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最終章
最終話 感動の結末
しおりを挟む施設に着くとテルが出迎えた。
「中田くんっ‼︎」
「お久しぶりですっ」
「元気だったー?本当久しぶりだねっ」
今日初めて笑ったスミを見たシュンは隣で寂しそうにしていた。
「兄貴っ、1日ぶりですねっ」
「そうだね」
「あゆみちゃんは元気にしてる?」
「元気ですよ。今部屋にいると思いますよ」
「じゃ後で会いに行こうかな」
「きっと喜びますよっ」
「とりあえずスミ、何か食べに行こう」
「、、、、」
「食べて来なかったんですかっ⁈」
「うん」
「じゃあ食事に行って来て下さいっ」
「うん。行こうスミ」
「行かない」
「え?お腹空いてないの?」
「中田くん、ここ食堂あるよね?」
「えっ…はい」
「私ここで食べるから、1人で行って来ていいよ」
「スミ…」
「あの…お2人…ケンカ中ですか?」
「いや…別に…じゃ俺、行って来るよ」
「僕も一緒に行きますっ」
シュンとテルは近くのレストランに行った。
「テルはお昼…食べたんでしょ?」
「はい。だからコーヒーだけでいいです。それにしても…どうして空港で食べて来なかったんですか?」
「そういう雰囲気じゃなかったし」
「やっぱりケンカしてるんですね。どうしてこんな大事な日に…」
「ここ最近ずっと連絡しなかった俺のせいだよ。それでスミを怒らせた…」
「あっ、そういう事かっ。ちゃんと謝りました?」
「もちろん」
「それで未だに怒ってるなんて…スミさん相当きてますね~」
「まだ14時か…長いなー」
「まぁ何とかなりますよっ。兄貴がフラれないように祈ってます」
「やっぱりその可能性あるよね?信用なくさせたもんな…」
シュンは次第に元気がなくなってきて食事を半分残してしまった。
「これから、夜までどうするんですか?」
「予定ではドライブする…つもり…」
施設に戻ると、結局スミはその気にならずシュンは子供と遊ぶ事になった。
その頃、テルはスミと食堂で話していた。
「兄貴から聞きました。まだ怒ってるんですねっ」
「…何かどう接していいのかわからなくて」
「連絡が取れなかったのって、今回が初めてでしょ?」
「そうだけど。昨日までここに居たんだよね?シュンはそんなに忙しかったの?」
「そりゃ忙しいってもんじゃないですよ。あっち行ったりこっち行ったりで、めちゃくちゃ大変そうだったし」
「そうなの⁈で…何でまた今日も福岡に来たの?」
「それは…まぁいいじゃないですかっ。スミさんを連れて来たかったんでしょう」
「、、、、」
スミはしっくりこなかった。
18時になりシュンはスーツ姿でスミを呼びに来た。
「どうしてスーツに着替えてきたの?」
「いやっ…子供と遊んで汚れたから」
「だからってスーツ?」
「とりあえず行こっ」
「どこに?」
「夕食だよ」
スミはシュンに連れられ歩いて海の方へ行った。
日も暮れ人は誰もいない。
こんなとこに食事する店あるのかな…
しばらく歩くとシュンが止まった。
「ここだよ」
「え…」
そこは全面ガラス張りの小さな建物だった。
中に入るとテーブルの上に料理とシャンパンが並べられていた。
クリスマスツリーも飾られてあった。
「え?ここ何?レストラン?誰もいないけど」
「今日だけのレストランだよ」
「どういう事?」
「いいから座って」
「う…うん」
シュンはグラスに水を注いだ。
「水だけど…乾杯しよ」
「うん」
「乾杯!」
見渡す限り白い砂浜と綺麗な海の景色にスミは見惚れていた。
「食べよっ」
「この料理…誰が作ったの?」
「ちゃんとシェフに作ってもらったよ」
「今日だけのレストランって?」
