プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
66 / 102
第2章

66話 予想通り

しおりを挟む

この日20時過ぎ、スミが待つ別荘に着いたシュンはシャワーを浴びて夕食を済ませ、その後2人でソファーに座って話し始めた。


「昨日は遅くまで飲んだの?」

「うん」

「そっか…」

「スミ?」

「何?」

「離婚したら会社はスミが任されるの?」

「どうだろ…私は社長なんて無理だし、しばらくは母親が会社に出て来ると思う」

「…そうか」

「だけど…母親は遺言書の事があるから離婚には猛反対すると思う。もちろんわかってもらえるまで説得するけど」

「、、、、」

「なかなかお互い上手くいかないね」

「…スミ」

「ん?」

「スミに謝らないといけない事がある」

「何?」

「柳本グループを買収しようとした…」

「えっ⁈どうして⁈」

「どうしても柳本が許せなくて。まさかスミの会社だったなんて…本当にごめん」

「…それで会社は…今大丈夫なの?」

「うん。心配しなくていい」

「シュン…そこまでさせてごめん」

「スミが謝る事じゃないよ。買収する前にわかって本当によかった…」

「あの人が何かしてきたのね?そうでしょ⁈」

「…スミは何も考えなくていい」

「でもっ…」

「それと明日だけど…遅くなると思う」

「また飲みに行くの?」

「いや。家に戻って話し合って来る」

「話し合うって…奥さんと?」

「会長と…だから先に寝てて」

「…わかった。だけどその後こっちに戻って来るのも大変でしょ。無理して戻って来なくても…」

「大丈夫だよ」


話を終えた2人はそれぞれの部屋に行った。
シュンは考える事が色々あって朝まで眠れなかった。



翌日、仕事が終わりシュンは会長の家に向かった。


「よく来たな。話ってもちろん買収の事だろ?」

「…はい」

「結局どうする事にしたんだ?」

「…買収しません」

「そうか、という事はわかってるな‼︎」

「すみません、父さん…」

「あんな会社、手に入らなくたっていい。これからもっと大きくする為に今まで通り私と由希さんを必要とすればいいんだ。お前も家に戻って本来の形に戻るだけだ」

「違うんです。そういう事じゃなくて…」

「何が違うんだ?」

「父さんと由希には頼りません。今よりもっと会社を大きくしていきます。だから…」

「どういう事だ?」

「離婚したいんです。約束しておきながら自分勝手な事はわかっています。どうかお願いします」


シュンは深く頭を下げた。


「何言ってるんだ‼︎約束守らないなんてお前らしくないぞ‼︎約束は約束だろ!」

「今回だけ、お願いします」

「ダメだ‼︎」

「どうしてもです…か?」

「いくら頼んでも許さん‼︎早く家に戻って来るんだぞ‼︎わかったか⁈」

「、、、、」

「シュンッ!!」

「…どうしても無理なら会社辞めます」

「なっ…何だと⁈お前、何言ってる⁈」

「縛られた人生をこれからも送るくらいなら辞めます」

「シュン!正気かっ⁈」

「…はい。そういう事なので。すみません」


シュンは会長の部屋を出た後、由希の所に行った。


「シュン‼︎戻って来たのね!」

「由希…ごめん」


シュンは由希に離婚届を渡した。


「えっ…これ…」

「俺は記入してるから」

「なっ…何言ってるの⁈えっ…もしかして買収したの⁈」

「…買収はしない」

「じゃあ離婚しない約束でしょ‼︎」

「こういう男なんだ俺は…。本当ごめん」

「嫌よっ!離婚しない!!」

「由希!」

「こんなに愛してるのに‼︎」

「俺は愛してないんだ。今まで1度も…」

「それでもいいから…」

「いつまで仮面夫婦のままでいるつもりだよ。もういいでしょ?」

「…ダメ」

「由希…1度冷静に考えてみて。今度離婚届を取りに来るよ」


そう言ってシュンはその場を離れた。


「イヤーッッ!!!」


由希は頭に血が上り、部屋をめちゃくちゃにした。


絶対に別れないから!!絶対!!



由希は離婚届をビリビリに破った。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜

四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」 度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。 事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。 しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。 楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。 その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。 ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。 その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。 敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。 それから、3年が経ったある日。 日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。 「私は若佐先生の事を何も知らない」 このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。 目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。 ❄︎ ※他サイトにも掲載しています。

あなたが居なくなった後

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。 まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。 朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。 乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。 会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

幼馴染以上恋人未満 〜お試し交際始めてみました〜

鳴宮鶉子
恋愛
婚約破棄され傷心してる理愛の前に現れたハイスペックな幼馴染。『俺とお試し交際してみないか?』

夫は平然と、不倫を公言致しました。

松茸
恋愛
最愛の人はもういない。 厳しい父の命令で、公爵令嬢の私に次の夫があてがわれた。 しかし彼は不倫を公言して……

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

処理中です...