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最終章
108話 不機嫌なスミ
しおりを挟む「シュン、シュン!」
「えっ」
「ずっとここで寝てたの?風邪ひくよ」
「あー…もう朝か」
2人は退院の手続きをして病院を出た。
「家に送るから今日は仕事休んでゆっくりするんだよ」
「うん」
「それと…ごめんね」
「え?」
「スミの言葉、無視してあんなマネして」
「、、、、」
「自分なりの考えがあったんだ。本当ごめん」
「…うん。とにかく私はシュンが居ないとダメだから。もう2度とあんなマネしないで」
「うん。もうしない」
「じゃあ…次はいつ会う?今日?明日?」
「来週土曜日に会おう。それまで待って」
「来週の土曜⁈それまで会えないのっ⁈」
「仕事も溜まってるし、色々やる事があって」
「だからって来週の土曜日まで会えないなんて…」
「土曜は一泊で福岡に行こう」
「福岡に⁈施設に行くのね」
「それもそうなんだけど…とにかく土曜日はずっと一緒に過ごそう。それまで待って」
「…うん。わかった」
「あっ‼︎」
「どうしたのっ⁈」
「携帯がないっ‼︎岡田に渡したままだった…」
「確か…シュンの携帯取り上げてポケットに入れてた」
「あー、じゃあ新たに携帯買わなきゃな。今日中に行って来るから」
「番号は変わらないんでしょ?」
「うん」
「じゃ連絡するね」
それからシュンの忙しい日々が始まった。
スミはシュンに連絡するが全く連絡が取れず、メールの返信もなかった。
3日後、スミは昼休みにシュンに電話をかけたが繋がらなかった。
もうっ…何で出ないのっ…
いくら忙しいからって…折り返しの電話もないし…メールの返信だって来ない…
痺れを切らしたスミは岸田に電話した。
「もしもし岸田さん?」
「あっ…スミさん」
「突然電話してすみません。シュンと連絡が取れなくて…シュンはそんなに忙しいんですか?」
「はっ…はい。それに今、出張でこっちに居ません」
「出張っ⁈どこにですか⁈」
「それは…福岡です」
「福岡ですか?そっ…そうですか…」
今週末、福岡に行くのに…
「金曜日に帰って来ます」
「金曜…?あの…岸田さんは土曜日にシュンと私が福岡に行くのご存知ですか?」
「あっ…はっ…はい」
「そっ…そうですか…わかりました」
電話を切った後、スミは疑問に思った。
金曜に帰って来て、また次の日に福岡に行くって…
それにしてもシュンったら出張に行くなら行くって言ってくれたらいいのに‼︎
そして金曜日。シュンは19時過ぎに会社へ戻り、岸田と食事に出かけた。
「準備は無事に終わりましたか?」
「うん。こんなに長くかかるとは思わなかったよ。会社任せっきりでごめんな」
「そりゃ大掛かりですもん。1日2日じゃ終わりませんよっ。でもやっぱり社長はやる事がスゴいです」
「一生に一度の事だからね」
「ですね。それよりスミさんから連絡ありましたよ。社長と連絡が取れないって」
「あっ…ごめん」
「声が怒ってた感じでしたよ」
「そっ、そう…電源切ったままだった…」
「話したら嘘つく事になるからでしょ」
「バレた?」
「まぁ明日はスミさん、ピリピリモードでしょうね」
「そうだね」
シュンが携帯の電源を入れるとスミからの着信とメールが何件も届いていた。
「連絡しないんですか?」
「明日、謝るよ」
「あー、でも全て終わりましたね。被害者が出て残念ではありますけど。それに岡田だって自ら命を捨てて…だけどその分スミさんと社長は苦しめられたし、これからは何も気にせず幸せになれますね」
「スミが1番辛かったはず…本当に全て終わったんだな…」
翌朝、シュンはスミの家に迎えに行くとスミが荷物を抱えて出て来た。
「スミ、おはよっ」
「…うん」
「上着それだけ?もっと厚いコート着て来て」
「どうして?」
「え…きっと寒いから…」
スミは家に入りコートを持って来て黙って車に乗った。
「じゃ、空港まで向かいまーす」
「、、、、」
スミ…かなりご立腹だな…
「スミ…連絡しなくてごめん」
「、、、、」
「今回だけだから。次からは必ず連絡するしメールもするから」
「別に…いいよ」
「スミ?スミちゃん?」
助手席に座っているスミはシュンの方を向こうともせずに外ばかり見ていた。
車内は重い空気のまま空港に到着し、福岡行きの飛行機に乗った。
結局、機内でも一言も喋らず福岡に着いた。
そしてそのまま糸島の施設に行った。
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