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第2章
101話 面会
しおりを挟む裕二のことはニュースでも取り上げられた。
結局は偽造、放火、会社のお金を持ち逃げした事に加え監禁、暴力の罪で15年の懲役が科せられた。
裕二が捕まって1ヶ月後、スミとシュンは離婚届を持って裕二の面会に行った。
「ここで待ってるから」
「うん」
「スミ…大丈夫?」
「大丈夫だよ」
スミは面会室へ向かった。
スミが椅子に座って待っていると手錠をかけられた裕二がやつれた顔で入って来た。
「ス…スミ⁈」
「、、、、」
「何だよ、何しに来た?」
「これ書いて…」
スミは離婚届とペンと印鑑を仕切りの隙間から渡した。
「俺が書かないと先に進めないって事か…」
裕二はしばらく離婚届を見つめペンを手に取った。
「わかったよ。書いてやるよ」
手錠が邪魔をして書きづらそうだったがゆっくりと書き始めた。
「裕二…どうして遺言書の偽造なんてしたの?そこまでして会社を手に入れたかったの?」
「そうだよ。俺は金持ちになりたかったんだ。ずっと貧乏な生活してたからな…」
「だからって‼︎」
「お前の親父が悪いんだ。俺のこと嫌ってたから」
「裕二のやる事が全く理解出来ない…」
「別に理解してくれなくていいよ」
「私とシュンが死んだと思ってたでしょ?生きてて残念だった?」
「ああ。まさかあの状況であいつ逃げずにスミを助け出すとはな。俺なら1人で逃げてる」
「…これからは真っ当に生きて」
「、、、、、」
裕二は書き終えた離婚届をスミに渡した。
「ありがとう」
面会終了の時間が近づいて裕二は出口に向かう途中に立ち止まり振り返った。
「スミ…」
「え?」
「…今までごめんな」
そう言って裕二は行ってしまった。
初めて真剣に謝ってくれた…
裕二…色々あったけど…ありがとう…
さようなら…
スミは心の中でそう呟いてシュンの元へ行った。
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