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最終章
106話 赤ちゃんを助けて
しおりを挟むシュンとスミは刑事たちと一緒に急いで下に降りて行った。
裕二は歩道に無残な姿で横たわり、周りは血の海になっていた。
あまりにも衝撃的な光景だった為、シュンはスミには見せないように頭を覆って抱きしめた。
それから裕二は運ばれて行った。
下で一部始終を目撃していた黒川社長が心配してシュンに駆け寄って来た。
「社長!だっ…大丈夫ですかっ⁈」
「…うん」
「まさか…こんな事になるとは…」
「スミ…」
シュンはショックで震えるスミをずっと離さなかった。
黒川社長はそんな2人を見て、その場を離れた。
「スミ…大丈夫…?」
シュンはゆっくりとスミの肩を抱くと、スミはお腹を押さえてしゃがみ込んだ。
「どうしたっ⁈」
「お腹がっ…」
スミは苦しそうに言った。
「お腹が痛いのっ⁈」
「う…うん」
シュンはスミを車に乗せ、急いで病院に向かった。
スミは助手席でお腹を押さえてうずくまりながら額からは汗が流れていた。
「スミ!もうすぐ病院に着くからっ」
「…赤ちゃん」
「えっ」
「赤ちゃん…失いたくない…」
「…大丈夫だよ」
シュンはそれ以上何も言えずスミの手を握っていた。
病院に着くとシュンは急いで先生の所へ行き、スミは担架に乗せられた。
「先生っ‼︎お腹に…お腹に赤ちゃんがいるんです!」
「わかりました。急ぎましょう」
スミは処置室に運ばれて行った。
シュンは待合室で祈るしかなかった。
しばらくしてシュンは先生に呼ばれ、スミが寝ている病室に入った。
「赤ちゃんはっ⁈」
「、、、、」
「シュン…何泣いてるの?もしかして…」
「スミ…」
「そんなっ…」
するとスミは目を覚ました。
え…夢…なの?
「スミ‼︎」
「シュン…」
「大丈夫⁈」
「あっ…赤ちゃんは?」
シュンは笑顔でスミの手を握った。
「シュン?」
「大丈夫だよ」
安心したスミは一気に力が抜けた。
「よかった…」
「スミがまさか妊娠してたなんて」
「黒川社長に聞いたの?」
「うん」
「…今夜シュンに報告するつもりだったの」
「そっか…あんな状況で聞いたから正直あの時は驚いたけど、今改めるとすごく嬉しいよ。スミ…ありがとう」
「シュンが喜んでくれて安心した…」
「当たり前だろ」
「きっとこの子はシュンに似て強い子だよ」
「スミ…」
「ん?」
「今から警察署に行って来るね。スミは今日1日入院して明日一緒に帰ろう」
「うん…わかった。あの人は…亡くなったんだよね…?」
「うん…」
「、、、、」
「じゃ…行って来るね。また後で来るから安静にしてて」
そう言ってシュンは病室を後にした。
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