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4話 しつこい部長と嫉妬する女たち
しおりを挟む2015年9月30日 15:00
村山部長とライン交換してから、リオンの携帯には村山部長から頻繁にラインが来るようになった。
会社にいても送られて来た。
この日も同じ社内にいるにも関わらずラインが入ってきた。
“今晩、飲みに行かない?”
正直ウザいと思ったリオンは断りの文章を送信すると村山部長がリオンの所へ来た。
もちろん周りの女性社員たちは一斉にリオンと部長に視線を向ける。
「名井野さん、ちょっといいかな?」
「は…はい」
村山部長はリオンを隣の部屋へ連れて行った。
女性社員たちはザワつき始めた。
「何でしょうか…」
「毎回誘いを断るけど…どうして?」
「正直困ります。そういうつもりでライン交換したんじゃありません」
「わかってるけど…仕事のこと話したいし…社内ではなかなか話せないでしょ」
「仕事のことって…どうして私なんですか?」
「それは…名井野さんがうちの部署で1番仕事出来るし…色々聞いて参考にしたくて」
「じゃ別に飲みに行って話さなくてもいいんじゃないですか?」
「それはそうだけど…この前一緒に飲んで楽しかったから…」
村山部長は寂しそうな顔でリオンを見つめた。
ここの女性たちは、こういう部長を見てキュンとくるんだろうな…
私はこないけど…
「わかりました。わかりましたけど、飲みたければ部長だけ飲んで下さい。私は飲みません」
「え…わ…わかった。じゃ今晩いい?」
「少しの時間でよければ。仕事の話ですよね?」
「うん。ありがとう」
2人が部署に戻ると全員が冷たい目でリオンを見ていた。
リオンは気にせず席につくと女性社員がリオンのそばに来て、村山部長に聞こえないよう小声で話しかけてきた。
「何でアンタが部長に呼ばれたのよっ」
「…仕事のことだけど」
「どんなことよっ。どうしてわざわざ隣の部屋に行くわけ?」
「それは…」
何て言えばいいのよ…
「何よっ‼︎」
「部長に聞けばいいでしょ」
「はぁ?アンタねー」
すると電話が鳴り、電話に出た社員が怖い顔してリオンのとこへ来た。
「アンタ…部長と接待に行ったの⁈」
「えっ…どうしてっ」
「その時の社長がアンタにお礼言いたいから代われって」
ヤバ…嘘でしょ…
リオンは恐る恐る電話に出た。
電話を切ると2人の女性社員にトイレに連れて行かれた。
「何っ?」
「どういうこと⁈何でアンタが接待に行くのよっ」
「取引先に化粧品のことを聞かれたら答える為によ。それだけよ」
「何でアンタよっ」
「知らないわよっ」
「アンタ…部長を独り占めするつもりね」
「何それっ」
「さっきだって…きっとそうよ」
また勝手に決めつけることが始まった…
リオンは呆れて戻って行った。
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