プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第2章

85話 追い込まれた裕二

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翌日、スミから裕二が離婚に応じない事を聞いた母親は裕二を呼び出した。


「仕事中なのに急に呼び出してごめんなさいね」

「いいえ」

「今日はあなたに話しがあって」

「…はい」

「スミと別れてちょうだい」

「…何言ってるんですか」


ある程度の予想をしていた裕二は驚かなかった。


「スミは別れたがってるの。母親だからスミの幸せ願うとそうして欲しいの」

「お義母さん、目を覚まして下さい。今までのお義母さんらしくないですよ。会社のこと思うなら僕が必要なはずです」

「今までの私がおかしかったのよ。会社会社でスミの気持ちなんか考えてなかった」

「そんな…会社はどうするんですか⁈」

「しばらくは私が見るわ」

「えっ…ダ、ダメですよ‼︎お義父さんの願いはどうするんですか⁈僕はその為に必死で頑張ってるんです‼︎」

「主人には悪いけどスミの為よ。本当にごめんなさい」

「そっ…そんな」


すると母親は離婚届を出した。


え…


「書いてちょうだい」


マ…マジかよ…


「スミと話してもあなたは応じないようだから、もうここでハッキリさせましょ。このままズルズル行っても時間の無駄でしょ」

「、、、、、」

「まだあなたも若いし今からでもやり直せるわ」


すると裕二がいきなり跪いた。


「ゆ…裕二さん!何してるの⁈」

「お義母さん…僕はやり直せるならスミとやり直したいです。スミが居ない人生なんて…死んだ方がマシです」

「ちょっと…立ち上がりなさい」

「お義父さんの為に離婚は出来ません。離婚なんかしたらお義父さんが悲しみます‼︎」

「それは言わないで‼︎」

「それに昨日スミはお義父さんの話が出ると迷ってました」

「えっ?そんな訳ないでしょ」

「長年一緒に居たから口に出さなくてもわかるんです。僕はスミを心から愛してるんです。結婚式の時だって幸せにすると誓いました。今からでもスミとやり直して幸せにしますので信じて下さい。会社だって僕が大きくしていきます。だから…だから…」


裕二は号泣しながら何度も頭を下げた。


「…裕二さん」

「僕がスミを説得しますので。わかってもらえるまでスミに何度も頭を下げます」

「私もあなたとスミが上手くいく事が1番いいと思ってたけど…スミが別れたがってるのよ。わかってちょうだい」


裕二は頭に血が上って必死で暴れるのを我慢していた。


「裕二さん?」

「必ずスミを説得します」


そう言うと裕二は部屋を出て行った。


クソババァ…スミの味方ばっかしやがって!!


会社に戻った裕二は暴れまくり部屋中をめちゃくちゃにした。
その音を聞いて駆けつけた専務が社長室に入るとその光景にあ然とした。


「しゃっ、社長‼︎何してるんですか⁈」

「今から出かける。片付けとけ‼︎」


裕二は派手に散らかしたまま社長室を出て行った。

専務は仕方なく片付けていた。


何て奴だ…何でも物に当たって…


床に散らばっている書類をまとめ机に置いていると引き出しが気になった。


この鍵がかかっている引き出し…
一体何が入ってるんだ…


専務はその引き出しの鍵を探した。
他の引き出しの中を調べると奥に鍵があった。
その鍵を気になった引き出しに差し込んでみると…開いた。

ゆっくり引き出しを開けると中には小さな紙と1本の鍵が入っていた。


え…鍵…S-0123…?

紙にはS-0123と書いてあった。


怪しいと思った専務は小さな紙と鍵をポケットに入れ、引き出しを元に戻した。



その頃、裕二は探偵から教えてもらった住所を見てスミが住んでいるマンションに行っていた。


ここか…
高そうなマンションに住みやがって…


部屋番号がわからない裕二はどうする事も出来ず、いつ出て来るかもわからないスミをマンションの近くで見張る事にした。


これだけセキュリティが万全だったらどうしようも出来ないな…
仕方ない…
毎日ここから見張ってスミが出て来た時に捕まえるしかない…


この日は18時まで見張ったがスミは現れないので諦めて帰った。



20時過ぎ、シュンは専務と一緒にスミの居るマンションに行った。


「黒川さん!」

「ど、どうも…」

「専務が話があるって言うから一緒に来てもらったんだ」

「そうなの…じゃ私、席外そうか?」

「大丈夫です!すみません急に押しかけて」

「全然大丈夫ですよ。どうぞ上がって下さい」

「あ、はい。お邪魔します」

「私、別の部屋に居るね」

「ここに居ていいのに」

「見たいドラマがあるから」


そう言ってスミは別の部屋に行った。


「気を遣わせちゃったかな…」

「申し訳ないです…」

「で、話って何?」

「これなんですが…」


専務は小さな紙と鍵をシュンに渡した。


「これは?」

「柳本の鍵がかかっている引き出しの中に入っていた物です」

「この紙と鍵が?」

「はい。怪しいと思いませんか?」

「…うん。でもよく鍵見つけて開けられたね」

「片付けていたら別の引き出しに鍵が入っていて…その鍵で開きました」

「こんなの持って来たら柳本に気付かれるんじゃないの?」

「しばらくは大丈夫かと…開けた鍵だって書類だらけの引き出しの奥に入ってたし。鍵がかかっている引き出しは今まで見る限り柳本は開けてないので」

「…そっか。一体この鍵はどこの鍵なんだ…S-0123って何だろ…?」

「もしかしたら社内にある書類入れの鍵かも知れません。たくさんあるので調べてみます。きっと知られたらいけない物が入っていると思います」

「だとしたら不正な書類とかだろうな」



この時2人はまさか本物の『アレ』が隠されているなんて予想もしなかった。








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