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3話 好き過ぎて

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マンションに帰った2人は、先にシュンがシャワーを浴びた。
その後スミもシャワーを終えて寝室に行くと既にシュンは眠っていた。


スミはシュンの隣に寄り添い頭を撫でながら呟いた。


「疲れたのかな…シュン、お母さんのことまで考えてくれてたんだね…ありがとう。もう…どうしよう…シュンのことが好き過ぎてどうにかなりそう…」

「俺も…」

「えっ…起きてたの?」

「俺もスミのこと好き過ぎてどうにかなりそうだよ」


シュンはスミをベッドに寝かせ抱きしめた。


「シュン…」

「スミは子供好き?」

「子供?うん、好き」

「結婚したら子供作ろう」

「うん」


抱き合ったまま2人は幸せそうに眠った。


翌朝、スミは仕事に行くシュンにお弁当を作って持たせた。


「ありがとう。行ってきます」

「行ってらっしゃい」


スミはシュンにキスをした。
シュンは迎えに来ていた秘書の車の後部座席に乗り込んだ。


「社長、おはようございます」

「おはよ」


すると早速スミからメールが来た。


「可愛いっ…」

「えっ?」


メールに夢中になっているシュンをミラー越しに見た秘書は思わずニヤけた。


「社長っ」

「ん?」

「今すごく幸せでしょ?」

「うん」

「社長が幸せそうで僕も嬉しいです」

「岸田秘書はいい人いないの?」

「…はい」

「イケメンだしモテそうなのに」

「はい。モテます…」

「おー、自分で言ってるし」

「だけど…」

「ん?」

「社長、今日飲みに行きませんか?」

「え…今日?いいけど」

「その時に話します」

「じゃあ…家で飲もうよ」

「いいんですか?お邪魔じゃ?」

「大丈夫。スミにも言っとく」


そして19時過ぎ、シュンは秘書を連れてマンションに帰った。


「ただいまー」

「おかえりー」


スミはいつもの癖でシュンに抱きつくとシュンの後ろにいる秘書に気付いて慌てて離れた。


「あっ…岸田さん、お久しぶりです」

「は…はい。どうぞ続けて下さいっ。僕は見てませんので…お邪魔します」


シュンはこっそりスミにキスをして部屋の中へ入って行った。


「どうぞ座って下さい。ビールでいいですか?」

「あっ、はい。ありがとうございます」

「シュン…料理はこんなのでいいの?」

「うん。美味しそうだね!ありがとう」

「よかった」

「あの、この部屋…暑くないですかっ」

「じゃ冷たいビールで乾杯しよう」


すると秘書は一気に飲み干した。


「一気かよ。次は何飲む?ワイン?それとも…」

「ワインでお願いします」 

「はい。料理も食べて下さいね」

「はい!」


秘書はワインを次々に飲み干した。


「岸田秘書…もっとゆっくり飲めよ」

「…はい」

「どうした?何かあった?」

「社長に話があるって言いましたよね?」

「うん」

「実は…」

「あっ、私…席外しましょうか?」

「いえスミさんにも話します。僕の秘密…」

「秘密?」

「聞いたら引かれると思いますけど」

「何?」


秘書は大きく深呼吸した。


「実は僕、女性に興味ないんです…」

「え?」


シュンは黙って秘書を見ていた。


「という事は…わかりますか?」

「え…それって…」

「男が好きなんです…物心ついた時から…」

「そ…そうなんですか」

「引きましたよね…?」


秘書はシュンの顔を見れなかった。


「何で?」

「えっ?」

「へぇー、そうだったんだね。ちょっとビックリしたけど…そんな事では引かないよ‼︎」

「社長っ…」

「別に周りに迷惑かける訳じゃないし、そんな事で差別しないよ」

「本当ですか?」

「当たり前だろ。話してくれてありがとう」

「スミさんも…引いてませんか?」

「私もシュンと同じ気持ちですよ」

「うわー、よかった‼︎打ち明けてスッキリしました」

「でも…もったいないな。女性からモテるのに」

「社長ほどじゃないですよ」

「やっぱりシュンはモテるんですね…」

「会社の女性社員はほとんど社長にメロメロですよ」

「岸田秘書っ」

「へぇー、そうなんだー」

「スミ、全然そんな事ないからっ」

「スミさん安心して下さい。社長は若くて可愛い社員にも目もくれませんから」

「若くて可愛い…?」


拗ねたスミを見てシュンは笑い、秘書もつられて笑った。


「なっ…何?」

「スミさんって…意外と嫉妬深いんですね」

「そ…そんなんじゃ…」

「もう!可愛すぎるんだけど。毎日会社に連れて行こうかな」


シュンはスミの頭を撫でた。


「本当に私を会社に連れて行くの?」

「冗談に決まってるだろ~。何?毎日俺を監視したいの?」

「もぉ~」


スミはシュンの鼻を強くつまんだ。


「痛っ」


そんな2人が戯れ合う姿を秘書は羨ましそうに見ていた。


本当にお2人はお似合いです…
今まで辛い思いしたんですから…
これから幸せになって下さい…


そう心の中で思っていた。





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