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62話 自作自演
しおりを挟むSS社に着いたシュンは受付に行き、中へ通してもらうと裕二のいる社長室に入った。
地曽田…早速来やがったな…
今日でお前もおしまいだ…
裕二は引き出しからナイフを取り出してポケットに入れた。
シュンは社長室に入ると真っ先に裕二の胸ぐらを掴んだ。
「何するんですかっ」
「お前!スミには手を出すなって言ったはずだ‼︎」
「私は何もしてませんよ~」
「別の男にさせただろうが‼︎」
クソー!この状況では携帯を触れない…
「ちょっと落ち着いて下さいっ。ちゃんと説明しますから。この手を離して下さい」
「何が説明だ!ふざけるなっ」
「じゃあ、私をどうするんですか?」
「この手で殺したいくらいだ。でもスミの為に必死で堪えてるんだ。わかるか?この気持ち」
「あらあらそうですか~」
クソー!斉藤に電話しないと先に進めない…
「お前どこまでスミを苦しめたら気が済むんだ」
「どうなんでしょうね~」
その時シュンの携帯が鳴った。
「…もしもし岸田秘書…」
今のうちだ…
裕二は斉藤に電話をかけてすぐ切った。
「社長、いつ頃出社されますか?」
「あ…ごめん。もうちょっと時間かかる」
「わかりました」
電話を切ったシュンは裕二の前で腰を下ろした。
なっ…何してるんだ…こいつ…
「頼むよ…もうスミを苦しめないでくれ…お願いだから…」
「立てよ!そんな事しても俺はやめねーよ」
「、、、、」
怒らせねーと…
「スミをとことん苦しめてやる。これからもず~っとね」
「何だと…」
シュンは立ち上がった。
「次は強姦でもさせようかな~」
「お前っ‼︎」
シュンが裕二に掴みかかろうとすると裕二はナイフを取り出してシュンの手に握らせた。
裕二はナイフを握ったシュンの手で自分の脇腹を刺した。
えっ…
どっ…どういう事だ…
「ううっ…」
裕二は血を流しながらその場に倒れ込んだ。
「おいっ‼︎お前一体何やってんだよ‼︎」
「お前の…負け…だ…」
「え…」
そこに裕二の指示で斉藤が呼んでおいた警察が駆けつけて来た。
「ナイフを離しなさい」
「ナイフ…?」
シュンは血のついたナイフを持っていた。
ナイフを落とすと3人がかりで警察に取り押さえられた。
シュンは必死で抵抗した。
「俺はやってないっ‼︎こいつが勝手に‼︎」
シュンが裕二を見ると裕二は笑っていた。
こっ…こいつ…
「おい、救急車を呼べ」
「わかりました」
シュンは手錠をかけられ連行された。
その頃、スミはホテルの部屋に居た。
腫れた顔を鏡で見ているとチャイムが鳴った。
誰だろ…でもこの顔じゃ出られない…
スミはドア越しに話した。
「はい」
「あの…昨日社長からお預かりしてた物をお持ちしたんですが」
「じゃあ…そこに置いておいて下さい」
「…わかりました。昨日彼女さんに渡すつもりだったみたいです。ではここに置いていきますね」
しばらくしてスミがドアを開けるとそこには花束が置いてあった。
レストランでシュンがスミに渡すつもりで準備していた花束だった。
私に…?
マリーゴールド?
綺麗…
ソファーに座ってスミはずっと花を見ていた。
マリーゴールドの花言葉って何だろ…
スミは携帯で検索してみた。
変わらぬ愛…
シュン…ありがとう…
嬉しい…早く会いたい…
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