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57話 悪巧み
しおりを挟む20時過ぎ、スミは家に帰った。
「ただいま」
「スミ…おかえり。ご飯は?」
「会社で食べた」
「そう。ちょっとそこに座りなさい」
「うん」
「今日ね…」
「シュンが来たんでしょ?」
「えっ…えぇ。取引き…したの?」
「うん。お母さん反対しなかったんでしょ?」
「…会社の状況考えたらとても有り難かったわ…」
「…そうだね」
「裕二さんが会社を潰しにかかってるみたいね。なんて男なの⁈」
「私が社長だから気に食わないんだと思うけど、絶対あんな奴に負けたくない」
「まさかSS社にいるなんて。会社では勝てないわね。なんて腹立たしいの…」
「お母さん…」
「え?」
「シュンは何かをしようとしてる…」
「何かって?」
「わからないけど…とりあえず今は耐えるように言われた」
「そうなの?でも地曽田さんは間違った事はしないと思うし、うちの会社が潰れないように必死になってくれてるのはわかるわ」
「…うん」
「本当に地曽田さんには助けられてばかりね。こんな形でまた会う事になるなんて思ってもみなかったわ」
「…そうだね」
「スミもこれから地曽田さんと会う機会が増えるわね」
「…大丈夫だから心配しないで。仕事の付き合いだから安心して」
スミ…
あなたたちは未だに想い合ってるのに…
私たちのせいで…
母親はこの日遅くまでスミとシュンのことを考えていた。
翌日、シュンが出勤すると岸田秘書がタブレットを持って来た。
「何?また何かあったの?」
「はい。これ見て下さい」
見てみてるとスミのことがネットに書き込まれていた。
柳本グループの取締役柳本スミはW不倫し、相手を離婚までさせる怖い女。
男グセが悪く社員に手を出しまくっている。
「何だよ…これ‼︎」
「発信先…調べますか?」
「いや、わかるからいい。すぐ削除するようにしてくれ」
「わかりました」
「ちょっと出て来る」
シュンはSS社に行った。
受付を無視して社長室に入った。
おっ、早速来たなっ
待ち構えていた裕二は携帯で録音を開始した。
「すごい怖い顔して、どうされたんですか~?」
「スミのことネットに流したのお前だろ」
「さぁ~どうでしょうね~」
「お前!いい加減にしろよ‼︎」
「本当の事を世間に教えてやっただけじゃないですか~」
「よくそんなこと言えるな‼︎」
「私の幸せな生活を壊したのはあなたでしょ。スミを僕から奪ったくせに」
シュンは必死で殴りたい気持ちを我慢した。
「まぁでも…由希さんの方が魅力あるし夜の方だって…スミは全然させてくれなかったし、あんな女くれてやりますよ」
「お前っ!」
シュンは裕二の胸ぐらを掴んだ。
「私を殺したいでしょ」
「ああ。今までの事を思い出すと殺したくなるよ‼︎」
言っちゃったね…
思い通りの展開になり裕二は心の中で笑った。
「これ以上何かしたら本当に許さないからな」
シュンは裕二を突き離し出て行った。
裕二は引き出しからナイフを取り出した。
地曽田は全てにおいて邪魔者だ…
スミの会社の取引先になりやがって…
俺の邪魔ばかりする男だ…
2度と邪魔出来ないようにしてやる…
俺を甘く見るなよ、地曽田!!
裕二は新たな計画を立てていたのだ。
シュンはスミのことが心配になり、そのまま柳本グループに行った。
「シュン…」
「スミ」
「ネット…見たのね?」
「うん…大丈夫?」
「うん。もう今は削除されてる。きっとあの人よ」
「…会社の人たちの反応は大丈夫?」
「…2人はネット見たみたいで辞めた…」
「え…」
「男グセが悪く社員に手を出しまくってるって書かれてたし…そんな社長の下で働くの嫌よね…」
「デタラメな内容だろ‼︎否定しなかったの⁈」
「うん…結局私は信用されてないって事だから」
スミ…
「私、落ち込んでないからね」
無理に元気に振る舞っているスミを見て、シュンは胸を痛めていた。
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