プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第2章

89話 監視

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家に帰り着きスミを部屋に閉じ込めた後、裕二は会社へ行った。


スミは逃げ出す事を考えるが、部屋には窓もなく携帯も取り上げられているのでどうする事も出来なかった。


シュン…心配してるよね…
シュンはきっとここに探しに来る…
でも…もし母の所へ行ったら…
私と裕二がやり直すことを聞かされる…
そしたらシュンは…
お母さんに気付いて欲しかった…
シュン…会いたい…


スミは狭い部屋の中でうずくまりシュンのことばかり考えていた。


18時過ぎに裕二が帰宅するとスミを部屋から出し夕食を作らせた。


ここでまた衰弱しちゃいけない…
自力でここを出てシュンの元へ行かなくちゃ…


そう思ったスミは久しぶりに無理して食事した。


「お前も腹減ってたんだな‼︎これからはちゃんと食べろよ」

「…うん」

「それよりお前、今日実家に行った時お義母さんに目で訴えてただろ⁈」


裕二は急に思い出してキレ始めた。


「えっ…そんな事ないけど…」

「いいや俺はちゃんと見てたんだからな。後でお仕置きしてやる」


スミはせっかく食事できていたのに食欲がなくなり箸を置いた。


「もう食わないならシャワー浴びるぞ」

「え…」

「これからは一緒に入るんだ。お前は目を離せないからな」


スミは仕方なく裕二と浴室に行った。
服を脱ぐと裕二はスミに手錠をかけた。


「なっ、何するの?」

「お前は何するかわからないからな。体は俺が洗ってやるよ。火傷の跡は痛々しいから俺が見えないように隠しとけよ」


浴室から出ると早速裕二はリビングの床にスミをうつ伏せに倒して背中に足を乗せた。


「さーて、お仕置きだ。起きろ」


スミが起き上がると裕二はウイスキーをグラスに注ぎスミに無理矢理飲ませた。
思わずスミは吐き出した。


「ちゃんと飲め!ほら」


スミは我慢して飲んだ。


「今日のお仕置きは優しい方だろ。今度また俺を怒らせたらもっと酷いことしてやるからな‼︎」


スミは吐き気がしてトイレに駆け込んだ。
裕二も慌てて後を追いスミが吐いているのをただ見ていた。


「いいか?お前を部屋から出してる時は常に俺と一緒だからな。トイレもな‼︎」


そして手錠を外しスミをまた部屋に閉じ込めた。



1週間後、スミと連絡が取れなくなったシュンは痺れを切らしてスミの実家へ行った。


「ち…地曽田さん!!」

「突然すみません」

「どうしたの?」

「あの…スミさんと連絡取れなくて。もしかしたらこちらに居るんじゃないかと思いまして」

「えっ、居ないけど」

「…そうですか…」

「ちょっと上がりなさい」

「はっ…はい。失礼します」


2人はソファーに座る。


「スミからは何も?」

「先週メールしたのが最後です。九州に旅行へ行ってたみたいで…電話しても話したくないからって出てくれなくて」

「え…」

「なのでスミから連絡が来るまで待っていたんですが…昨日電話してみたら電源が入ってなくて…今現在もそうなんです」

「そ…そうなの…」


スミ…地曽田さんに話してないのね…⁈
でも何でかしら…


「スミに何かあったんじゃ…」

「実は…」

「え?」

「実は先週家に来たの…」

「…スミがですか?」

「…ええ。裕二さんと2人で…」

「えっ…どっ、どうして…」

「あの2人…やり直すみたい」

「やり直…す…?」

「2人でじっくり話したみたいで結局離婚しないって」

「スミが…そう言ったんですか⁈」

「…そうよ。あなたには何も言ってなかったのね」

「そんなの…あり得ません…」

「私も突然だったから驚いたわ。地曽田さんには何も言わないなんて本当に自分勝手ね…スミらしくない…」

「じゃ今スミは家に戻ってるんですか?」

「ええ」


シュンは立ち上がり帰ろうとするが母が引き留めた。


「やめなさい。あなたの気持ちもわかるけどちょっと待って。私から話を聞いて直接あなたに連絡させるから」

「おかしいと思いませんか?急にやり直すなんて…最近まで自分と約束もしていたし離婚の事で弁護士に相談するようにしていたんですよ」

「そっ…そうなの?」

「スミは普通でした?体調悪そうにしてませんでした?」

「そうね…少し元気はなさそうだったけど」

「また何かされてるに決まってる…」

「あなた仕事でしょ?私がスミに連絡取って…あっ、電源切ってるのね…裕二さんに連絡してみるから…あなたは動かないで」

「しかし…」

「私も複雑なのよ。せっかくやり直す事になったのに…また揉めたら。あなたには悪いけど少しだけ目をつぶって」


シュンは仕方なく会社に戻った。


母親はスミが来た時のことを思い返していた。


確かに元気なかった…
あの子…まさか裕二さんに言わされてないわよね…
まさかね…
でも地曽田さんに何も言わずに裕二さんとやり直すなんて…
本当にあの子らしくない…


母親は裕二に電話してみた。


「もしもし裕二さん?」

「あっ、はい…お義母さん」

「スミの携帯繋がらないみたいだから」

「あっ、地曽田から電話がかかってくるので電源切ってるみたいです」

「そ…そう。あなたたち本当にやり直してるのよね?」

「もちろんです。仲良くやってます」

「さっき地曽田さんがスミのこと心配して家に来たわよ」

「えっ…」

「ちゃんと地曽田さんに説明するようにスミに言っといて。じゃないとあの人可哀想よ」

「わかりました」


母親との電話を終えると裕二はシュンに電話をかけた。


「…はい」

「もしもし柳本ですけど」

「お前っ…スミは⁈」

「今日の夕方そちらの会社の近くに行きますので時間作って下さい。話があります」

「スミも一緒か⁈」

「僕1人です」

「スミにまた手荒なマネしてないだろうな⁈」

「する訳ないじゃないですか~。では後ほど」



そう言うと裕二は電話を切った。







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