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43話 好きな気持ちは変わらない
しおりを挟むスミが浴室を出て部屋に行くと、シュンは床に横になっていた。
「今何時?」
「1時半…」
「もうそんな時間か…」
スミも床に横になった。
「え?何してるの?ベッドに行きなよ」
「私だけベッドで寝るのは申し訳ないから私もここで寝る」
「…スミらしいね…」
「え?」
「スミを床で寝かせる訳にはいかないよ。ベッドで一緒に寝よう」
「う…うん」
2人はベッドに入るとお互い背中を向けた。
シングルベッドでは背中を向けても少し動くと体が触れ、2人とも心拍数が上がって全然眠れなかった。
「寝た?」
「いいや…」
「…本当にずっと戻らないつもり?」
「…うん」
「本当は戻りたくない理由が他にあるんだよね?」
「え?」
「言うつもりなかったけど…シュン…知ったんでしょ?」
「…知ったって…?」
「私たちが別れた理由」
「え…何で…」
「お父様から聞いた。だからお継母様がいる家にも戻りたくないんでしょ?」
するとシュンはスミの方を向き、スミの体を自分に向けた。
「スミ…俺、何も知らずにごめん。俺のせいでスミとスミのお母さんを傷付けてた」
「シュンは自分を責めるから言いたくなかった。シュンは悪くない。だけどお継母様がいる限り無理だったの」
「当たり前だよ。スミのお母さんの立場になっても、俺と一緒になるのは反対するに決まってる」
「シュン…別れる時、私…酷く当たってごめんね…」
「辛かったでしょ…?」
スミは黙って頷いた。
「そんな気持ちにさせてしまって…ごめん」
「何も知らずに急に別れ話されたシュンの方がもっと辛かったでしょ…」
「…スミ」
「別れても私…シュンのこと忘れた事なんてなかった」
「それは俺もだよ…」
「シュン…」
「父さんと継母が別れない限り無理だし、だからって父さんは別れるはずない…」
「うん。私…何も求めない。求めちゃダメだから。だけど…」
シュンはスミを抱きしめた。
「もう…何も言わなくていいから…」
「シュン…」
「気持ちが抑えられなくなるだろ…」
シュン…ごめん…
私もそう…こんなのって辛すぎるよ…
スミは久しぶりにシュンの腕に包まれ、いつの間にか眠りについた。
シュンはいつまでもスミを見つめていた。
ごめんね…
スミ…俺のスミに対する気持ちはこれからも変わらない…
だからずっと1人でいるよ…
スミは幸せになるんだよ…
シュンはスミのおでこにキスをした。
朝の日差しでスミが目を覚ますと、そこにシュンは居なかった。
え…もう10時…
窓を開けて外を見ると、シュンは子供たちと遊んでいた。
シュン…
私…どうしようもないくらいシュンのことが好き…
好きでらたまらない…
シュンとはどうにもならないけど…
心の中でずっと愛し続ける…
スミはしばらくシュンを見ながらそう考えていた。
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