プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
85 / 102
第2章

85話 追い込まれた裕二

しおりを挟む

翌日、スミから裕二が離婚に応じない事を聞いた母親は裕二を呼び出した。


「仕事中なのに急に呼び出してごめんなさいね」

「いいえ」

「今日はあなたに話しがあって」

「…はい」

「スミと別れてちょうだい」

「…何言ってるんですか」


ある程度の予想をしていた裕二は驚かなかった。


「スミは別れたがってるの。母親だからスミの幸せ願うとそうして欲しいの」

「お義母さん、目を覚まして下さい。今までのお義母さんらしくないですよ。会社のこと思うなら僕が必要なはずです」

「今までの私がおかしかったのよ。会社会社でスミの気持ちなんか考えてなかった」

「そんな…会社はどうするんですか⁈」

「しばらくは私が見るわ」

「えっ…ダ、ダメですよ‼︎お義父さんの願いはどうするんですか⁈僕はその為に必死で頑張ってるんです‼︎」

「主人には悪いけどスミの為よ。本当にごめんなさい」

「そっ…そんな」


すると母親は離婚届を出した。


え…


「書いてちょうだい」


マ…マジかよ…


「スミと話してもあなたは応じないようだから、もうここでハッキリさせましょ。このままズルズル行っても時間の無駄でしょ」

「、、、、、」

「まだあなたも若いし今からでもやり直せるわ」


すると裕二がいきなり跪いた。


「ゆ…裕二さん!何してるの⁈」

「お義母さん…僕はやり直せるならスミとやり直したいです。スミが居ない人生なんて…死んだ方がマシです」

「ちょっと…立ち上がりなさい」

「お義父さんの為に離婚は出来ません。離婚なんかしたらお義父さんが悲しみます‼︎」

「それは言わないで‼︎」

「それに昨日スミはお義父さんの話が出ると迷ってました」

「えっ?そんな訳ないでしょ」

「長年一緒に居たから口に出さなくてもわかるんです。僕はスミを心から愛してるんです。結婚式の時だって幸せにすると誓いました。今からでもスミとやり直して幸せにしますので信じて下さい。会社だって僕が大きくしていきます。だから…だから…」


裕二は号泣しながら何度も頭を下げた。


「…裕二さん」

「僕がスミを説得しますので。わかってもらえるまでスミに何度も頭を下げます」

「私もあなたとスミが上手くいく事が1番いいと思ってたけど…スミが別れたがってるのよ。わかってちょうだい」


裕二は頭に血が上って必死で暴れるのを我慢していた。


「裕二さん?」

「必ずスミを説得します」


そう言うと裕二は部屋を出て行った。


クソババァ…スミの味方ばっかしやがって!!


会社に戻った裕二は暴れまくり部屋中をめちゃくちゃにした。
その音を聞いて駆けつけた専務が社長室に入るとその光景にあ然とした。


「しゃっ、社長‼︎何してるんですか⁈」

「今から出かける。片付けとけ‼︎」


裕二は派手に散らかしたまま社長室を出て行った。

専務は仕方なく片付けていた。


何て奴だ…何でも物に当たって…


床に散らばっている書類をまとめ机に置いていると引き出しが気になった。


この鍵がかかっている引き出し…
一体何が入ってるんだ…


専務はその引き出しの鍵を探した。
他の引き出しの中を調べると奥に鍵があった。
その鍵を気になった引き出しに差し込んでみると…開いた。

ゆっくり引き出しを開けると中には小さな紙と1本の鍵が入っていた。


え…鍵…S-0123…?

紙にはS-0123と書いてあった。


怪しいと思った専務は小さな紙と鍵をポケットに入れ、引き出しを元に戻した。



その頃、裕二は探偵から教えてもらった住所を見てスミが住んでいるマンションに行っていた。


ここか…
高そうなマンションに住みやがって…


部屋番号がわからない裕二はどうする事も出来ず、いつ出て来るかもわからないスミをマンションの近くで見張る事にした。


これだけセキュリティが万全だったらどうしようも出来ないな…
仕方ない…
毎日ここから見張ってスミが出て来た時に捕まえるしかない…


この日は18時まで見張ったがスミは現れないので諦めて帰った。



20時過ぎ、シュンは専務と一緒にスミの居るマンションに行った。


「黒川さん!」

「ど、どうも…」

「専務が話があるって言うから一緒に来てもらったんだ」

「そうなの…じゃ私、席外そうか?」

「大丈夫です!すみません急に押しかけて」

「全然大丈夫ですよ。どうぞ上がって下さい」

「あ、はい。お邪魔します」

「私、別の部屋に居るね」

「ここに居ていいのに」

「見たいドラマがあるから」


そう言ってスミは別の部屋に行った。


「気を遣わせちゃったかな…」

「申し訳ないです…」

「で、話って何?」

「これなんですが…」


専務は小さな紙と鍵をシュンに渡した。


「これは?」

「柳本の鍵がかかっている引き出しの中に入っていた物です」

「この紙と鍵が?」

「はい。怪しいと思いませんか?」

「…うん。でもよく鍵見つけて開けられたね」

「片付けていたら別の引き出しに鍵が入っていて…その鍵で開きました」

「こんなの持って来たら柳本に気付かれるんじゃないの?」

「しばらくは大丈夫かと…開けた鍵だって書類だらけの引き出しの奥に入ってたし。鍵がかかっている引き出しは今まで見る限り柳本は開けてないので」

「…そっか。一体この鍵はどこの鍵なんだ…S-0123って何だろ…?」

「もしかしたら社内にある書類入れの鍵かも知れません。たくさんあるので調べてみます。きっと知られたらいけない物が入っていると思います」

「だとしたら不正な書類とかだろうな」



この時2人はまさか本物の『アレ』が隠されているなんて予想もしなかった。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫は平然と、不倫を公言致しました。

松茸
恋愛
最愛の人はもういない。 厳しい父の命令で、公爵令嬢の私に次の夫があてがわれた。 しかし彼は不倫を公言して……

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

あなたが居なくなった後

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。 まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。 朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。 乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。 会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

処理中です...