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11話 触れられないもどかしさ
しおりを挟む3日後から本社勤務となったリオンは今までの職場と違って皆んないい人ばかりで充実した日々を送っていた。
家に帰るとユウキがいるし幸せだったが、いつ消えてしまうかわからない不安もあった。
「ただいまぁ」
すると急に目の前にユウキが現れた。
「おかえり」
「うわっ、びっくりしたぁ」
「そろそろ慣れてよっ」
「うっ…うん」
「ご飯は?」
「先にシャワー浴びて食べるよ」
「行ってらっしゃい」
「浴室に来ないでよっ」
「はーい」
リオンは急いでシャワーを浴びてキッチンに行きパスタを作った。
「パスタかっ…美味しそうだね」
「いただきます…」
ユウキはリオンの食べてる姿を目の前でじっと見ていた。
「ユウキがいるのに1人で食べるのイヤだな…」
「しょうがないよ。オレ食べれないし」
「…うん」
「リオン、それ食べたらゆっくり話そう。話したいことも聞きたいこともあるし」
「…わかった」
リオンは食事を終えソファーに座った。
「で、聞きたいことって何?」
「うん…リオンはオレのこと怖くないの?」
「怖くないって言ったら嘘になるかも知れない。だけどまたユウキに会えて嬉しい」
「不思議に思わないの?突然現れて」
「私のことが心配だからでしょ」
「…うん」
「色々助けてくれたのもユウキだよね?」
「、、、、」
「でも…どうして私ユウキが見えるんだろ…それにこうやって会話も出来るし…私だけなの?」
「そうだよ」
「そっか…ユウキ、ずっといてくれるよね?」
「それは…」
ユウキは1ヶ月の約束でリオンに会いに来させてもらったのだ。
「ユウキ?」
「あっ…それよりリオン、もし願い事が叶うとしたら何願う?」
「えっ何…急に」
「いいからっ」
「…あの頃に戻りたい。ユウキと付き合ってた頃。そして…あの日ユウキと会う約束しない。そしたらユウキは事故に遭わずに済むし」
「リオン…」
「、、、、」
「過去に戻ること以外で…」
「…ユウキに触れたい」
「え…」
「ユウキの温もり感じたい」
「リオン…」
「でも、そんなの無理だよね。ユウキは透き通ってるし…」
「…そうだね」
ユウキもリオンに触れて温もりを感じたいと思う気持ちは同じだった。
そしてユウキはこの日、リオンの寝顔を見ながらある決心をした。
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