人気欲しさにBL営業なんてするんじゃなかった

第7話 自尊心

「で、その後颯太が個人インタビューのためにスタッフさんに呼ばれてようやく撒けたわけよ」

「近い」

「いつも馬鹿でかいやつと一緒にいるせいで失われた自尊心を今大河で回復してる」

普段颯太にやられている、膝の間に座らせて肩に顎を乗せる芸等を大河相手に逆の立場でやってみている。

「殺すぞ」

大河は俺の一つ年下の19歳で、ダンスが抜群に上手い。サバイバル番組の初回で見せたカバーダンス動画はすでに100万回以上再生されており、俺たちのダンスリーダーだ。

大河はデフォルトが吊り目のへの字のイケメン、しかも性格も一見冷たそうに見えるので初めはみんな少し距離を置いていたが、長く時間を過ごすうちにツンデレなだけと言うことがわかり、普段みんなから揶揄われて可愛がられている。

「瑠衣よりは俺の方が体重重いし俺の方が力もある」

「はあ？お前何キロだよ」

「…おととい測ったら57」

「俺昨日58キロだったから大河の負け！バカが！」

「5センチ背が違うんだから仕方ないだろ！デブ！」

「7センチな！！関係ありません、大河ちゃんかわいいね」

相変わらずバックハグの体制で後ろから大河をくすぐってうちゅうちゅしていると、

バン！！！！

壊れたんじゃないかと思うくらい馬鹿でかい音を立ててドアが開いた。

「瑠衣くんスタッフさんが呼んでたよ」

声の主を見てみると、颯太が部屋の入口に立っていた。

「わかった。じゃあ大河ちゃん俺がいなくて寂しいと思うけど次は颯太に可愛がってもらえよー」

「ふざけんな死ね、馬鹿瑠衣」