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第2章
73話 信じてもらえない悔しさ
しおりを挟む翌日、シュンが仕事探しに行った後スミは実家に行った。
「久しぶりね。今日は何?スミは何かあった時しか顔出さないからね」
「あっ…うん」
「どうしたの?」
「この前も話したんだけど。裕二との事」
「まだ言ってるの⁈離婚の事だったら聞かないわよ」
「私が裕二にDV受けたとしても?」
「え?今何て」
「監禁されてDV受けてたの」
「ゆ…裕二さんから?嘘でしょ…」
「怒ると手を出す人だったのよ」
「そ…そんな…それでスミ、ケガは⁈」
「もう消えたけどアザだらけで外へも行けなかった」
「今すぐ裕二さん呼びなさい!!」
「わかった。でもまだ話しがあるから聞いて」
「何?」
「私…好きな人がいるの」
「え…好きな人って…スミ‼︎あなた何言ってるの⁈」
「その人が私を裕二から守ってくれた」
「じ…じゃあ、もしかして今その人と居るの?」
「…うん」
「スミ…正気なの?それ不倫じゃない…」
母親は頭を抱えた。
「そうなるんだろうね。ただ信じてもらえないだろうけど体の関係はないから」
「…信じられない…スミが…」
「私その人と幸せになりたいの」
「どこの誰よ‼︎スミをたぶらかした人は‼︎」
「お母さんっ‼︎」
「もう、どうしたらいいの⁈遺言書のこともあるのに」
「遺言書に…裕二に会社を任せるって書いてあったから?」
「そうよ‼︎」
「そんな人ってわかってもお父さんの願いを貫かせるつもり?」
「…それに仮にもしも裕二さんと離婚したら会社は誰が見るのよ」
「彼は経営してたからうちの会社くらい安心して任せられるよ」
「彼って…あなたの好きな人の事?」
「うん。本人にはまだ言ってないけど、やってくれると思う」
「そんなにやり手なの?」
「うん」
「と…とりあえず裕二さんを今すぐ呼びなさい」
「わかった…」
「あっ、いいわ…私が電話する」
母親が裕二に電話をかけて呼び出すと1時間後に裕二が到着した。
「入りなさい」
「はい、お邪魔します」
リビングに入った裕二はソファーに座ってるスミを見て立ち止まった。
「ス…スミ…来てたのか⁈」
「ええ」
「座りなさい」
「はっ、はい」
スミの奴…余計なこと話してないよな⁈
「裕二さん聞いたわよ。あなたって人は‼︎」
「えっ…な、何を聞いたんですか?」
「あなたスミに暴力を振るってたそうね‼︎」
「えっ…」
スミ…話しやがって‼︎
「そんな人とは知らずに私は…」
「ちょっと待って下さい‼︎僕がいつ暴力振るったって言うんですか⁈そんな事しませんよ。する訳ないじゃないですか!」
「裕二っ‼︎何とぼけてるの⁈」
「スミー、別れたいからってそんな嘘つくなよー」
「なっ…何言ってるの?」
「えっ、そうなのスミ⁈」
「そんな訳ないでしょ‼︎裕二‼︎嘘つかないでよ‼︎」
「嘘ついてるのはスミだろ」
「裕二っ!!」
「ちょっと、どっちが本当なのよ‼︎」
「お義母さん、証拠もないのにスミの言う事を信じちゃダメですよ。僕がDVなんてする訳ないでしょ」
「ま…まぁそう信じたいけど」
「証人ならいる」
「えっ…そうなの?」
「病院だって行ったし私のアザを見た人もいるから」
「あ~」
「何よ!」
「口裏合わせたら何とでも言えるしね」
スミは悔しくて涙を必死に堪えた。
「スミ、その人連れて来なさい。どういう事か聞くから」
「お義母さん知ってますか?スミが不倫してる事」
「…ええ。それはごめんなさい」
スミの奴、そこまで話したのか…
「でもこれとあなたの暴力は違うからね」
「だから僕は暴力なんかしてません。それはスミがその不倫相手と一緒になりたいから嘘ついてるだけだと思います。それに知ってます?」
「え?何を?」
裕二…まさか…
「その相手も奥さんいるんですよ」
「え…そっ…そうなの⁈スミ‼︎」
スミはもう黙って頷くしかなかった。
「まぁ…何てこと‼︎‼︎」
「結局…暴力振るわれたとか嘘ついて僕のせいにして別れるつもりなんですよ。どう思います?」
「そんなの…絶対ダメよ!絶対に許さない‼︎」
「お母さんっ…彼も離婚しようとしてるし子供もいないから。裕二から暴力受けたのも嘘なんかじゃない‼︎信じてよ!」
「あっ…それともう1つ、お義母さん知ってますか?その男、無職だって事」
「裕二っ!!」
「なっ…何ですって…無職?」
「スミの財産目当てだと思いますよ。会社も乗っ取られるかも知れませんよ」
「もう論外だわ…裕二さん、スミをしっかり捕まえておきなさい‼︎」
「はいっ‼︎」
母親に信じてもらえずショックのあまり、スミはもう何も言う気力もなかった。
「裕二さんとの離婚も許しませんからね‼︎その男とも今すぐ別れて家に戻りなさい‼︎」
「…嫌よ」
「スミ!目を覚ましなさい‼︎」
「そうだよスミ、一緒に帰ろう。あ…そうだ!子供作ってお義母さんを安心させようよ」
「やめて気持ち悪い…」
「なっ、何⁈」
「スミ!裕二さんに何て事を…」
「もういい。ここに来たのが早過ぎたみたい」
スミは裕二に捕まらないように急いで実家を出て行った。
裕二が追って行こうとすると母親が引き留めた。
「裕二さん座りなさい」
「えっ…でも…」
「本当にあなた…スミに暴力振るってないのね?」
「当たり前じゃないですか‼︎女性に暴力振るうなんて僕にはとても出来ません」
「そうよね…裕二さんはそんな事するような人じゃないわよね…」
「まさかスミがそんな嘘つくなんて…ショックです。そこまでして不倫相手と一緒になりたいなんて」
「その男と早く別れさせなきゃ。裕二さん…スミのこと許してやってくれる?」
「僕にも悪いとこがあったんだと思います…だから許します。スミのこと愛してますから」
「裕二さん…あなたって人は…ありがとう」
「仕事も順調だし、後はもっと会社を大きくしていきます。跡継ぎも作らないとですね。子供が出来たらスミも少しは変わると思います」
「頼もしいわ。スミは家事…ちゃんとしてたの?」
「、、、、、」
「やってなかったのね?」
「いいんですよ。僕、掃除したり料理するの嫌いじゃないし」
「え?あなた…仕事から帰って来てそこまでやってたの⁈」
「ま…まぁ」
「そこまで裕二さんしてくれてたのに、スミは不倫なんかして‼︎あの子が一番悪いわ‼︎私の育て方が間違ってたんだわ」
「お義母さん、僕はスミが戻って来てくれるだけでいいんです。スミを責めないで下さい」
裕二は頑張って涙を流した。
「裕二さん…」
「離婚したいが為に色々嘘つかれても我慢出来ます。スミの気持ちもわかりますので」
「…力ずくでも戻すから。本当にごめんなさい」
「今日の様子からいくと少し日を置いてスミに会った方がいいと思います。手荒な真似はしないで下さいね」
「…わかったわ」
話を終えると裕二はスミの実家を出た。
こりゃ俺が動かなくても良さそうだな…
スミの奴、母親に言いやがって!!
戻って来たら覚えてろよ…
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