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10話 決心

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21時過ぎ、スミは足取り重くマンションに帰り着いた。


「おかえり」

「…ただいま」

「スミ?」


シュンはいつもと様子が違うスミにすぐに気付いた。


「先にシャワー浴びて来るね」


足早にスミは浴室に行った。


シュンの顔がまともに見れない…
何て言おう…
きっと今日のこと聞いてくるはず…


スミはシャワーを浴び終わっても、しばらく浴室から出ずに考えていた。


1時間後、ようやくスミがリビングに行くとシュンがこっちを見ていた。


「シャワー、長かったね」

「あっ…う…うん」

「スミ、何かあった?今日実家に行ってどうだったの?」

「やっぱり反対には変わりなかった…」

「…そうか。理由聞いた?」

「地曽田家とは合わないのと…」

「それと?」

「私…離婚してそんなに経ってないし、まだ再婚は早いって…」

「それが理由?」

「…うん。私1人娘でしょ。だから私のこと心配してるのよ」

「だからお義母さんも一緒に住もうと思ってるんだけど…」

「、、、、」

「それに…それだったら別れなくてもいいし。後はうちの実家と合わないって事でしょ?」

「…う…うん」

「お義母さんがまだ再婚早いって言うならもうちょっと後でもいいし…うちの実家の事はまたお義母さんと話すよ」

「、、、、」

「不安?」

「…そうじゃないけど…」

「俺たちの気持ちは変わらないし、ずっと一緒だよ」


シュン…


「俺も今日、本当は父さんに会う予定だったけど…結局会えなかった。しばらく実家には行かない」

「どうして?」

「スミのお母さんと父さんが会って何話したか気になったけど、もうわかったから」

「…そっか」

「それに…継母と会いたくないし…」

「シュンは何でお母様と合わないの?」

「何でって…本当の母じゃないから」

「だけど…お父様と再婚したし、お母さんだと思わないと」

「そうだけど…何か無理なんだ…人間性が合わないというか…」

「…お父様が悲しむよ。お父様はシュンとお母様が仲良くしてくれるのを望んでると思うよ」

「…スミ…そろそろ寝ようか」

「…うん」
    

2人はベッドに入った。


「スミ…おやすみ」


シュンはスミに軽くキスをして眠った。


シュン…
こんなんじゃ別れられない…
一緒に居れば居るほど辛くなるだけ…
シュンを傷付ける事になるけど、シュンに対する私の気持ちがなくなったって事にするしかない…


“俺たちの気持ちは変わらないしずっと一緒だよ”とシュンが言った事を思い出し、スミはそう考えていた。


翌日、スミは実家に行った。


「話って何?」

「お母さん、シュンとは別れるから1週間待って」

「1週間?」

「うん。私がシュンへの気持ちがなくなった事にするから…すぐのすぐは無理。1週間でも難しいけど長くなると余計に辛くなるから」

「スミ…そんな演技なんて出来るの?」

「するしかない…」

「わかったわ…嫌な思いさせてごめんね」

「別れたら私、柳本グループで働いていい?私がお母さんの代わりをする」

「え?ほ…本当?」

「覚えなきゃいけない事ばかりだけど…シュンを忘れる為にもそうしたい」

「スミ…ありがとう」

「時間かかるだろうけど頑張るよ」

「お父さんも喜ぶわよ」

「…うん」


シュンを忘れる為には何もしないより仕事に没頭する方がいいと考えていた。


そして、この日からスミはシュンに対して冷めた態度を徐々にとっていこうと決めた。








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