プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
92 / 102
第2章

92話 新たな遺言書

しおりを挟む

それから2日後、いまだにスミのことを引きずっているシュンだったが仕事だけは疎かにしなかった。
その反動で仕事が終わると一気に力が抜け何もする気が起こらなかった。

19時過ぎにシュンが帰ろうとすると専務から電話がかかってきた。


「もしもし社長」

「…うん」

「今から柳本グループに来れますか?」

「え?今から?」

「ロッカーを見つけたんです‼︎S-0123と書いてあるからきっとこれです!」

「あいつの部屋か?」

「いいえ別の部署の使用してない部屋のロッカーです。社長今鍵持ってます?」

「うん」

「柳本はもう帰りましたので来て下さい」

「…わかった」


シュンは柳本グループに向かった。
到着すると入り口で専務が待っていた。


「こちらです」


シュンは専務に連れられ中へ入って行った。


「社長…どうかされました?」

「え、どうして?」

「何か電話の時もそうでしたけど元気がないような…」

「それが…スミと柳本やり直す事になったみたいなんだ」

「えっ…冗談でしょ?まさかぁ」

「信じたくないけど」

「ど…どうしてですか⁈そんなのダメですよ!スミさんは何て⁈」

「スミとは話してない。会ってくれないんだ。あいつが会社に来て…」

「嘘ですよ!柳本の言う事なんて嘘に決まってます。またスミさん何かされてるんじゃ…」

「そう思ったけど…スミの母親が会いに行ったらしくて、スミは幸せそうにしてたみたい。お母さんは嘘つくような人じゃない…」

「…信じられない…どうして急に…あんなに社長のこと想っていたのに」

「専務、もう…うちに戻って来いよ。ここに居る必要ない」

「そ…そうですね。近いうちにそうします。ただ…ロッカーに何が入っているかだけ確かめましょう」


ロッカーの前で2人は立ち止まった。
あまり気が乗らないシュンだったが鍵を差し込んで扉を開けた。
中には会社の書類や資料が入っていた。


「何でこんなとこに書類がたくさん入ってるんだ…特に必要ない書類なのに…」


シュンがゴソゴソ探していると手が止まった。


「こ…これ…」

「何ですか?それ」

「遺言書?」


シュンが白い封筒を手に取ると表には遺言書と書いてあった。


「どうして遺言書がこんな所に⁈誰の遺言書ですか?」

「…わからない」

「封が閉じてありますね…どうします?」


シュンはしばらく封筒を見つめていると何故か嫌な予感がした。


ま…まさかな…


そう自分に言い聞かせたシュンは封を開け読み始めた。


シュンは目を疑った。


「どうしました⁈社長…?」

「こっ…これは…」


それはスミの母親から見せてもらった遺言書とは内容が違う、スミの父親の遺言書だった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫は平然と、不倫を公言致しました。

松茸
恋愛
最愛の人はもういない。 厳しい父の命令で、公爵令嬢の私に次の夫があてがわれた。 しかし彼は不倫を公言して……

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

あなたが居なくなった後

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。 まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。 朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。 乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。 会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

処理中です...