87 / 102
第2章
87話 2度目の監禁
しおりを挟むこの日、弁護士と会っていたシュンは22時過ぎに帰宅してスミに電話をかけた。
出ないな…
もう寝てるのかな…
シュンはメールを送った。
『スミ…寝てるのかな…
今日弁護士と会って来たよ。
間違いなく長引きそうだよ。
明日ゆっくり話そう。おやすみ』
メールの内容を勝手に見た裕二はスミの携帯を床に投げつけた。
あいつ…
弁護士立てようとしてるのか!!
フフッ…無駄な事しやがって!!
そしてしばらくするとスミが目を覚ました。
え…ここは…?
えっ⁈何これ‼︎
スミはロープで縛られていたのだ。
目の前に裕二が座って酒を飲んでいた。
「ゆっ…裕二っ‼︎」
「起きたか」
「ど…どうして?どうしてここに居るのよ‼︎」
「お前が眠ったからわざわざ家に連れて来たんだよ。懐かしいだろ。俺たちの家」
「眠ったって…え?ま…まさか…」
「そうだよ。カフェオレに睡眠薬入れてやった」
「そ…そんな…じゃ離婚してくれるって言ったのは…」
「する訳ないじゃん。名演技だったろ俺?」
「…あなたって人は‼︎こんな事が許されると思ってるの⁈」
「うるせーな‼︎またガムテープで口塞ぐぞ!」
スミは必死でロープを解こうとするがびくともしない。
嘘でしょ…嵌められた…
「今回は逃がさないからな‼︎」
「…少しでもあなたの言う事を信じた私が馬鹿だった…」
悔しくて涙が出てきた。
「あらら…泣いちゃって。可哀想に」
裕二が雑巾でスミの目から流れる涙を拭こうとするとスミは裕二の顔に唾を吐いた。
「おっ、お前‼︎何しやがる‼︎」
「あんたは最低最悪のクズよ‼︎」
「何っ!!お前ーっ!!」
頭に血が上った裕二は思い切りスミを蹴り飛ばした。
スミは必死で我慢した。
「もっとやりなさいよ‼︎」
すると裕二は蹴るのを止めた。
ちょっと待てよ…
見えるとこにアザができたらヤバいな…
そう思った裕二はお湯の入ったポットを手にした。
「え…なっ何するの⁈」
裕二はポットのお湯をスミの胸を目がけてかけた。
スミは必死で歯を食いしばった。
「俺様に唾かけやがって!何が最低最悪のクズだよ‼︎ふざけやがって‼︎」
スミは我慢できず熱さのあまり床に倒れ込んだ。
「どれどれ」
裕二はスミを縛っているロープの間から服をめくり胸を見た。
「あらら大変、ただれてるよ。冷やさなきゃね」
そう言うと裕二は蛇口からバケツに水を汲みスミに思い切りかけた。
びしょ濡れになったスミはぐったりし言葉も出なかった。
「俺を怒らせるとこういう事になるんだからな!調子に乗るんじゃねーぞ‼︎」
そのまま裕二はスミを放置して寝室へ行った。
翌朝起きてきた裕二がスミの様子を見に行くと、スミはびしょ濡れのまま寒さで震えていた。
「おい!いつまで横たわってんだよ。ロープ解くから起き上がれ」
スミはゆっくり起き上がった。
「今日は俺、会社行かずにここに居るからロープ解いてやるだけだからな」
ロープを解くとスミにスウェットを渡した。
「これに着替えろ」
スミはスウェットを手にして着替えに行こうとした。
「おい‼︎ここで着替えろ」
スミは言われるがままその場で着替えた。
「胸の周り火傷ですごい事になってるぞ。さすがにあいつに見せられないね。あまりの酷さに引かれちゃうよ」
スミは涙が溢れ出した。
「あらら可哀想に。大丈夫だよ、もうあいつに会うことはないから」
その後も裕二はスミをずっと監視し、夕方になった。
「夕食作れよ。食材は買っといてやったから」
スミは黙ってキッチンへ行った。
「おい!返事くらいしろよ‼︎」
「…はい」
裕二はキッチンに立つスミの背後に回るとお尻を触った。
「これからは俺の言う通りにしろよ。わかったか⁈」
「…はい」
「抱いてやってもいいけどお前の火傷の跡見たらしばらく無理だわ…ちょっと失敗したな…」
今すぐにでも殺したい…
完全にイカれてる…
野菜を切っている包丁を見ながらスミは必死で我慢した。
裕二は食事が終わるとスミを浴室に連れて行った。
「シャワー浴びろよ。俺がちゃんと見てるから」
スミは黙って服を脱ぎシャワーを浴びてみたが胸の火傷が疼き出し思わずシャワーを止めた。
「あ~無理だな。早くその傷隠して出ろ!俺がシャワー終わるまでそこに座ってろ」
裕二は浴室を出るとスミをまたロープで縛り、以前監禁した部屋に閉じ込めて外から鍵をかけた。
「今回はちゃんと布団があるだろ‼︎感謝しろよ!」
そう言って裕二は寝室に行った。
スミにとって2度目の監禁生活が始まった。
6
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説


愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる