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第2章
74話 本音
しおりを挟む18時過ぎ、スミは夕食を作ってシュンの帰りを待っていた。
「おかえり」
「ただいま!」
「ご飯出来てるよ」
「ありがとう。先にシャワー浴びて来る」
「わかった」
シュン…何か疲れてる感じだな…
今日もダメだったのかな…
20分後、シュンがリビングに戻って来るとスミはビールを渡した。
「あ…ありがと」
「食べよっ」
「うん」
「いただきます」
「いただきます。美味しそうだな~」
食事中は2人とも嫌な会話はしなかった。
食事を終えソファーでくつろいでいるとシュンから話を切り出してきた。
「今日実家に行って来たの?」
「…うん」
「どうだった?全部話したの?」
「話したよ。DVに合った事も」
「お母さん…ショック受けてたでしょ?」
「うん…」
「じゃ後はご主人だけだね」
「ううん…母も相変わらず離婚に反対…」
「え?何で⁈」
「DVの事を知った母は裕二のことを呼び出したんだけど、裕二は暴力振るってないって言って…」
「え⁈よくもそんな嘘を‼︎」
「私が離婚したいからそんな嘘ついてるって」
「マ…マジかよ」
「それに私の不倫相手は無職で既婚者だって事まで裕二は母に話したから…母は私のこと信じてくれなかった…」
「…俺、話しに行こうか?」
「ううん、いいの。今話したところでどうにもならない」
「でもこのままじゃ…」
「どうしたらいいか考えるから」
「…それにしても柳本裕二、どこまで卑怯な奴なんだ‼︎あれだけ酷い事しておきながらやってないだなんて信じられない。俺も今日一緒に行っていればよかった…」
「シュンは今日どうだったの?」
「…どこもダメだった」
「…そっか」
「おかしいと思わない?」
「え?」
「俺の名前がわかった時点で断られるんだけど」
「本当?何で⁈」
「前職で何してたかとか知ってから断られるならわかるけど」
「…確かにそうだね」
「もしかしたら父が手を回してるかも知れない」
「まさかぁ…」
「そういう事、平気でする人だから」
「そうなんだ…何と言っていいか…」
「意地で仕事見つけてやるよ!」
「何で急いで仕事探すの?もうちょっと待てばまた違ってくるんじゃない?」
「そうだろうけど、やりたい事があるから」
「やりたい事?」
「会社を立ち上げたいんだ。人も資金も協力者も必要だから急には出来ないけどなるべく早くに…その為に仕事して顔広げないといけない」
「会社を⁈どんな会社?」
「人の役に立つ仕事をしたい。お客さんも従業員も喜んでくれる様な会社」
「いいと思う。シュンなら出来るよ!」
「そしてスミを幸せにしたい」
「シュン…」
「今日家に行ってまた話して来たけど聞いてくれなかった。離婚届も破ったみたいだから…また用紙取りに行って渡して来る」
「え…そっか。私たち…大丈夫だよね?」
「…不安?」
「2人とも離婚にこんなにも苦戦してるから」
「誰でも簡単には離婚出来ないよ。別れる事が一番大変って言うしね」
「そうだけど…」
「2人とも子供居ないし、いっそ子供作っちゃう?そしたら堕ろせとは言えないでしょ」
「えっっ⁈」
「冗談だよっ」
「もうシュンったら!でも…」
「え?」
「シュンは平気なの?離婚がお互い成立するまでプラトニックな関係でも…」
「…それは…」
「私たちは筋を通す為にプラトニックなままでいるけど周りはそんなの信じてくれないし、もうどうでもよくなってきた…シュンはどう思う?」
「俺もそう思ってたけどずっと我慢してた」
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