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91話 斉藤の釈放

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この日、スミは家に帰ると母親がスミをソファーに座らせた。


「どうしたの?」

「今日、地曽田さんが来たわよ」

「そっ…そうなの?」

「知ってたんじゃないの?」

「…うん。ごめん」

「あなたたち会ってたのね。私に嘘ついてまで…」

「ごめんなさい。でも私が勝手に嘘ついてたの。シュンはそれが嫌で…」

「わかってるわ」

「で…お母さん何て言ったの?」

「考えさせてと言ったわ…」

「お母さん…」

「あなたたち2人の問題だし、私がそんなこと言える立場じゃないけど…地曽田さんは私の許可をもらう為にわざわざ来たのよ」

「それは…継母の件もあったし…」

「今まで地曽田さんは私たちと関わってきたせいで酷い目にあってきたでしょ。最終的には刑務所まで入って…」

「…うん。シュンには申し訳ないと思ってる」

「私もそう思うのよ。あんなにいい人を今まで巻き込んでしまって…」

「…うん」

「本当に申し訳ない気持ちでいっぱいよ」

「…お母さん…」

「地曽田さんはスミと別れてからもずっと好きな気持ちは変わらないって言ってたけど…スミもそうなんでしょ?」

「うん…シュン以外考えられない…」

「わかったわ。部屋に行きなさい」


母親はこの日、シュンとスミのことを考え眠れなかった。


2日後、シュンは本田弁護士と会っていた。
シュンは本田弁護士に斉藤の弁護を頼んでいたのだ。


「保釈金で何とかなりそうですか?」

「はい。指示されての暴行なので保釈金で釈放されそうです」

「じゃあ…これ」


シュンは本田弁護士に200万渡した。


「では私が裁判所に納付させていただきます」

「お願いします」

「妹さんはどうなんですか?」

「名医がいる岡山の病院に転院させました」

「そうですか。じゃ斉藤くんは釈放されたら岡山に行かせるんですね」

「はい。釈放の日が決まったら教えて下さい」

「わかりました。では…これお預かりします」


そして斉藤の釈放が1週間後に決まった。


釈放の日の朝、シュンは柳本グループにスミを迎えに行き刑務所の外で待っていた。


「シュン…本当にありがとう。保釈金払ってくれたなんて…」

「妹さんの為だよ」

「…うん」

「黒川社長には話してあるから食事に行って会社に送るね」

「わかった」


すると斉藤が出て来た。
シュンとスミを見た斉藤は立ち止まった。


「斉藤くん…」

「、、、、」


斉藤は申し訳なさそうに下を向いていた。


「顔上げて」

「…彼女さんを酷い目に合わせてしまってすみませんでしたっ」

「、、、、」

「もういいって」

「でも…」

「一発殴らせて」

「シュン…」

「はっ…はい」

「目つぶって」


斉藤は目をつぶり歯を食いしばった。


「シュン、やめてっ」

「いくぞっ」

「はいっ」


するとシュンは斉藤にデコピンをした。


「痛っ…えっ?」

「シュン」

「あー、腹減った。ランチに行くぞっ」

「…地曽田さん」

「行こっ。斉藤くん」

「はっ…はいっ」


3人はシュンの車に乗り、お店に入った。













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