91 / 102
第2章
91話 我慢
しおりを挟む裕二はスミの母親が帰った後すぐに急変した。
「スミ!よくやったじゃないか‼︎お義母さんは俺たち見て安心してたな」
そう言ってスミの手に手錠をかけた。
「何だその目は、何か言いたそうだな」
「…これ…いつまでするの…?」
「そうだなぁ~お前のことが安心できるまで…」
「安心できるまでって…」
「まだまだだな。あっ、それと今日あいつと話して来たから」
「…えっ」
「あいつショック受けてたなぁ~」
「裕二、何て言ったの⁈」
「何って、スミとやり直すって言ったんだけど?」
「それでシュンは何て⁈」
「お前っ!俺の前であいつのことシュンって呼ぶな‼︎」
「ごっ…ごめんなさい…あの人は何て⁈」
「信じなかったから録音聞かせてやったよ」
「録音って?」
「お前の言葉だよ。裕二のこと愛してるぅ~って言っただろ」
「えっ⁈そんなこと言ってないし」
「あ~覚えてないのか…あの日カフェで言っただろ」
「カフェで…?」
「薬が効いた頃で覚えてないか」
「あっ…あれは…そう言ったら離婚届書くからって裕二が言ったからでしょ⁈」
「引っかかる方が悪いんだよ‼︎バーカ!」
「…そんなの聞かせたなんて」
「おい!シャワー浴びに行くぞ」
「…ひどい…」
「おいっ‼︎」
裕二はスミの髪を引っ張って浴室に行った。
シャワーを浴びながら裕二はスミの火傷の跡を目を細めて見ていた。
「俺さぁ~かなり欲求不満なんだけどその傷見たらヤル気失せるな。なんか膿みたいの出てるし。1週間もすればさすがに治ってるだろうから来週抱いてやるよ」
「え…」
「もちろん服は着たままでな」
絶対に裕二とはしたくない!
それまでに何とかしてここを出ないと‼︎
スミは裕二に抱かれるなんて考えたくもないしあり得ないと思っていた。
すると裕二がシュンからもらったネックレスを触ってきた。
「お前これずっと付けてるな。よく見るとこれ…ダイヤじゃないか」
スミは必死で隠そうとする。
「あいつにもらったんだな⁈」
「ち…違う」
「うるせー」
裕二はネックレスを引きちぎった。
「やめてっ‼︎」
「あーイライラする」
裕二はちぎったネックレスを外に投げ捨てた。
この日は手錠をかけられたままスミは狭い部屋に閉じ込められた。
裕二…許さない‼︎
何もかも酷すぎる‼︎
私1人ならとっくに裕二を殺してる…
とにかく弱気になんかなれない…
ここを出るまでは…
シュンと母親を悲しませる訳にはいかないスミは必死で殺意を抑えていた。
2
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説


あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】


彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる