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52話 保釈金を払った理由
しおりを挟む1週間後、シュンはSS社に行き何とか由希と会う約束が出来た。
この日、由希が地曽田グループに来る事になった。
16時過ぎ、シュンが待つ社長室に由希が入って来た。
「…久しぶり」
「元気だった?」
「ええ…」
久しぶりの再会で2人はしばらく黙っていた。
「聞きたい事があるんだけど」
「…何?」
「あいつのこと…どうして保釈金払ってまで釈放させた?」
「それは…」
「あいつがどれだけ酷い事してきたか知ってるのか?」
「知ってるわ」
「じゃあ…どうして」
「でも人殺してないじゃない」
「え…」
「そうでしょ」
「そういう事じゃないだろ」
「私と裕二さん、婚約したのよ」
「…婚約って…嘘だろ」
「本当よ」
「だからSS社の副社長させてるのか」
「ええ。次期社長よ」
「どうしてあんな奴と…」
「あなたと違って裕二さんは私を愛してくれてた。私の言う通りにしてくれてたし。あの人が刑務所にいる間、私には裕二さんしかいないってわかったの」
「だから保釈金を払ってまで…でも会長がよく許してくれたな」
「父は猛反対だったわ。今、裕二さんの仕事ぶりを見てる状態。父が認めたら社長に就任して結婚するわ」
「じゃあ、あいつは下手なマネは出来ないな」
「もちろんよ。もしまた捕まったりしたら結婚許してもらえないどころかSS社からも追い出されて裕二さんの人生は終わりよ」
「そうだな。わかった」
「安心した?」
「うん」
「シュンはまだあの人と結婚してないの?」
「俺たちは…別れたから」
「えっ…どうして?」
「色々あって」
「…そうなの」
「わざわざ来てもらってありがとう。話が聞けてよかったよ」
「あっ…うん。じ…じゃ…」
「お幸せに」
「ありがとう…」
裕二の現状を知ったシュンは安心した。
窓の外を見ると雨が降っていた。
晴れてたのに…結構降ってるな…
さすがにスミは車置いて帰るよな…
タクシーで帰ってくれればいいけど…
バスだったらまたバス停からが心配だな…
19時前、いつも通りシュンはスミの会社の近くで待機していた。
会社から出て来たスミは駐車場に向かって行った。
まさか車で帰る気か…
シュンは急いで駐車場へ行き車に乗り込もうとしているスミにクラクションを鳴らした。
クラクションに驚いているスミの手を引き自分の車に乗せようとした。
「シュン!なっ…何⁈」
「送るよ」
「いいよ。自分で帰るから」
「雨の日は怖いから運転しないって岸田秘書に言ったんだろ?」
「…大丈夫」
「いいから乗って。濡れるだろ」
シュンは無理矢理スミを車に乗せて走り出した。
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