99 / 110
99話 妊娠
しおりを挟む翌朝、スミはシュンから会社まで送ってもらった。
「黒川社長、おはようございます」
「おはようございます。社長の具合は?」
「元気になりましたよ」
「よかった。出勤されたんですか?」
「はい」
「今日まで休めばよかったのに…スミさん今日ランチ一緒に行きません?」
「今日は奥さんの愛妻弁当はないんですか?」
「そうなんです」
「わかりました。行きましょう」
そしてお昼、スミと黒川社長はランチに行った。
「このお店…以前中田とランチに来た事あるんですが美味しいですよ」
「そうなんですねっ」
しばらくして料理が運ばれ2人は食事を始めた。
するとスミは一口食べた瞬間に気持ちが悪くなり口を押さえた。
「どうしました⁈大丈夫ですか⁈」
「すみません…ちょっとお手洗いに行って来ますっ」
スミは急いでトイレに駆け込んだ。
どうしちゃったんだろ…
昨日の夕食が悪かったとか…?
でもそんな感じじゃなかったしな…
スミは特に気にすることなく席に戻った。
「スミさん大丈夫ですか?」
「はい…すみません」
「お口に合わなかったかな…」
「いいえ。そんな事ないですよっ。食べましょう」
スミはスープを飲み、魚を口に入れるとまた気持ち悪くなり再びトイレに駆け込んだ。
まさか…
そういえば…遅れてる…
スミは午後、黒川社長に病院へ行くと言って婦人科を受診した。
「おめでとうございます」
「え…」
「5週目ですよ」
先生はスミにエコー写真を渡した。
「まだ初期ですのでわかりづらいかも知れませんが…」
私とシュンの子供…
スミは嬉しくて涙が出てきた。
その後、母子手帳をもらい会社に戻った。
「すみません、今戻りました」
「どうでしたか?」
「大した事ありませんでした」
スミはバックを机に置こうとすると手が滑り床に落としてしまい、バックの中の物が床に散らばってしまった。
「大丈夫ですかっ」
「あっ…」
黒川が拾うのを手伝い母子手帳を手を取った。
「そっ…それは…」
「これって…スミさん…もしかして病院って…」
「、、、、」
「え?」
「産婦人科に行って来ました」
黒川はエコー写真が目に入った。
「妊娠してました…」
「ほ…本当ですかっ⁈もちろん地曽田社長の子…ですよね?」
「はい」
「そうですか‼︎おめでとうございますっ‼︎そっかー、社長もとうとうお父さんかっ‼︎いやーめでたい‼︎」
「まだ5週目なので安定期に入るまで周りには言わないで下さいね」
「わかりました。社長には?」
「明日会って話します」
「そうですね。社長、昨日休んでるから今夜は遅くなるでしょうからね。明日聞いたら喜ぶでしょうねっ」
スミはシュンにメールして明日の夜、会う約束をした。
7
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる