ありがとう【完結】

15話 我慢

食事を終えた2人はソファーに座った。


「ユウキの手料理、美味しかったなー」

「よかったっ」

「ところでユウキ…両親には会わないの？」

「え…」

「ユウキを見たら驚くだろうけど喜ぶと思うよ」

「…そのうちね」

「仕事は？何かするの？」

「リオン…明後日休みだよね？」

「えっ…うん」

「どこか行こっか」

「うんっ、行こう」

「どこ行きたい？」

「私が決めていいの？」

「いいよ」

「キャンプに行きたい」

「キャンプ？」

「うん。前にユウキと行こうって言ってたまま結局行かずだったから」

「そうだったね。よしっ、じゃキャンプ行こう」

「やったー！じゃ準備しないとねっ」

「準備は明日、全部やっておくよ。リオンは車出してくれる？オレ免許証ないから」

「うん。わかった。楽しみだなーっ」


リオンはユウキの肩にもたれた。


「もちろん泊まりだよね？」

「うん」

「じゃ…お酒いっぱい買って行こうっ」

「そうだね。久しぶりに飲むからオレが先に酔い潰れちゃうかも」

「ユウキが酔い潰れたとこ見たことなかったから楽しみっ」

「リオン、先にシャワー浴びる？」

「ユウキから浴びて来ていいよ」

「わかった」


ユウキが立ち上がるとリオンも立ち上がりキスをせがんだ。


「いっ…行って来るよっ…」

「…え」


ユウキはリオンに悪いと思いながら逃げるように浴室へ行った。


そしてこの日、お互い背を向けて寝た。


リオンはモヤモヤしていた。


何で避けるの…
前はよくキスしてたのに…
もしかして私だけ恋人気分になってるの？

でも考えてみたら死んだはずのユウキが生き返ってくれたんだ…
それだけでも充分幸せだし欲張っちゃダメだよね…


リオンはそう自分に言い聞かせていた。