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第2章
70話 久々の再会
しおりを挟む翌日、シュンは朝から面接に行った。
1人になったスミは専務から聞いた事がずっと引っかかっていた。
私も行動しなきゃ…
スミは思い切って裕二に電話をかけた。
「もしもし…」
「スミッ‼︎スミなんだな‼︎」
「…うん」
「マジかよ‼︎久しぶりじゃないか」
「今日少し会えない?」
「わ…わかった‼︎じゃあ家に来いよ」
「家には行かない。昼間に会いたいから会社に行くから」
「会社に?昼間に会いたいなら家に戻るけど」
「家は嫌なの‼︎とにかく会社に行く」
言い放ってスミは電話を切った。
何だよ…
でもとうとうスミの方から電話してきやがったな…
いよいよ俺のとこに戻って来るのか…
大きな勘違いをしている裕二だった。
昼過ぎ、柳本グループに着いたスミは社長室に向かう途中、専務に会った。
「スミさん⁈どうしてここに⁈」
「あっ…昨日はどうもありがとうございました。今日はちょっと主人に用があって…」
「もしかして昨日私が話した事で…?」
「…どうしても許せなくて」
「大丈夫ですか?また何かされたり…」
「会社ですよ。大丈夫です」
「…そうですよね」
スミは社長室に入って行った。
専務は心配でドアの前に立っていた。
「スミ、久しぶりだな。昼食ったか?ランチでも行くか?」
「行かない。すぐ帰るから」
「帰るってどこに?一体どこに居るんだよ⁈」
「どこだっていいでしょ」
「何だよ、その言い草は⁈」
「それよりどうして地曽田グループを潰そうとしたのよ‼︎」
「はぁ?あいつから聞いたのか⁈」
「違う‼︎誰だっていいでしょ‼︎一体どんな手使って…どうせ卑怯な手使ったんでしょ‼︎」
「お前っ‼︎」
裕二は思わず手を出そうとした。
「何?殴ればいいじゃない」
ここで手を出したらまた一からやり直しだ…
ここは我慢だ…
「そんなこと言うけど、あいつもうちの会社を潰しかけたんだからな‼︎」
「初めに裕二がやったからでしょ‼︎汚い真似しないでよ!母の立場も考えてよ‼︎」
「大体お前たちがいけないんだからな!堂々と不倫しやがって」
「裕二が思ってるような事はないし、あの人は誰かさんと違って大切にしてくれてるから」
「ははぁーん、寝てないとでも言いたいのか?そんな訳ないだろ」
「お互い我慢してるのよ‼︎裕二にはわからないでしょうけど」
「お前ここが会社だからって強気だな。家に連れて行くぞ‼︎」
「嫌よ。また監禁されたらたまったもんじゃないわ。家抜け出した時に警察に行くべきだったって後悔してる…」
裕二は必死で殴るのを我慢していた。
「お…お前、何しに来たんだ?俺のとこに戻って来る為に来たんじゃないのか⁈」
「戻る?そんな訳ないでしょ。2度と会社を傷付けるような余計な真似はするなって言いに来たのよ」
「え…お前もうあいつとは終わったんだよな?もしかして実家に居るのか?無一文だもんな」
「いいえ…」
「何がいいえだ?」
「全部違うって事よ。とにかく離婚したいって気持ちは変わらないから」
「え…」
「また何かあったら会社に来るから。じゃ」
そう言うとスミは出て行った。
もしかしてあいつとまだ…
あいつ家に戻ってないのか…⁈
裕二は由希に電話をかけた。
「もしもし由希さん…柳本ですが」
「わかってるわよ。私も電話しようと思ってた」
「もしかして、ご主人のことで…ですか?」
「ええ。今日会える?」
「はい。じゃあ…Sホテルで」
「Sホテル?喫茶店とかでいいけど」
「誰に見られるかわからないし…Sホテルにしましょ」
「…わかったわ。じゃ夕方行くわ」
「はい。それじゃまた後で」
考えてみたら最近ヤッてないからな…
何もせずに帰るなんて勿体ない…
こういう時でもそんな事しか頭にない裕二だった。
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