「この日の為だけに作った。俺たちは最初で最後の客だよ」
「えっ⁈作ったの⁈」
「うん。いいから食べよっ。冷めちゃうよ」
「あっ…うん」
「美味っ」
さすが…一流シェフだな…
「本当…美味しい…」
明かりはキャンドルが灯されており抜群のムードだった。
機嫌が悪かったスミが美味しそうに食べているのを見てシュンは安心した。
「全面ガラスだから、海に囲まれて食事してるみたい」
「うん」
「でも…何でこんなに人がいないの?来る途中も誰一人見かけなかったけど」
「そっ…そうだね」
「クリスマスだからみんな家で過ごしたりイルミネーションを見に行ってるのかな。あっ…プレゼント…何も準備してないっ」
「一緒に居てくれるだけでいいよ」
「、、、、」
シュンからは何もないのかな…
「シュン、お酒飲んでいいよ」
「いや…いいよ」
「私に合わせなくていいのに」
「今日はアルコールなしで…」
「そっか」
「スミ…」
「ん?」
「ごめんね。怒らせて」
「…ううん。私の方こそ大人げない態度とってごめん。シュンが忙しかったのは私の為だったんだね…」
「え…」
「ここ作るの大変そうだもん」
「あっ…う…うん」
「今わかった。これがシュンからのクリスマスプレゼントなんだね」
「え…」
「すごく嬉しいよ。こんな事なかなか出来ないし。ありがとう」
「…喜んでもらえて嬉しいよ」
「でもよくこんなお店作れたねっ。もう砂浜の上だし」
「職人さんにも手伝ってもらったから」
その時スミはシュンの手首に目がいった。
「ちょっと、この傷どうしたの⁈」
シュンは慌てて隠した。
「もしかして…ここ作ってて?」
「大した事ないよ」
「シュン…」
時刻は20時59分になった。
シュンは外を見ながら成功を祈った。
「どうしたの?」
「、、、、」
21時になった瞬間、目の前の真っ暗な景色が一気に青と白のイルミネーションに光り輝いた。
シュンはホッとした。
「えっ、なっ…何これ⁈」
シュンは立ち上がりスミの手を引いた。
「行こっ」
「えっ」
シュンとスミは光に囲まれながら砂浜を歩いた。
「信じられない…すごく綺麗…」
スミはシュンの計画だとすぐにわかった。
シュンが用意したベンチに2人は座り、感動しているスミにシュンは見惚れていた。
「今まで見たイルミネーションの中で1番だよ。光りが海に映って綺麗…」
「本当に綺麗…」
「ちょっとシュン?私ばっかり見てるでしょ」
「うん…」
「どうしたの?何か変だよっ」
シュンは今までの事が甦ってきて感極まっていた。
すると花火が上がった。
「えっ⁈うっ…嘘でしょっ⁈」
何発か上がって最後の一発は文字が浮かび上がった。
「、、、、」
その文字は “愛してる” だった。
「シュ…シュン…」
そしてシュンは立ち上がり同時にスミも立ち上がった。
シュンはスミの目の前に立った。
「スミ…」
「うん」
「俺、スミと出逢えて本当によかったしスミに感謝してる」
「…うん」
「本当に色々あり過ぎて…ここまで時間がかかったけど…」
「え…」
「スミへの気持ちはずっと変わらない。これから先もずっと…」
「スミ、愛してる」
「シュン…」
「結婚しよう」
「、、、、」
スミは嬉しくて涙が溢れてきた。
そしてスミは頷いた。
「よろしくお願いします」
シュンは力いっぱいスミを抱きしめた。
「スミ…ありがとう」
「シュン…愛してる…」
プラグマとは、困難を耐え抜き時間をかけて成熟した愛のこと…
心から愛し合う2人の困難は並大抵の事ではなかった。
非情な出来事も過酷な状況も乗り越え、お互いへの愛を貫いてきた。
相手の為…守るべき小さな命の為に…
~END~
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