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97話 脱走

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「岡田が…病院を脱走したみたいです‼︎」

「本当かっ⁈」

「社長、今どこですか⁈」

「今、空港に着いたとこだから…すぐ会社に行くっ」


シュンは急いで会社に戻ると本田弁護士も来ていた。


「社長っ」

「あいつが脱走したって…どうしてっ⁈」

「私も今日聞いたんですが、一昨日の朝食の時に配膳係を襲ったみたいです」

「でも…それでどうやって脱走したんですか⁈」

「配膳係の白衣が脱がされてたからそれに着替えて脱走したんでしょう」

「あいつ‼︎…それで警察は⁈」

「指名手配して探しています」

「金も持ってないし捕まるのは時間の問題ですよね」

「そうですね。遠くにも行けないと思うし」


シュンは激しい頭痛に襲われ頭を抱えた。


「社長っ…大丈夫ですか⁈」

「あちこち行ったり来たりで相当疲れてるんじゃないですか⁈」

「…大丈夫。それよりスミは…」

「伝えました。黒川社長が居るから大丈夫です」

「ああ…。あいつ俺のことわかってなかったんですがスミのことも忘れてるんですかね?」

「それは…わかりません」

「SS社にも行ってないみたいです」

「あんなにSS社のこと叫んでたのに」

「そうなんですよ。普通なら真っ先にSS社へ行くと思うんですが…」

「もしかして…あいつ…演技してたんじゃ…」

「え…」


その時シュンの携帯に警察署から電話が入った。


「地曽田さんですか?」

「はい」

「司法解剖の結果が出ました。今からこちらまで来られますか?」

「はっ…はいっ。今から行きますっ」

「どうしたんですか?」

「司法解剖の結果が出た。今から行って来るよ」

「じゃ僕が運転しますっ」

「いいよ。会社に居て」


シュンは急いで出て行った。


「社長…」

「かなり疲れた感じでしたけど大丈夫ですかね?」

「…社長の体が心配です」


警察署に着くと担当者がシュンに書類を渡した。
シュンが書類に目を通すと、まさかの結果だった。


「…これは」

「毒物が検出されました」

「じっ…じゃあ…」

「殺人の可能性もあるので調べ直します」

「お願いします。斉藤くんが亡くなる前日、本人に100万渡したんですがそのお金も無くなってたので、犯人はお金も持ち逃げしてると思います」

「わかりました。それと斉藤さんに恨みを持つような人間がいたかご存知ですか?」

「…すみません。わかりません」

「わかりました」


警察署を出たシュンは、そのまま柳本グループに行き真っ先にスミが仕事をしている部屋に入った。


「シュン!」

「ごめん…仕事中に」

「いいけど突然でびっくりしたっ」

「驚かせてごめん。今、司法解剖の結果を聞きに行って来た」

「えっ…それでどうだったの?」

「毒が検出された」

「そんなっ!一体誰が…」

「金も盗んでるから強盗殺人だよ。絶対に許せない‼︎」

「でも毒なんてどうやって…」

「あっ、それとスミ!岡田が脱走したの聞いたんでしょ」

「うん…シュンも聞いたのね。驚いたよ。すぐに捕まるよね?」

「金もないだろうし…すぐ捕まると思うけど念の為、気をつけてよ」

「シュンのこと忘れてるんでしょ?私のこともわからないんじゃないかな」

「それは…どうかわからない」

「わかった…」

「スミ、近いうちゆっくり話そう。あゆみちゃんのことも話したいし」

「うん。シュン忙しいんだよね…?」

「仕事も溜まってるしね…また連絡するよ」


スミと話し終えるとシュンは黒川がいる社長室に行った。








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