかもしれないけど、俺サイン会のたびにメンバーとのあれこれ聞かれるのメンタルやられるし、女の子が好きなのにSNS上で勝手に彼氏いることにされるの嫌なんだけど…」
「気持ちはわかるけど、誰も本気で付き合ってるとは思ってないって!」
悠真くんが勢いよく言い切った後に、小声で「たぶん」と付け加えたのは聞かなかったことにする。
明らかに颯太を避けまくっている俺と、負のオーラ全開の颯太を見かねた悠真くんに半ば無理矢理ことの成り行きを説明させられたわけだが、話したら少し気持ちが落ち着いてきた。
「でもやっぱりまだムカつくからすぐ仲直りは無理!」
「そう言うなって!高校生の可愛い独占欲だろ?大人になれよ」
悠真くんは俺の肩に手を回しながら懐柔しようとしてくる。
「…ちなみにだけど、全然俺と悠真くんのカップルが好きなファンもいるみたいだから悠真くんも元気だして」
「え、お前と…?」
「うん」
「どんだけ顔が綺麗でも本当に無理。きもすぎ!近づくな」
悠真くんは薄情にも俺を突き飛ばしたうえにそのままどこかに消えていった。
…他人事だと思いやがって!
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「でも正直ちょっと羨ましいよ」
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「そういうのでキャーキャー言われるのって"そういう"需要があるアイドルってことだろ?それちょっと羨ましい」
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「悠真くんは歌もうまいし面白いし、顔がいいだけのアイドルより全然すごいだろ」
本心からの言葉だった。まさにサバイバル中からずっと俺が直面している悩みでもあり、顔だけ良くても他の能力がないアイドルは所詮魅力に欠けると思ってしまう。
「そりゃそうだよ!俺は歌もうまいし運動神経もいいしファン対応もいいし、こう見えてトリリンガルで面白くて頭の回転も早くて社交的でとにかくすごい!」
「いや別にそこまでは言ってないけど…」
「でもアイドルの世界ではそのすべての才能をかけてお前の顔面一つとようやく釣り合うか負けるくらいなんだよ。だからそういう絡み的なのを期待されて需要があるの、ちょっと羨ましいってだけ」
「うーん…」
「だからそんな深く考えずにファンの子の期待に応えてあげたらいいんじゃないの?」
「でも、悠真くんからしたら甘えかもしれないけど、俺サイン会のたびにメンバーとのあれこれ聞かれるのメンタルやられるし、女の子が好きなのにSNS上で勝手に彼氏いることにされるの嫌なんだけど…」
「気持ちはわかるけど、誰も本気で付き合ってるとは思ってないって!」
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