可愛い教育実習生とちょっとだけ青春した

キャンディ

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体育祭の勇者

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 ーーちょっとばかり月日は流れ、体育祭当日となった。うちの高校は他のとこよりも体育祭が早いらしいんだよ。まだ六月上旬だってのにな。
 それで、体育祭で何があったかと言うと……ミヅキ先生と一緒にツーショットを撮ることに成功したんだ。
 後から思うと、自分でもびっくりするね。俺ってさ、リア充みたいにはしゃぎまくったりできるような性格じゃないんだ。でも、その日は体育祭のテンションで浮かれていたのかな。なんかその場のノリで、ミヅキ先生に一緒に写真撮ってくれませんかと言ったんだよ。
 そしたらさ、
 「あ、いいよ。けど、スマホ使ってるのはバレないように気を付けてね」
 ミヅキ先生はそう言ってくれたんだ。
 言い忘れていたが、うちの高校はスマホ禁止である。それは体育祭でも例外なく、だ。
 でもな……これは俺の勝手な予想なんだが、あくまで禁止ってのは建前なんじゃないかって思う。だって、周りの生徒も明らかに先生に見えるように使っているし……。何より、本当に厳守させるつもりなら、実習生の先生にだってそのような指示があるはずなのだ。
 ひょっとしたら、こういう行事の日は、多少ハメを外すことは黙認されているのかもしれない。
 ……だったら、先生方に感謝しないとな。
 さて、話が逸れたが、ミヅキ先生とのツーショットだ。
 俺は某呪術系バトル漫画の目隠し白髪最強キャラの必殺技ポーズを真似した。……ちなみに、ミヅキ先生は普通にピースしてた。
 それから、俺はスマホの内カメでシャッターを切る。こういうのは初めてだったので、少し難しかった。
 そして、撮れた写真を見てみると……俺の顔からは生気が抜けていた。まるで、何かに絶望したような、酷い顔だった。
「すいません、俺の顔が死んでいるので、もう一回撮ってもいいですか?」
 俺が先生にそう言うと、先生は笑いながら肯定してくれた。
「それではもう一回……ハイ、チーズ……」
 俺は再びシャッターを切る。
 今度の写真は上手く撮れていた。ミヅキ先生と二人でツーショットを撮れたという事実が、俺はとてもう嬉しかった。
「先生ありがとうございます!」
 俺は先生にありったけの感謝の気持ちを込めてお礼を言い、その場から走り去った。
 それから、友達のところに行ってこの話をしたんだけど、みんな驚いてたね。まあ、こういうことやる奴はこの学校にほとんどいないからな。
 いわゆる学校生活で爪痕を残す勇者というやつになった気分だったね。ちなみにクラスでちょっとだけ話題になってたらしい。体育祭後に、クラスメイトの女子からこの話をされてちょっぴり恥ずかしかったのは内緒だ。

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